ランの成長日記―1(04−09−20 UP)
ランが来てから9月20日で1ヶ月半たった。ソファに座っている私の膝に乗ってくる。もう片手にすっぽりというわけにはいかない大きさになった。頭から背中をさすってやる。柔らかくなめらかな体毛。暖かみまで持った文字通りの生きた純毛の感触。
以下に前回以降のランの成長日記の抜粋
2004−08−31 トイレ
体重570グラム。相変わらず乳首からのミルクを飲む。特に眠る前は乳首をくわえないとダメなようだ。目をつぶり、両足でほ乳瓶を抱え込み、乳首をくわえる。乳首が外れると、首を振り振り乳首を求め、かぶりつく。そしてやがて寝てしまう。 トイレはきちんと決められたところでやっている。えらいものだ。来て、4,5日した頃、膝に乗せていると、突然股があたたかくなったことがあった。やらかしてしまったのだ。しかしそれから以後は、トイレ以外のところではしないようだ。 今日、しつこくつきまとうランにおばさんが「フッー」といって脅かしているのを見た。さすがのおばさんも堪忍袋の緒が切れたようだ。余りしつこくつきまとうと、おばさんは窓枠とか、電子レンジの上、ガスレンジなどに上がって、そこを居場所とする。ランは下から見上げているが、まだそこまでは上れない。おばさんも最近は衰えが目立ち、窓枠に飛び上がろうとして落ちたりする。ランはダイニングの椅子に乗せてある座布団に前足を引っかけて椅子の上に上がる。それから肘掛けに上がり、そこからテーブルに上がることを覚え、ここ2,3日よくテーブルに上がってきて、色々なものを嗅ぎ回っている。「ダメ」といって下ろすのだが、すぐにまた上がってくる。 今日の午前中、居間のソファに座った私の膝にランが来た。眠そうだった。撫でてやるとのどを鳴らした。額を撫でていると、そのまま寝てしまった。 元気がよすぎてあきれるほどだ。台所と居間を駆け回っている。来て1週間もしないうちにギャロップで走ったが、今では飛ぶように走っている。人の足にじゃれつき、ジャンプして掴もうとする。本能とはいえ、すごいものだ。 2004−09−04 開封テープ
何でも遊びの対象となる。ゴミ箱のそばに落ちていた開封テープで長いこと遊ぶ。 食卓から落ちても、ナイス着地で平気な顔。家に来て丁度1ヵ月、体重630グラム。来た時から3倍以上の体重になったのだ。相変わらずミルクを飲む。リビングの雑多な物の入った菓子箱を飛び越え、コードを飛び越え、ダイニングへ走り込む。椅子に登り、肘掛けに登り、そこから食卓に上がる。
2004−09−06 ウンチ おばさん
昼食にアジの干物を食べているとランがやってきてうるさい。おばさん用の餌皿に小片を置いたらポリポリと食べた。アジの干物を欲しがってランが何回も何回も食卓に上がってくる。「ダメ」といって額をたたくのだが、そんなことでは効きはしない。つまんで何回も床に下ろすが、すぐに上がってくる。仕方なしに、また干物の一部を餌皿に入れてやると、アッという間に食べてしまった。
しばらくして、トイレに座っていた。用を足す時はさすがにじっとしている。動きの烈しいランの写真を撮るチャンスとばかりに何枚かシャッターを押した。ランはウンチをした。私の人差し指より長い、褐色のウンチだ。輝いている。こんな小さな体から、こんなに立派なウンチが!それはまるでランの健康、生命力の象徴であった。私は羨望を感じないわけにはいかなかった。終わると、砂をかけて埋めようとした。砂が少なくて埋まってしまうことはなかったが、ウンチの表面にパルプで出来た白い顆粒が一面にまぶされていた。 流し台に上がってじっとランを見下ろしていたおばさんが下りてきた。ランがおばさんの後をついて回る。おばさんは逃げる。風呂場に逃げて例によってバケツから水を飲んでいるところにもランはやってきて、おばさんに飛びかかる。おばさんはついに玄関の方に逃げていく。私は玄関を開けておばさんを出してやる。ここ1週間ほど、おばさんも元気だ。
ランはテーブルにあった肉じゃがの残りから、肉だけを食べたという。何でも食べる。 2004−09−08 階段
昼間、2階まで上ったという。私の部屋にいたそうだ。その時は抱えて下りたそうだが、私が夜帰った時は、階段の中程よりぴょんぴょんと下りてきた。 2004−09−11 爪と歯
体重 720グラム。胴が長くなってきた。私の手足に噛みつく歯とひっかく爪が一段としっかりしたものになってきた。ライオンやトラなど同じネコ科の動物の歯と爪の強靱さを想像させる。この歯と爪で彼らは獲物を仕留め、その肉を食いちぎるのだ。 娘ががおばさんネコを風呂に入れたついでに、ランもお湯で洗ってやったとのこと。初の入浴だ。
2004−09−14 「ラン」、「蘭」、「RUN」、「乱」
おばさんを追いかけてついに台所の窓枠まで上った。電気釜を置いてあるキャスターから上っていったのだろう。おばさんも最近では「フッー」といって脅す。ランも少しはひるむが、すぐにまた追いかける。 おばさんの余生がランで乱された感じだ。おばさん自身も足腰の衰えが目立つ。時々高いところ、テレビや窓枠などから滑り落ちる。筋力の衰えからネコの正座座りをしたとき前足をきちんとそろえられなくなり、O脚になったのは少し前だが、最近は後ろ足の筋力も落ちてきたようだ。昨日あたりからまた、ものを食べなくなったので、妻がかかりつけの獣医に連れて行っていつもの点滴と副腎皮質ホルモンの注射をしてもらった。獣医ももうおばさんのことは余り細かいことは言わない。年齢を考えて成り行きに任せている。
獣医の話から、ランの素性がわかってきた。動物病院から少し離れたところの家が、外ネコとして常時何匹かのネコに餌をやっている。その家の猫の生んだものらしい。獣医のいうのには、ランの母ネコは人に対する警戒心が強く、気性が激しいネコだとのこと。ランもその血筋を受け継いでいるのかもしれない。やたらに噛みつく。
ランと命名したのはラ行の響きの良さによるが、漢字では「蘭」、花の蘭であり、キャンデーズの「蘭ちゃん」を想定した。しかし、今のランを見ると、蘭の持つ優雅さとはほど遠く、ランは走る「RUN」であり、また乱暴の「乱」でもあるようだ。おばさんに静かな余生を送ってもらうにはランを檻に閉じ込めるしかないのではと思う。
2004−09−18 鏡
体重950グラム。噛みつく癖を直すために、噛まれるたびにアイロンをかける時に使うスプレイで水をかけることにした。息子がインターネットで調べた方法だ。早速試してみたが、噛みついていたのがすっ飛んで逃げる。効き目は抜群だ。 恐いもの知らず、何でも興味を示し、いじりまわし、噛みつくランであるが、電気掃除機の音だけは苦手のようだ。昨日も、掃除機の音がしたとたん、冷蔵庫の裏に逃げ込み掃除が終わるまででてこなかった。外にはまだ出していない。出たそうに網戸越しに庭を眺めているが、自分で網戸をあけることはまだ覚えない。
今日、鏡の前に連れて行った。鏡の中の自分と目を合わせても反応を示さなかった。少し見つめていて、興味ないといわんばかりにすぐに視線をそらしてしまう。(鏡に対する反応についてはエッセイ「ネコと四六のがま」参照) カーテンにじゃれるラン 04−08−30 |