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一面に群生している笹との格闘は以前に紹介しましたが、笹を刈ったあとにいろいろな花が咲き始めました。 名前を調べるうちに、植物図鑑などで「高山植物」とし て紹介されているものがとても多いことに気づきました。眼前400坪の我が敷地に限っても次のように多彩な花が見られます。このほか名前が分からず調査中のものもあります。 |
この項の目次
ササ(笹) スズラン(鈴蘭)
コイワカガミ(小岩鏡) コマクサ(駒草)
フウロソウ(風露草)の仲間 ヤマホタルブクロ(山蛍袋)
ウツボグサ(靭草) ケブカツルカコソウ(毛深蔓夏枯草)
ヤナギラン(柳蘭) クガイソウ(九蓋草) オカトラノオ(陸虎の尾)
イタドリ(虎杖) ツバメオモト(燕万年青)
マルバタケブキ(丸葉岳蕗) オオバギボウシ(大葉擬宝珠)
コバギボウシ(小葉擬宝珠)も
キツリフネ(黄釣舟)とツリフネソウ(釣舟草)
ウルップ草 マイヅルソウ(舞鶴草)
ギンリョウソウ(銀竜草) イチヤクソウ(一薬草)
ギョウジャニンニク(行者大蒜)
姫イズイ(アマドコロ、ナルコユリ、ホウチャクソウもこの項の中に)
ヒメイチゲ(姫一華) マムシグサ(蝮草)
ササバギンラン(笹葉銀蘭)
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【 ササ(笹) 】

「我が敷地の高山植物」の出だしが何で「ササ」なんだ、と思われるかもしれません。実はこの項はホームページをスタートさせて7年目に書いています。ログハウスを建ててから20年ほどたった今頃になって、一口に「笹」といっても実に奥が深いのに気づきました。そこで「笹学」というわけです。
八ケ岳に別墅(べっしょ)を構えてかれこれ20年近くたちますが、周りを取り囲むように茂っている笹をすべて クマザサですませ、「笹との闘い」などとほざき、ひたすら闘争心をかきたてる対象としてきました。それ以外の名前も知らないし、それで格段不便も感じなかったのですが、「スズタケ 」(篶竹)という美しく、かつ由緒正しい名前があり、しかもクマザサはクマが出る「熊笹」などではなく「隈笹」であることを知ったのです。
最初の数年間は人間の腰以上の背丈に茂る一面の笹を呆然と眺めていただけです。週末にやってきてあわただしく日曜に帰京するスケジュールからは笹に対する闘争心など露ほども浮かばず、ひたひたと押し寄せる猛威にひれ伏していました。やがて笹を刈る術(すべ)を会得しました。するとスズランが敷地一面に咲きはじめました。今度は笹刈りに熱中しました。この時期すべて「クマザサ」ですませていたのですが、やがて、このササは「スズタケ」という美しい名前を持ち、「みすず」とも呼ばれていることを知りました。
「みすず刈る」は信濃にかかる枕詞(まくらことば)です。「あをによし 奈良の都は 咲く花の にほふがごとく 今盛りなり」の「あをによし」と同じで、枕詞は深く詮索しないものだ、ということで済ませてきました。 ところがこの、「みすず」はササの一種、スズタケのことで、その昔、信濃は一面スズタケの茂る土地だったことからきているということを知りました。つまり笹が信濃の土地一面をおおっていて全員が出て笹刈りの共同作業をしていたのでしょう。私が八ケ岳で体験した笹刈りは、古代にこのあたりで繰り広げられた風物詩なのです。 我が別墅は万葉の姿を今にとどめているというのですから「クマザサ」も身近になって親しみが湧いてきました。
「みすず刈る 信濃の真弓引かずして 弦はくるわざを 知ると言はなくに」(石川郎女=いしかわのいらつめ)という歌の大意は「弓を引いたこともない人に、弦を張る技を知っているとは言わないように、貴方も私の気を引いてみなければ、私が否というかどうかわからないではないですか」という艶っぽいものです。
「みすず」は、「み篶、三篶、美篶、水篶」と記されます。すぐ上の横岳の中腹まで10分ほどですが、ここに立つとわかりますが、八ケ岳連峰に笹原が広がっています。美しい緑の絨毯は信州にぴったりの枕ことばに思えます。この「みすず」が笹の一種、スズタケの異称なのです。
スズタケはわが国の北海道から本州、四国、九州のおもに太平洋側、朝鮮半島に分布します。本州中部の山地では、標高1200〜2000メートルあたりにかけて群生し、イネ目イネ科スズタケ属の常緑タケ類に分類されています。学名は「 Sasamorpha borealis」とここにもササの名がついています。竹と笹の見分け方は、成長後、茎に皮がついたままなのが笹、ないのが竹です。
スズタケはブナ林などの林床に生え、桿の高さは2〜3メートルになります。桿の直径は1センチほどで直立し、各節からは1個の枝が出ます。桿は工芸品として弁当箱や行李(こうり)などにされて利用されてきました。
ところが、です。近年になって、この「みすず」が実は「みこも」を誤読したものという説が有力になって、枕詞は「みこも刈る信濃の・・・・・・・」に変わってしまっているのだそうです。辞書でも、はっきり、「みすず刈る」は「みこも刈る」の誤読と説明しています(広辞苑第五版から)ので、今ではこの学説が国文学者の大勢を占めているのでしょう。中高年の古い世代の記憶とは違っていることになります。
では「みこも(水菰・水薦)」はどんな植物かというと「水中に生える菰、まこも」のことです。マコモは日本各地の河川岸、池沼はじめ、温帯から亜熱帯にかけて、至るところの水辺に大群落をなしています。となると、特段、信濃の枕詞にふさわしいものでもありません。
マコモ
全国の湖沼、ため池、河川、水路などに生育する抽水植物で、砂質地より有機質の多い泥質の水底を好む。ヨシより沖合まで生育する。最適水深は 20センチから1メートル。全高 1 〜 3メートル 。葉はほぼ根生、葉鞘は長く、50センチに達するものも。葉身は線形で、葉鞘との境は関節状となる。花期は7月〜10月で、稈は太いが葉鞘に次々と抱かれるためほとんど見えない。これで菰を編んだ。
万葉集の”原文”では「三薦苅信濃乃真弓不引為而強佐留行事乎知跡言莫君二」と記されていて、素人目には「みこも」の方が素直な気もしますが、あとは学者に任せるほかありません。
冒頭にあげた「クマザサ」ですが、イネ目イネ科ササ属クマザサ種に分類される”正式”な品種がありますが、巷間では山地に生育する、大型のササ類一般を指す場合が多いようです。私もその意味で使っていたのですが。クマザサの 乾燥した葉は煎じて健康茶にされたり、健康食品として高血圧、糖尿病によいと市販されています。このパッケージに熊の絵が描かれていて「熊笹」と表記されていたりするため、「熊」でがまかり通っていますが正確には「隈笹」です。クマザサの葉を淡竹葉(たんちくよう)という生薬として使うこともあります。 スズタケも往々にしてクマザサ扱いされていますが、分布状況では日本海側ではチシマザサが、太平洋側ではスズタケが主流を占めています。
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| クマザサの若葉(上)は 冬を越すと隈取りができる。 |

北海道や東北地方、中部地方の高山に自生するユリ科スズラン(コンバラリア)属の球根性多年草です。北海道を代表する花として知られています。私も八ケ岳に自生するとは思わず園芸品種を買い込んで敷地に植えたほどです。
学名は「Convallaria keiskei 」。ラテン語の「convallis(谷)+ leirion (ユリ)」が語源で、英語名の「Lily of the valley 」(谷間の百合)は学名どおりです。五月に咲くため、「May lily」、「May blossoms」、「May flowers」、「聖母マリアの花」などとも呼ばれています。和名は「キミカゲソウ」(君影草)とか「弁慶草」などときれいな名前がついています。
学名にある「keiskei」はリンネの植物分類法を初めて日本に紹介した蘭方医 、植物学者、伊藤圭介にちなむものです。
伊藤圭介(1803−1901) 尾張出身。19歳で上洛して洋学を学び、21歳のとき蘭学を学んだ。24歳のときにシーボルトに会って、長崎で師事、本草学を学んだ。蕃書調所に入り、さらに東京大学に迎えられ、小石川植物園を監督した。明治21年(1888)に日本最初の理学博士となる。リンネの植物分類法を初めて本格的に紹介したことで知られる。著作に『泰西本草名疏』『日本産物誌』などがある。
スズランは、北海道・本州・九州・朝鮮・中国・シベリア東部に分布します。本州では、標高の高い冷涼な高地に分布していますが、北海道では低地の草原や明るい落葉樹の林の下などに群生します。特に酸性の強い火山灰地を好みます。
| スズランの実。 秋に増やしたいところ に蒔いておく。 |
スズラン属の植物は日本にはスズラン1種しかありませんが、北半球の温帯には数種あり、日本で観賞用に栽培されているものはヨーロッパ原産のドイツスズランです。ドイツスズランは日本のスズランに比べると、葉がやや小型ですが葉数も多く、色も濃緑色で光沢があり、花はむしろ大きく香りも強く、園芸用に向いています。見分け方は花が葉より高く出て花が目立つのがドイツスズラン、葉の中に埋没しているようで花が目立たないのが日本のスズランです。
強い芳香があり、香水の原料にもなりますが葉も球根も有毒です。スズランに入っている毒は学名から取ったのでしょうがコンバラトキシンで、活けた花ビンの水を
誤って飲んだ死亡事故もあるほどです。牧場などでは牛も馬も羊もきれいに食べ残していきますから、彼らはセンサーを持っているのでしょう。アイヌは食用にも薬用にも利用できないスズランに「セタ(犬の)プクサ(ギョウジャニンニク)」という名前をつけています。さしづめ「犬またぎ」というところでしょうか。
一方では薬効もあるとされリュウマチや痛風などの薬として使われます。スズランの根は強心利尿薬 として働きます。
スズランは北海道では郷土の花として親しまれており、札幌市など13市町村の花に指定されています。1961年に昭和天皇が支笏湖で植樹を行ったことを 記念し、千歳市はこの年以降、毎年、市長が上京して天皇、皇后両陛下へ千歳産のスズランをお届けするのを恒例としていますし、スズランの花の形に似せて作られた装飾用の街路灯「スズラン灯」が道内各地の商店街に取り付けられ、季節になると郊外の原野などに「スズラン狩り」「スズラン摘み」に出かけるほど愛されている花です。 私がいる長野県南牧村でも村の花にしています。
フランス・パリでは、5月1日は「鈴蘭(ミュゲー)の祭日」で、当日スズランの花束を贈る人には幸福が訪れるといいます。英仏では女性が男性にこの花を贈る事は恋の告白を意味するとバレンタインデーのような使われ方をするそうです。
【 コイワカガミ(小岩鏡) 】
我が家の敷地にわんさとあるのですが、例によって2、3年間は名前がわかりませんでした。秋口に草刈機を回して いるとき、見つけました。なんとなく意味ありげな葉の色艶だったので取り残しておいたのです。コマクサと並んで 高山植物の代表格が、我が家の犬がおしっこするところにあるとは・・・驚きました。
オオイワカガミは、葉がイワカガミの倍以上大きく、日本海側の豪雪地に分布します。葉が大型で長さと幅が8-12センチあり、花茎の丈も30センチにもなる大きさです。 コイワカガミは,イワカガミの高山型変種で、全体的に小柄ですが、 ではイワカガミよりどれだけ小さければコイワカガミかということになりますが、どうもそのあたりあいまいではっきりしたものはありません。
イワカガミという名前の由来は、生育場所が岩場のようなところで、葉の表面がてかてかしていて鏡面を思わせることに よるようですが、我が敷地に咲くものは左上の写真(2006.6.3撮影)のように、岩場どころかカラマツの根元で根っこが盛り上がったようなところ、 草地といってよいところに咲いています。どうも、岩場に限らず開かれた、ある程度日の光が入るところならどこでも咲くようです。葉が鏡のよう、というの ですが、眼前のものは、これまた開花期には葉も赤みを帯びていてそれほど輝いてはいません。 ともに名前にはそぐわない感じですがピンク色が美しい花です。これとて白色の花もあるのですが。
イワカガミ(岩鏡)は北海道から九州にかけて、山地帯から亜高山帯にかけて生育する多年生の草本です。岩場や急傾斜地・山道の道ばたなどに群生します。 開花期は海抜によってかなり異なり、低地では4月の終わり頃から、亜高山帯では7月頃から、と咲き始めにかなり幅があります。我が敷地では5月末から6月 上旬、他の花に先駆けて真っ先に咲き始めるので春の知らせを告げる花です。
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| イワカガミの葉 |
上述のようにコイワカガミは我が山墅で春一番に咲き始めます。マイヅルソウとほぼ同じころ、八ヶ岳では雪が溶けた直後の5月中ごろです。常緑の小植物は だいたい堅い滑らかな葉と、しなやかな茎や枝を持っていて、積雪や低温、乾燥に強いのですが、イワカガミはそうした備えはありません。 イワカガミのような常緑小草本が、他の背丈の高い植物たちに伍して生き残れているのは、背丈の高い他のライバルたちが、丈を伸ばす前にさっさと開花さ せて結実をすませ、他の背丈が高いものが茂ったあとはひっそりと過ごす。こうして、一年を通して地面を占拠し続けているためです。こうして誰よりも 早く花を咲かせるのも、小形種が生き延びるための戦略だと考えられています。
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| イワカガミのオシベ |
このように葉の大きさ、花色、花数が地方によっていろいろなのは、高い山の中などでお互いに隔離されて生育することが 多いためではないかとみられます。


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| 立風露 |
タチフウロ(立風露)は八ヶ岳のあちこちで見かけます。茎が立ち上がる風露草という意味です。山の草原に生える多年草で、茎は高さ50〜80センチ。
葉は、基部近くまで5裂、裂片は幅狭く荒い毛がついています。
花は径2.5〜3センチ、花柄の先に2個ずつつきます。花弁は淡紅色で基部に白毛が密生。数本の色の濃い筋があります。
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| ハクサンフウロ |
ハクサンフウロ(白山風露)は石川県の白山に産することから和名がついたとかで、ピンク系統の花なので草地でとてもよく目立ちます。立風露と同じような葉でもじゃもじゃと茂り、やがて上部にきれいな花をつけ、周りをピンクにしてくれます。 日本固有種で本州北中部亜高山帯に分布、高山の日当たりのよい湿った草原に群落をつくります。
高さは15-50センチ、花期 は7月〜8月、花は直径3センチほどで、5弁の花をつけ、花びらには縦筋模様があります。私は分類に詳しくないので、縦筋が強いのをタチフウロ、それほどでないものをハクサンフウロとしています。
花色は白に近いものから濃いピンクまでさまざま。八ケ岳ではピンクがかったのから青みがかって紫に近いものまで見かけます。我が敷地周辺のはピンク系が主力です。葉は秋に美しく紅葉します。東北北部から北海道に行くと花の大きいチシマフウロ(千島風露)と入れ替わ りますが、これはタカネグンナイフウロ(高嶺郡内風露)に近い種だそうです。
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| ゲンノショウコ(現の証拠) |
つくり方をもう少しくわしく説明しますと、夏の開花期(7〜8月頃)に全草を抜き取り、根を除いた地上部を天日で乾燥させます。道端での採取の場合は、泥をよく洗い落とします。
ゲンノショウコの若い時の葉は、キンポウゲ類やトリカブトの有毒植物に非常によく似ているので注意が必要です。夏の開花期に採取すると花で
確認ができます。
煎じる場合は、時間をかけて十分煎じる必要があります。
下痢止めには1日量20グラムに、水0.5リットルを加えて、煎じながら約半量まで煮詰めたものを漉して、温かくし、適宜2回に分けて服用します。
胃腸の弱い人は、お茶代わりに飲んでもよく、利尿の目的で使用するときは、10〜15グラムを1日量として、0.5リットルの水を加えて、5〜10分
煎じ、3回に分けて食間に服用のこと、とありました。
花としてのゲンノショウコですが、茎の大部分は地をはい、草全体に下向きの毛が生えています。葉は長柄があり対生、形は掌状に3〜5深裂、
巾3〜7センチ程です。裂片は先の方で3裂し、形は倒卵形をしています。葉縁は鋸歯状、葉質は柔らかです。
花は夏から秋にかけて、枝先および葉の脇より長い花軸を出して2〜3個つけますが、色は白から赤色と一様ではありません。花は5弁で赤い筋があ
り、がく片5、雄しべ10です。北日本のゲンノショウコの花は、白色花が多いようです。
【 ヤマホタルブクロ(山蛍袋)】
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| ヤマホタルブクロの見分け方は下に記述。 花色ではホタルブクロもほとんど同じ。 (八ケ岳2006.7.17) |

ホタルブクロ(蛍袋)(写真=右)は、山野に見られるキキョウ科の植物で、基本種のホタルブクロ(punctata)は北海道西南部〜九州、朝鮮・中国に分布し、変種のヤマホタルブクロ(hondoensis)は東北地方南部〜近畿地方東部の山地帯から亜高山帯の草地に分布し、同じく変種のシマホタルブクロ(microdonta)は花が小さく、伊豆七島や関東の太平洋岸に分布するということです。
八ヶ岳ではもちろんホタルブクロ(蛍袋)も多いです。背が高く、赤紫色の花なので、目立つのはむしろこちらの方でしょうが、草むらの中とか、
木立の影などに隠れるように咲いているのがヤマホタルブクロ(山蛍袋)です。我が敷地でも草をかき分けるようにしなけ
れば見えませんが、6月から8月にかけて生える高さ30〜60センチの多年草で、枝先に長さ4センチくらいの
筒形の花を咲かせ、先は浅く5裂。茎葉は互生し卵形〜卵状披針形で、不揃いな鋸歯があります。根生葉は卵心形で花期には枯れてしまいます。
濃い赤紫から白まで色の変化があるのも、とホタルブクロとほとんど同じです。一般にヤマホタルブクロの方が花色が濃いそうです。
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| 花の付け根が反り返って いればホタルブクロ |
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| 花の付け根がふくらんでいる だけならヤマホタルブクロ |
ホタルブクロとヤマホタルブクロの見分け方
では両者はどこが違うのか。左右の写真を見るとわかりますが、
ホタルブクロは萼裂片の湾入部に反り返る付属片(副萼片)がある。またその周りに毛がある。
ヤマホタルブクロは萼裂片の湾入部に膨らみがあるだけで反り返る付属片がない。毛もない。
難しい表現で、そんなことどうでもいいではないかという人は学問に向いていません。
私も詳述しているホームページ「mizuaoiの植物記」を見ての受け売りですが、確かに八ヶ岳の我が家の周囲にあるのは、写真のようにふくらみがあるだけです。
ヤマホタルブクロ(山蛍袋、学名=Companula punctata var. hondoensis)は地方により提燈花、ポンポン花、トックリ(徳利)花などと呼ばれますが、美しいいわれを
持っています。
「蛍袋」の名の由来に2説あります
(1)あの牧野富太郎博士は「牧野日本植物圖鑑」で「小兒其花ヲ以て蛍を包む故に蛍嚢の和名アリ」としています。
(2)"火垂る(ほたる)"は"火を垂れさげる"意である。昆虫のホタルの名もこの語源からでている。昆虫のホタル
は、尾部の発光器から発する冷光が火をさげたように見えるので、"火垂る"といわれ、ホタルとなったものである。
ホタルという言葉は、つまり"火垂る"であり、虫名としてはホタル(蛍)となったが、日常語としては"提燈"のことをいったも
のである。今日でも仙台あるいはその周辺で、提燈のことを"火垂る袋"あるいは"火袋"とよんでいる。
「蛍袋」の花の形が提燈に似ているので、"火垂る袋"とよんだのだと思う。(中村浩 「植物名の由来」)
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| いかにも蛍を入れたくなるホタルブクロ |
ホタルブクロの仲間は、雄しべが雌しべより先に熟する両性花です。雌しべは雄しべが能力をなくしてから熟し、姿を見せる
ので自分の花粉では種ができません。こういうのを「自家不和合性」といいいます。成熟の時期がずれているだけでなく、もし自分の
花粉が雌しべの頭(柱頭)についたとしても種子はできないようになっています。自殖を避ける、二重の仕組みを持った花なのです。
面白いことに、この花に下から接近し、花の内側の毛をたよりに潜り込み、奥の蜜を吸うといった難しいことができるのはマルハ
ナバチの仲間だけです。自然の仕組みに感嘆するばかりです。
【 ウツボグサ(靭草) 】
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| ウツボグサ(2008.7.18) |
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| ウツボグサ。花のアップ) |
多年草で普通は群生します。東アジアの寒帯から温帯にかけて広く分布しています。 本州中部以北の高山には全体に大きいタテヤマウツボグサ(立山靭草)が、北海道や本州北部にはミヤマウツボグサ(深山靭草)があります。
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| 枯れたウツボグサは 夏枯草と呼ばれ生薬 |
繁殖力が強く、草の間をどんどん増殖します。というのも、花後、地面に接した部分が四方に枝を分岐して、
その枝が地を這って広がり、先端が翌年の苗となるので、すぐに大きな群落となります。
【 ケブカツルカコソウ(毛深蔓夏枯草) 】
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| ケブカツルカコソウ(2008.6.27) |
花は見たことはありますが、名前は知らず、かねてからなんという植物か気になっていたところ、八ヶ岳高原ロッジのサイト「今日の八ヶ岳」で紹介され、 はたと手を打ったものです。写真もそちらからの拝借です。
上でウツボグサを紹介しましたが、同じシソ科キランソウ属の多年草です。ウツボグサは漢方で薬草として重宝されますが、その花穂から取る生薬の名前が 「夏枯草」(かごそう)です。夏至の後で枯れるからついた名前で利尿、消炎作用があり、腫物、浮腫、腎臓炎、膀胱炎などに用いられます。
そのウツボグサに似た花を付け、全体に荒く長い毛が生えていて、花後に蔓状の走出枝を出すところからの命名です。本州、主に関東地方、中部地方から 南千島の丘陵や野原の草地に分布、発見されたわが国の北方領土、色丹島から学名「Ajuga shikotanensis f. hirsuta」がついています。
茎は高さ10〜30センチになり、5月〜6月に茎の上部の苞のわきに淡紫色の唇形花を輪状につけます。花冠は長さ7ミリぐらい。葉は卵形で長さ2〜5センチ ほどです。

図鑑などには、草地、それも針葉樹林の林縁の草地に咲く、とあるが、まさにそのような環境にある我が家の敷地の一角で
この花がみられるのは8月にはいってから。高さは1メートルを超え、茎の上部に1.5センチ前後の多数の紅紫色の四弁花を
付け、葉は多数つき細長く柳の葉に似ていることが名前の由来のようです。別名は「ヤナギソウ(柳草)」といい、花から大
量の蜜を出すので、ハナバチ類が集まる、とあります。そういえば花期に蜂がよく飛んできて、草刈のとき文字通りハチあわせ
します。とても生命力の強い植物で、森林の伐採跡地や山火事の跡地に、大群落を作り、英語でも「ファイヤ ウィード」の名が
ついているようです。まだそのような場面に出くわさないのはラッキーというべきでしょう。

クガイソウ(九蓋草)は近畿以北の山地帯〜亜高山帯の日当たりの良い草地に見られるゴマノハグサ科の多年草草本です。トラノオとも呼ばれます。 草丈は80〜120センチほどと高いのでよく目立ちます。茎は分岐をせず直立します。花期は6〜9月ですが、八ヶ岳の我が敷地で見られるのは8月に入ってから です。青森県では海に近い平地でも生えているようです。下から順に花が咲いていくので、長い間花を楽しむことが出来ます。
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| クガイソウの花のアップ |
名前の由来は葉の付き方が、仏像の飾りの天蓋(てんがい)に似ていることから、九蓋草、九段草、九階草などと いう名前が付けられたようです。蓋(がい・かい)とは、一蓋2蓋…と笠を数えるときに使う言葉で、この花は茎を 取り巻くような形で葉が4〜6枚輪生して、それが何層もあるために、輪生する葉を笠に見立てたのですが、実際は葉が九段も付かず、多くとも五〜六段ほどです。葉は、広披針形で両端が長く尖っています。葉縁は鋸歯状です。
クガイソウ(九蓋草)の乾燥したものを、生薬で草本威霊仙(そうほんいれいせん)といいます。7〜8月頃根茎を掘り、水洗いしてから、天日で乾燥させます。リューマチ、関節炎、利尿には、1日量10〜15グラムに、水0.4リットルを加えて、煎じながら約3分の1の量まで煮詰めたものを漉(こ)して、1日3回に分け食間か食前に服用します。 風呂に入れると香りもよく保温効果もあるので、冷え性や肌の美容に用いられています。
山菜としても扱われ、春先の若芽を、熱湯でゆでてから水にさらして、食用にします。
日本ではクガイソウ(九蓋草)を1種としていますが、それぞれの特徴から北海道の大型のものをエゾクガイソウ(蝦夷九蓋草)、紀伊半島・四国・九州の花軸に毛がないものをナンゴククガイソウ(南国九蓋草)、ツクシクガイソウ(筑紫九蓋草)と分けることもあります。四国、九州に見られる花は変種、北海道に見られる花は別種と分類されています。
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| ルリトラノオは葉が対生している |
紫の花でよく似たものにヤマトラノオ(山虎の尾)) やルリトラノオ(瑠璃虎の尾)がありますが、葉が輪生していれば(一箇所から 3 〜 8枚出る)クガイソウ(九蓋草)、葉が対生二枚ならルリトラノオ(瑠璃虎の尾)と識別します。花期はクガイソウの方が少し早いです。
【 オカトラノオ(陸虎の尾) 】

オカトラノオ(陸虎の尾)は、やはりトラノオと呼ばれていることなど上述のクガイソウと似ていますがサクラソウ科オカトラノオ属の
多年草です。トラノオと名がつく植物は多くの科や属にまたがっていますが「トラノオ科」も「トラノオ属」というのも存在しません。
八ヶ岳でよく見られますが、高山植物というほどではなく、北海道・本州・四国・九州 の低山から高地の日当たりの
よい丘陵地や山の草原に生えます。高さは0.5〜1メートルにもなり遠くからよく目立ちます。
名前の由来は、長く伸びた花序の先端が垂れ下がるように咲くので、これを虎のシッポに例えたもの。「猫のシッポ」と
呼ぶ地方もあります。花が茎に片寄ってつくので曲がってしまうようです。
この仲間には水湿地に生育するヌマトラノオ(沼虎の尾)というのがあるので、これと区別としてオカ(陸)をつけたものです。
サクラソウ科オカトラノオ属にサワトラノオ(沢虎の尾)、ノジトラノオ(野路虎の尾) があり、ゴマノハグサ科にはヤマトラノオ(山虎の尾)が、
シソ科にもミズトラノオ(水虎の尾)、タデ科にはハルトラノオ(春虎の尾)がありますが多くは花穂が真っ直ぐ上を向いていて、あまりシッポを連想させ
ません。横にシッポのようになびくのはこのオカトラノオだけです。

花期は6〜7月。初夏に白い花を咲かせます。茎頂に10〜30センチの白く長い小さな花を穂状につけます。波打った全体の姿も美しいですが、よく見ると右の写真のように一つ一つ
の花の集まりです。直径1センチほどの白い5弁花を密集してつけます。花そのものの姿も整っていてなかなか清楚です。
花は下から順次咲いていき、おしべと花弁が対生しているのがわかります。

茎は円柱形で茎の基部は赤みを帯びています。長い地下茎でふえる性質を持っています。
ヌマトラノオ(沼虎の尾)との違いですが、こちらは名前のように、湿り気のあるところに生え、花穂がほぼまっすぐ上を向いて咲きます。
葉は左写真のように長楕円形で先は尖り、長さ6〜13センチほどです。
【 イタドリ(虎杖 スカンポ) 】

八ヶ岳ではイタドリは笹と同じく私と敵対関係にある植物です。なにしろ繁殖力旺盛ですこし油断するとたちまち一面イタドリで埋めつくされるので一刻の
油断も許されません。我が山墅では春一番に日当たりのよい斜面や道路の舗装の切れ目にその新芽の姿を見ます。たいしたことないと放ったらかすと夏過ぎ
には高さ2メートルにもなり、木のように硬い茎が立ち上がり強力な草刈機でないと最早太刀打ちできなくなるのです。
イタドリ(虎杖、痛取 )は、別名スカンポ(茎を折るとポコッと音が鳴り、食べると酸味があることから)の名前で全国に知られます。 茎や葉を食べるとすっぱいことからスイバ(酸い葉」)と呼ぶ地方もあります。名前の由来ですが、茎から糸が採れるので 「糸取(いとどり)」と呼ばれ、 それが「いたどり」になったとか、若芽を揉んで傷口に貼りつけると痛みを和らげる効果があり「痛み取り」から由来する、ともいわれます。 漢字の「虎杖」は漢名で、「杖」は茎のこと、「虎」は若い芽にある紅紫色の斑点が虎のまだら模様の皮に似ているところからきたといいます。
スカンポというのならよくわかります。戦後遊びながら野原を走りまわりながらよくおやつ代わりに食べたからです。しかし八ヶ岳で悪態をつきながら切り倒してい たイタドリがスカンポとは知りませんでした。
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| ベニイタドリ (名月草) |
イタドリの茎は竹に似て中空で円柱状。多数の節があり若いうちは水分を多く含んで柔らかく、古くなると木質化します。この茎に三角状の葉を交互につけ(互生)、 葉の長さは10センチから、15センチ。卵状楕円形で先が尖り、縁がわずかに波をうっています。特に若いうちは葉に赤い斑紋が出ます。雌雄異株で、雄花はおしべが 花弁の間から飛び出すように長く発達し、雌花はめしべよりも花弁の方が大きいことで見分けがつきます。夏には、白か赤みを帯びた小さな花を多数着けた花序を出 します。秋のお月見の頃に花が咲き、花の色が紅色を帯びるものをベニイタドリ(名月草)と呼ばれますが、これは本種の亜種として扱われます。
私のまわりにあるイタドリは、より高山性のオオイタドリ(大虎杖)のようです。本には「本州北中部の山地や北海道には草丈2〜3メートルにも達するオオイタドリがある」 とありました。確かに人の背丈ほどになる大型であることや「葉と葉鞘(葉柄基部を包んでいる小 さな葉のような部分)が大きいことからイタドリと区別される」と書いてある通りだからです。それゆえこの「我が敷地の高山植物」のコー ナーで紹介することにしました。
イタドリの雌雄が性染色体によって決定される(XY型で、X染色体と常染色体の比による)ことを最初に発見したのは、木原均(きはら・ひとし)です。北海道帝国大学で植物生理 学を専攻し、卒業後コムギの研究を開始、そのゲノム分析で世界的評価を受け文化勲章も受賞した細胞遺伝学者ですが、研究の途中イタドリの雌雄決定の法 則も発見したものです。
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| イタドリの果実 |
物理学者であり、すぐれた随筆家であった寺田寅彦は高知の出身ですからイタドリがエッセーに登場します。
寺田寅彦 「虎杖もなつかしいものの一つである。日曜日の本町(ほんまち)の市で、手製の牡丹餅(ぼたもち)などと一緒にこのいたどりを売っている近郷さんなどがあっ た。甘しょ、竹ようかんとともに、南国の白日に照らし出された本町市の人いきれを思い浮かべることができる。虎杖の記憶には、幼時の光景が密接につながっ ている」
「湿っぽい枯葉の匂のする茂みの奥に大きな虎杖)を見付けて折取るときの喜びは都会の児等の夢にも知らない、田園の自然児にのみ許された幸福である」 「スカンボの花などもさっぱり見所のないもののように思っていたが、顕微鏡で見るとこれも実に堂々たる傑作品である。植物図鑑によると雄花と雌花と別になっ ているそうであるが、自分の見た中にはどうも雄蕊雌蕊(おしべめしべ)を兼備しているらしいものも見えた」
寺田寅彦は長女が嫁ぐ時、祝いの品に、秤(はかり)と巻き尺を贈った。「長短」ある人生で、物事の「軽重」を誤るな、という物理学者と文学者の両方の教え を示したものだろう。
イタドリにはシュウ酸が含まれるため、えぐみがあり、そのまま大量摂取すると体に危険な植物です。そのため山菜として利用するときには茹でて水にさらし、あ く抜きするのですが、そうするとさわやかな酸味も失われてしまいます。その点、先進地、高知県でのあく抜き法はさすがというか、よくできているそうです。 まず苦汁や苦汁成分を含んだあら塩で揉(も)みます。こうすると、苦汁に含まれるマグネシウムイオンとシュウ酸イオンが結合し、不溶性のシュウ酸マグネシウ ムとなるので、シュウ酸以外の有機酸は残したままシュウ酸だけ除去することができるのだそうです。
塩を洗い落とした後、よく水気をふき取り、フライパンでさっと炒めます。味付けは、砂糖、醤油、酒、みりん、ごま油等 など。仕上げに、鰹節を振りかけて 出来上がり 、とあります。いろんな食べ方があるようですがおひたしが多いようです。
イタドリは薬にもなります。冬なって地上部が枯れた頃に根茎を採取し、天日乾燥させたものを虎杖根(こじょうこん)といい、緩下作用、利尿作用が あり民間薬に使われます。若葉を揉んで擦り傷などで出血した個所に当てると止血効果があり、痛みも和らぎます。ヨーロッパでは古くからしばしば食用にされ 、野菜として栽培品種もあったくらいで、古代エジプトでは、食用のほかに薬用にも使われていた植物です。
昔の子供の遊びとして、イタドリ水車がある、というので思い出したのですが確かに1,2度こうして遊んだことがあるのです。切り取った茎の両端に切り込みを 入れてしばらく水に晒しておくと「たこさんウィンナー」のように外側に反ってくるので、中空の茎に木の枝や割り箸を入れて流水に置くと、水車のようにくるくる回 るのです。
秋に昆虫が集まる花の代表的なもので八ヶ岳ではアサギマダラなどの蝶がよく集まっています。また、冬には枯れた茎の中の空洞をアリなどが冬眠用の部屋と して利用しています。イタドリハムシは、成虫も幼虫もイタドリの葉を食べて生きています。戦時中、タバコの葉が不足した時に、イタドリなどを代用葉としてタバ コに混ぜたといいます。トウモロコシの「ヒゲ」を英語辞書の用紙で巻いたのは知っていますが、イタドリまで使っていたとは初耳でした。インドや東南アジアでは イタドリの葉を巻いたものを今でも葉巻の代用としています。ひたすら敵視していたイタドリですがどうやら見方を改める必要がありそうです。
【 ツバメオモト(燕万年青) 】
八ケ岳の我が敷地の中でマイヅルソウやイワカガミに混じって同じ頃にかなりの株が咲くのですが2、3年間パソコンの中の 「名前不詳」のフォルダの中に入っていました。「ツバメオモト」の名前を見て分かるとおり、どこから見てもこの名前を 連想する手がかりはありませんでした。
2006年になって埼玉の森林公園の写真を紹介しているサイトで見かけ、これではないかと見当をつけたのですが、その記述に 「森林公園内の散策路ぞいにはほとんど見られなくなりました。可憐な雰囲気があるせいか、たまに道ばたで見つけて も次の週に行くと株ごと持ち去られていて、穴だけが開いているということがあります」とありました。盗掘の対象になるようなのです。 こういう人には土壌や生育環境のことを少し勉強してから盗掘しろといいたい。掘って持ち去って植え替えたところで根付くのはまれなものです。
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| ツバメオモトの実は成熟する につれ藍から黒に変わり、美しい。 |
ユリ科ツバメオモト属の多年草です。中国の南西部からヒマラヤにかけて分布しています。日本では本州(奈良県以北)、北海道の山地帯上部から亜高山帯にかけて分布します。葉の感じが観葉植物の オモト(万年青)に似ていることと、秋に出来る藍色、または黒色の実をツバメの頭に見立てて、ツバメオモトの名が付いたと 言われています。敷地内でかなりの数が咲く、と上述しましたが、実は名前がわからぬまま、この藍色の美しい実をあちこちにばら撒いた のは私です。この程度で簡単に増えるようです。
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| ツバメオモトの花。 すでに結実しているのが分かる。 |
窓のすぐそばに芽を出したとき、てっきりフキだと思いました。それほど似ているのですが食べられません。漢字では「丸葉岳蕗」と書き、
キク科メタカラコウ属の蕗(フキ)の仲間です。大きな丸い葉が特徴的で、小さな新芽なのにどんどん大きくなり、すぐに
高さが1メートルを超えます。
葉の直径も30センチ以上。長く伸ばした茎の先に、直径5cm 程度の黄色い花を数輪つけます。
花の色は遠くから目に付く鮮やかな黄色で華やかです。これが高山植物とは気づかず最初は邪魔にして刈り取っていたほど
ですが、強健で毎年7,8月にしっかり花を咲かせます。やや湿り気のある半日陰を好む、とあります。そばにヒオウギアヤメが
あるところを見ると、わが家の敷地は湿原の条件を満たしているのでしょうか。
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| つぼみはこんな形 | 実はタンポポの種子に似る |
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| マルバタケブキを好むする蝶は多い。 交尾中のアゲハ。 |
【 オオバギボウシ(大葉擬宝珠) 】
【 コバギボウシ(小葉擬宝珠) 】

橋の欄干についているタマネギ型の飾りを擬宝珠(ぎぼうし または ぎぼうしゅ)といいますが、この花のつぼみが
似ていることから名づけられたものです。擬宝珠とはなにかというと、宝珠に似たもの(擬)だから擬宝珠です。では宝珠とは、
なにかというと、仏様が持っているチンタマニ(如意宝珠)のことで、願い事がなんでも叶うという不思議な珠なのです。
こういう花の名前にもさりげなく仏教文化が入っていることに長い歴史を感じます。事実、日本人は食用植物として
古くからなじんできました。
ユリ科の植物でしたが近年、ギボウシ科へ変更されたので「ギボウシ科ギボウシ属」の多年草ということになります。
この仲間は日本には10種ほど自生しています。八ヶ岳にはオオバギボウシ(大葉疑宝珠)とコバギボウシ(小葉疑宝珠)
が混在しています。このほかタチギボウシ(立擬宝珠)、ミズギボウシ(水擬宝珠)などがあります。いずれも食用になります。
中国に生えるトウギボウシ(唐擬宝珠)は、『本草綱目』によれば根を薬にしたといいますが、今は使われないようです。中国名は「玉簪」なので、「たまのかんざし」というきれいな和名をもっています。
いろいろな種類をどこで見分けるかですが、花は春からオオバギボウシが咲き始めて、夏の盛りにかけてコバギボウシに交代
していきます。まず咲く時期でみわけます。次にオオバギボウシは葉も茎も全体に大きく幅広です。葉の内側に濃い色の筋
があります。葉は基部が心形または円形で柄に流れることはありません。咲きかけでつぼみが茎先にかたまっているとき、苞という葉だけが開いて、
上から見ると星形に見えます。オオバギボウシの花の色は淡青紫色です。
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| コバギボウシの葉 |
コバギボウシの学名は「Hosta sieboldii」です。hosta はギボウシ属の総称ですが、sieboldii はシーボルトのことです。
幕末の日本の黎明期に医者として長崎などにやってきたシーボルトは日本の草花をヨーロッパに紹介したことでも有名ですが
、こういうところにも名前を残しています。

山菜として見ると、オオバギボウシにしろコバギボウシにしろ、若葉が開きはじめたころがおいしいですが、太い茎葉は「うるい」とかウリッパ、ウルリッパ、またヤマカンピョウ(山干瓢)とも呼ばれ、5、6月ごろ若い葉をつんで山菜として食べます。名前の由来は葉の色がうり類の皮に似ているので、瓜菜(うりな)が転化したのではないかと言われています。「うるい」の方が一般名のようになっていて、全国各地に広まって使われています。
オオバギボ ウシは明るく開けた乾燥気味の斜面に生えますが、コバギボウシはやや湿った場所に生えるという違いがあります。どちらも 美味で、おひたし、煮つけ、天ぷら、汁の実、あえものとして独特のぬめりと舌ざわりが珍重されています。つぼみはてんぷらや 酢のものに、葉柄の部分はおひたしで食べるのですが、山菜のなかでも美味しいもののひとつとされています。

おいしいことは山の動物たちも知っています。ここ2、3年特に多いのですがシカが来るようになり、春先に敷地の「うるい」の若葉をきれいに食べ
て行きます。新緑前のまだ山が冬景色のころ芽を出すので彼らも食料として貴重なのでしょう。芽が次々と出るので、全部食べ
つくされるようなことはありませんが、昔に比べると花の量は半分ほどになりました。ギボウシは 秋になると写真右のような実を
つけます。乾燥したころを見計らって、というと、もういつ雪が来てもおかしくない時期ですが、大急ぎで種子を採集、あちこちに
蒔いておきます。翌春すぐ芽を出すようで簡単に増えます。こんなことで森の動物と共存を図っています。
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| 秋口に咲くキツリフネ |
本来はツリフネソウからはじめるのがいいのでしょうが、我が山小舎にはキツリフネしかないので、こちらの方から説明します。 ツリフネソウ科ツリフネソウ属 で学名は「 Impatiens noli-tangere 」です。インパチエンスは、ラテン語の 「impatient(我慢できな い)」が語源で、種子が熟すると勢いよくはじけ飛ぶことからきています。 キツリフネのラテン名「noli-tangere 」というのは 「私 に触れるな」の意味で、いずれもちょっとした刺激で種子がはじけることに由来します。英名も「touch-me-not」です。確かに、 我が敷地でもはじけ飛ぶ範囲で群落を作っています。
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| 釣り舟の形は虫を誘う形でもある |
高さは50センチほどで、茎は直立して枝を分け、通りすがりに触ると、すぐ倒れそうで全体に弱弱しい感じです。卵形の葉は互 生し、やわらかです。葉の縁に粗く浅い鋸歯があります。後で触れるツリフネソウに比べて、葉はやや丸みを帯びており、 花の うしろの渦巻状の巻き方がゆるやか、といった違いがあります。
一般に夏の終わりから秋にかけて(八ケ岳では9月中旬)、葉腋から細い花茎を出し、黄色の花を数個咲かせます。花は、つぼ みの時期は葉の上にありますが、膨らんで大きくなると下に垂れ、開花するころには葉の下(裏)にあります。 長さ2センチほどの黄色の花が、細い花柄の先から垂れ下がって咲きます。花の内側に赤い斑点があり、距は後ろに伸びて下 へ曲がります。果実は刮ハで熟すと葉の下に釣り下がるように付きます。
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| マルハナバチがやってくると しっかり花粉が付く仕組み |
さらに巧妙な仕掛けが用意されています。キツリフネは、両性花で、開花して1日目は雄しべが付いているのですが、2日目に は雄しべのキャップが外れて雌しべになり、マルハナバチが中に入るのにぴったりの花のサイズになるのです。喜んで中に入っ たマルハナバチは、たっぷりと背中に花粉を付けることになります。マルハナバチは、蜜を集め始めると同じ種類の花の蜜ばか りを集める習性があります。そのため花粉は無事に同じ種の花に運ばれるのです。
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| ツリフネソウ |
北海道から九州まで広く日本に分布する1年草です。草丈40〜80センチ、葉は互生し葉柄は長く、長楕円形で先は鈍形、縁に 鋸歯があります。葉の表面にはしばしば赤茶色の斑点が出ます。花期はおおむね6-10月と長いです。 花序は茎の上のほうの葉のわきから上にのび、暗紅紫色の短くて太い突起が生えています。キツリフネの距は下に曲がるだけ ですが、ツリフネソウは、くるりと渦のように巻き込んでいます。
花は長さ3〜4センチで茎の上部の葉脇にぶら下がってつきます。花弁は3枚です。 3個の萼片のうち、下の1個だけが大きな筒の袋となって花弁を抱き、後端は細くとがった距(きょ)となります。 花は3個の萼片と3個の花びらから成り、なかでも唇弁と呼ばれる後ろ側にのびる萼片は袋状の特殊な形をしていて、袋の先は 渦巻きのような管になっています。この管が距で、先の小さなふくらみに蜜があります。花冠は、正面に立って花粉を運ぶ昆虫 の標的となる花びらと、前方にのび出して昆虫の足場となる左右1対の花びらの3個から成ります。
最近では園芸店でインパチェンス(impatiens)と呼ばれていますが、昔、多くの家庭で栽培されていたホウセンカ(鳳仙花)と同じ 仲間になります。属名の「impatiens」は「こらえきれない」という意味です。熟した果実は刮ハでちょっと触れるだけで種を勢いよ くはじきとばすことからきています。
日本では、鳳仙花は別名「爪紅」(つまべに)といい、和製マニキュアとして子どもの遊びに使われたりしました。中国語では「指 甲草」といいます。こちらも爪の草という意味です。赤い鳳仙花の花弁を杯に入れ、明礬を加え花弁をつぶしながら混ぜて爪を 塗りました。 この色は、水で洗っても落ちませんし押し花にしても褪色しません。
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| これは四国などにある ハガクレツリフネ |

ウルップ島は千島列島にある火山島です。漢字で書くと「得撫島」です。古くからアイヌが住み日本領のときは北海道根室支庁得撫郡に属していたところです。法的には現在、領有権帰属は未定ですがロシアが実効支配しています。北方四島のすぐ隣の島で、ラッコなどの繁殖地としてテレビで見た覚えがあります。その島で見つかったのでこの名がついたものです。しいて漢字表記するほどでもないので上記のように書きました。
東京の園芸店で一株みつけました。北海道より北で育つのだから大丈夫と、買い求めたのは2000年春。すぐ青いきれいな花が咲きました。その後本を読んでいたら、これも八ヶ岳をはじめ本州のわりに高い山や北海道に自生しているとあります。千島をイメージしなくてもすぐ身近な植物だったのです。青い花は少ないので鉢植えで大事に育てています。八ヶ岳のほか、白馬岳,礼文島にも分布していますが、礼文島では個体数が激減しているといいます。私がふやしてみせようという気構えです。![]() |
| 我が敷地のマイヅルソウの群落 |
ヒメマイヅルソウ(姫舞鶴草)というのがあるようです。茎は10センチ前後というからこちらに近いのです。「ヒメマイヅルソウの産地は本州の中部以
北と北海道の亜高山に限定され、なかなか見つからない。葉の形が三角状卵心形で、葉縁や裏面、脈上に柱状の突起毛が密生している点が
マイヅルソウとの区別点となっている」そうですが、もう一つはっきりしません。
くっきりと見える葉脈の曲線が空を舞う鶴の羽根の形に似ていることから、
舞鶴草とついたというのですが、私にはどこをどうみても鶴には見えません。
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| マイヅルソウの実 |

その後、植物学的に珍しい、立派な花だということを知りました。日本中の山地から亜高山帯で見られ、
花も咲けば実も結ぶれっきとした草花です。花期は7〜8月。八ヶ岳では6月中旬、スズランやマイズルソウといっしょに咲き出します。
根以外は純白色で半透明なところからその花の形を竜に見立て、銀竜草(ぎんりょうそう)と名付けられたと
いわれています。鱗のように見えるのは葉が変化したものです。 高さは10ー20センチで、花の先に紫色を帯びた雌しべと黄色い雄しべが見えます。果実は白く球形で、水分を多く含み、
下を向いたまま熟します。
ギンリョウソウは、腐生殖物といって、他の生物の死体や排泄物などを栄養源として生活する植物です。
細菌や菌類に多く見られますが、高等植物ではギンリョウソウなど数種類といいます。
葉緑素をもたないので光合成が行えず、自らは全く栄養分を生産することができません。そこで根の周りに
腐生の菌糸を棲まわせ、その消化物を自分の栄養としている珍しい植物です。
最初見つけたときはスズランかと思ったほどです。スズランのすぐ近くに咲いていましたし、花が咲くまではイワカガミだとも思いました。葉が似ているのと、我が敷地では両方ともまったく同じ場所にあるからです。よく見るとにょろっと下に突き出た象の鼻のようなめしべが特徴です。葉は深緑色の楕円形で、葉柄(ようへい)と葉裏は紅紫色を帯びたものもあります。スズランが終ったあと20センチくらいの花茎が伸び始めて、5〜10個の白やピンクの花をつけます。花は梅の花に似ています。
イチヤクソウは北海道〜九州、朝鮮・中国に分布するイチヤクソウ科の常緑の多年草草本です。明るいマツ林や落
葉広葉樹林中に生育します。やや厚い深緑色の楕円形の葉を根生します。葉脈の部分の緑色が薄く、模様になっているのが特徴です。葉柄(ようへい)と葉裏はときに紅紫色を帯びることがあります。
左の写真は敷地で撮影したものです。タイトルを「イチヤクソウ」としましたが、本当はもっと高山性の「コバノイチヤクソウ」とするべきなのかもしれません。葉や花が小振りなことでそう思うだけで、正確に分類する知識がないので大雑把ですが「イチヤクソウ」としておきます。

イチヤクソウ(一薬草)は6月から7月にかけ、高さ20センチくらいの花茎を伸ばして総状花序(細長い花軸に柄のある花が多数
つき、下から順次咲く茎の花のこと)をつけます。5〜10個の白色花をつけ、花は白色で直径13ミリ程度、やや下向きに開きます。花弁は5枚、雄しべはたくさんあり、雌しべはこれより飛び出して湾曲しています。細長い地下茎を出し増殖します。
果実は扁球形の刮ハ(さくか)で10本の稜があります。イチヤクソウは
種子の形成にずいぶんと時間をかけるので、開花時にも先端に前年の花柱がそのままの形で残っていることが多いほどです。1つの株が毎年花を付けるということは少なく、展開する株の数に比べ、開花している個体が少ない傾向があります。
和名で「一薬草」と書きますが、多くのクスリになることからついたようです。開花期に全草をとり、風通しのよい日陰で乾燥させたものは生薬で「鹿蹄草」(ろくていそう)といい、脚気やむくみの利尿に降圧剤にと使われます。中国では避妊薬としても使われるとのこと。中国ではリューマチによる関節痛に用いられていて効果があるそうです。
生薬は汁液を切り傷や毒虫のかむ傷跡に塗布して効き目があるとされます。
幕末の近代植物学者である飯沼慾斎(いいぬま・よくさい 1783〜1865)の「草木図説(そうもくずせつ)」にも効能が多い「一薬草」が記載されています。
上述したギンリョウソウ(銀竜草)も同じイチヤクソウ科に属している菌根植物で、根に菌類が入り込み、植物は菌類から無機養分やビタミン類を吸収し、菌類は植物から有機栄養を吸収するという、共生関係にあります。
ベニバナイチヤクソウ(紅花一薬草)
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| ベニバナイチヤクソウ |
マルバノイチヤクソウ(丸葉の一薬草)
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| マルバノイチヤクソウ |
これも敷地にあるのですが、このあたりに多いマルバノイチヤクソウについて触れます。例によってイチヤクソウをやっと覚えたものの、最近まで違う種 類があるとは知らず、いろんな色があるんだ、で満足していました。
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| 萼片の先が丸く 、花柄が赤い |
北海道から本州、四国、九州のある程度高度のある深山の林の中に生える多年草で花期は6月から7月です。
コイチヤクソウ(小一薬草)
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| コイチヤクソウ(小一薬草) |
イチヤクソウ 葉は円形〜広楕円形(長さのほうが長い)、花はふつう白色、萼片の先はとがる。 マルバノイチヤクソウ 葉は扁円形(長さのほうが短い)、花はやや赤みを帯びた白色、萼片の先はまるい。 コバノイチヤクソウ 葉は円形〜楕円形(長さのほうが長い)、花はふつう白色、萼片の先はとがる。 ベニバナイチヤクソウ 葉は広楕円形(長さのほうが長い)、花は紅色〜淡紅色。 コイチヤクソウ 葉は卵形、花は白色、総状花序で一方側につく。【 ギョウジャニンニク(行者大蒜) 】

このホームページの「八ケ岳の食卓」で《アイヌに教わる山菜の王者》として紹介しているので そちらを見ていただければ、と思います(クリックでその項に飛びます)。
本州中部では亜高山地帯の針葉樹林に群生しています。まさに我が山小舎の環境なので、八ケ岳のあちこちを探せばあるのでしょうが、近辺に見あたりません。ありそうな場所はほとんどが保護区内で採取が禁じられているため、自然ものは市場に少量しか出回らず高値で取引されています。本場の北海道でも見かけるのはまず栽培ものだそうです。私は近くの山菜店で買ってきた苗をプランターに入れて、我が山小舎で育てているので、とりあえず、この「我が敷地の高山植物」の項目に入れました。ここに生えているわけではありません。
プランターでの栽培を始めて数年ですがまだ食べたことがありません。5月上旬の芽生えの頃シカやニホンカモシカが来て先に食べてしまうからです。自然のものでもこうなのだろうか、だから彼らは元気なのだろうか、首をかしげつつ少しは残してくれることを願う春先です。
ユリ科ネギ属の多年草。湿った土壌で生育し、7月頃に開花します。食用には葉茎を用います。生育速度が非常に遅く、 自然では本葉2枚に達するまで、数年かかるようです。まだ葉が開かない状態のものが、味・香り共に濃く珍重されます。
ギョウジャニンニクという名前は、これを食べると精がつきすぎて修行にならないため、山にこもる修験道の行者などは食べることを禁じられたという言い伝えに由来します。北海道ではアイヌ民族が料理に用いていたためアイヌネギと呼ばれ、他に ヒトビロ、キトピロ、ヒトビル、ヤマビルまたはヤマニンニクなどの別名があります。5月上旬から中旬頃の山菜として 栽培ものが出回り、しょうゆ漬けにして保存したり、生のままやおひたし、卵焼きに混ぜるなどして食べます。
ニンニク同様、アリシンを豊富に含んでいて、抗菌作用やビタミンB1活性を持続させる効果があり、血小板凝集阻害活性のあるチオエーテル類も含むため、血圧の安定、視力の衰えを抑制する効果がある。 ニンニクの成分に近いためか、食べたときの風味もニンニクに近く、独特の臭いを持っています。
八ケ岳でシカに食べられないで、どうしてギョウジャニンニクを増やせばよかろうかとばかり考えていたのですが、衝撃的な記事に出合いました。
写真右がイヌサフランの葉ですが、確かに似ています。しかし、イヌサフランは花の観賞用で、こんな球根が山地に自生しているわけではありません。この人も妻の実家で観賞用に栽培していたものを山菜と思い込んだ事故のようです。八ケ岳でイヌサフランを栽培するとシカが中毒死するんだろうかと考えました。スズランをきれいに残すくらいだからきっとなにがしかセンサーを持っていることでしょう。春先には敵に見えるのですが、とりあえずイヌサフラン類は持ち込まないことにしました。ギョウジャニンニクと似た毒草食べ、男性死亡
新潟県長岡地域振興局は16日、管内に住む50歳代の自営業の夫婦が、食用のギョウジャニンニクと誤って毒草のイヌサフランを食べ、夫が死亡したと発表した。
似ているがこれはイヌサフランの葉
同局によると、12日に妻の実家の敷地内で誤ってイヌサフランを採取。13日夜、いため物にするなどして2人で食べたあと、下痢や腹痛などの症状が出た。病院へ行ったが、夫は多臓器不全で死亡、妻は回復したという。
イヌサフランは、ギョウジャニンニクと似た葉をつけ、有毒成分の「コルヒチン」を含むとされる。食べると呼吸困難などを引き起こすという。 (産経新聞 2007年04月17日)

この植物の名前を知るまでに3年かかりました。春先、敷地でスズランが咲くころ見つけました。写真も撮りました。でも名前がわかりません。植物に詳しい人ならどうということないのでしょうが、「スズランに似た花」では取っ掛かりがなくて、パソコンに「不明の花」として張り付いたままで、さがしあぐねていました。あるところで「スズランに似たアマドコロ」という記述に出会い、これをヒントに一気にたどり着いたのです。アマドコロのように大きくないので、その近辺をさがしてやっと・・・というわけで、いまでは回り道した分だけ愛着のある花となりました。
山小舎のカーポートのそばで車輪につぶされそうに咲いていたときは、スズランかと思いましたが、花の付き方が違います。
ヒメイズイ(ユリ科)は山地のほか北国では海岸にはえ、高さ15〜30センチの多年草です。漢字では「
」と書き、分類上は「ユリ科ナルコユリ属 キジカクシ亜科アマドコロ連」になります。難しい字で当用漢字にもなく、強いて漢字表記するものでもないのでカタカナ表記にしておきます。
写真(左上)のように、葉の脇から長いつりがね状の花を垂らします。2〜3個、あるいはそれ以上下がっています。長さは5〜10ミリほどで筒状に合着し、淡緑色をしています。30センチ程になるところもあるようですが、礼文島では5センチほどだといいます。八ヶ岳のは15センチほどでしょうか。素人判断ですが草丈は寒さに比例するようです。
ヒメイズイの名前の由来ですが、アマドコロの中国名がイズイだそうで、それより小さくかわいらしいところから、ヒメ(姫)イズイという名前が付けられたそうです。
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| ヒメイズイの実 |
細かい地下茎を横に伸ばして増えていきます。根茎の節間が長く、また地下の根茎から10〜30センチも上に伸び、そこから茎を直立させます。つまり地下深く根を横に広げていくのです。笹と同じような広がり方です。 こういうことを知らなくて、球根だと思って、鉢に移し替えようと、園芸用の小さいスコップで掘り出そうとしました。見たところ15センチほどですから簡単にいくと思ったら、なんのなんの、手ごわい感触で跳ね返されました。
私が迷ったように「細い柄からスズランに似た筒状の花がぶらさがる」、という点で花の形が似ているものとして、ヒメイズイの他にアマドコロ(甘野老)、ホウチャクソウ( 宝鐸草)、ナルコユリ(鳴子百合)があります。
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| オニドコロ |
ヒメイズイの同じ仲間にアマドコロ(甘野老)やオオアマドコロがあります。その前にまずトコロ(野老)という植物から説明しなければなりません。オニドコロ(鬼野老)ともいいますが、ヤマノイモ(山の芋))科ヤマノイモ属です。「とろろ」を擂(す)るときのヤマイモの葉と同じような葉をしています。根は苦くて食べられません。アマドコロの地下茎はトコロに似ているが、苦味がなく、少し甘いので「甘い野老」というのが名前の由来です。
「トコロ」というのは根にかたまりができるものを「凝(とこり)」というのが、「ところ」に変化した。 また「”とろり”と凝った汁」ができることから変化したなど諸説あります。漢字で「野老」と当てるのは、”ひげ根”を老人の髭(ひげ)に見立て、海の「海老」があるのに対して「山の野老」ということのようです。
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| これはアマドコロ |
ヒメイズイを大きくしたようなアマドコロは山地や原野に生え、高さ40〜80センチ、葉は長楕円形で長さ7〜12センチ、細かな 脈があり裏面は粉白色。長さ2センチほどの筒状の花が1〜2個ずつつき、先端は多少開いて緑色です。果実は球形で秋に 黒紫色に熟します。
アマドコロは大変な薬草で、滋養、強壮、強精、老化防止、美肌、色白、脳卒中、糖尿病、胃潰瘍まで薬効があり、中風による足の筋肉 障害を取り除く効能まであります。煎じて煮詰めたものを呑むのですが、打撲傷、捻挫には、生の根をすりおろして塗布します。アマドコロの根茎を乾燥したものは滋養強壮薬として使われます。 食用にも重宝され、早春に、芽をだしたばかりの若芽を地下茎の付着部から取り、水洗いしてから、塩を入れた熱湯で茹でて、 水にさらしてアク抜きをします。油でいため、みそとミリンで味付けをします。酢、みそ、みりんであえたり、マヨネーズで食べます。
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| ナルコユリ |
ナルコユリ(鳴子百合)は、田畑から害鳥を追い払う鳴子ににていることからの命名です。山地の林の中などに生え、若芽を食用にします。漢方ではナルコユリ根を干したものを黄精(おうせい)と呼び、昔から強精薬として有名です。俳人小林一茶は老境に入ってから3人の妻を迎え5人の子をもうけたのですが、この薬効と言われています。江戸時代には、南部(今の岩手県)からやってきた黄精売りが江戸の街を売り歩いたと言われています。
ナルコユリ(鳴子百合)は、丘陵地や林の木陰などに自生する多年生草本で、北海道から九州及び朝鮮半島に分布します。近縁種にミヤ マナルコユリ(深山鳴子百合)があり、丈は大きいものでは1メートルに達し、茎は少し横に傾き、菓は細長くササの形をしています。 緑白色の花が3〜8個垂れ下がって開きます。
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| ホウチャクソウ |
ホウチャクソウは日本全国、朝鮮・中国の林縁や谷沿いなどの森林中に生育するに分布する多年草。白い釣り鐘状の花を
先端に付けます。花弁の先端は緑色を帯びています。名前は、寺の堂や塔の四隅の軒に吊るすちいさな鐘を宝鐸(ほうちゃく)
ということからきています。
みんな似ていますので、その見分け方が必要です。
○ヒメイズイは茎が直立しますが、アマドコロは茎が弓形になり、ホウチャクソウは枝分かれしている。
○アマドコロは茎には6稜があり、花が一か所から1〜2個下がる。ナルコユリの茎は1メートルになるほど長く、切り口は丸く、花が一か所から3〜8個下がる。

花弁のように見えるのは萼片(がくへん)で5枚あります。葯(やく)は白色。3小葉を3個輪生し9個に見えます。1本2本で生えている
ものが多く群生しないようです。
イチゲは和名で「一華」と書きます。キンポウゲ科イチリンソウ属(学名はアネモネ)の花のいくつかにイチゲ
の名が付いています。一輪草とか一夏草、一花草、一華草と書かれることがあります。
アズマイチゲ(東一華)、キクザキイチゲ(菊咲一華)、ユキワリイチゲ(雪割一華)、イチリンソウ(一輪草)もこの仲間です。ヒメイチゲは花が小さいところから「姫」
がついたもので、「姫一花」と書かれたりします。花が1個だけ頂生することからの命名でしょう。
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| アズマイチゲ |
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| 群生するエゾイチゲ(蝦夷一華) |
学名は「Anemone debilis Fisch」属名のAnemoneは地中海産のアネモネのギリシャ名で「風の娘」の意。種小名debilisは
「弱小な、脆弱な」という意味です。
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| 07年6月見かけたマムシグサ。形といい まだら模様といい、びびりました。 |
マムシグサ(蝮草)は北海道から九州の明るい森林や谷沿いのやや湿った場所に生育する「サトイモ科テンナンショウ属」に分類される 多年草です。高山植物というほどではなく、八ケ岳では6月ごろあちらこちらでみられます。左の写真を見たら誰でも後ずさりするのではないでしょうか。

春に地下の球根から茎を伸ばし、2枚の葉と花のように見えますが仏炎苞(ぶつえんほう)というのを形成します。
本当の花はその中にあります。葉は多数の小葉に分かれており、苞は緑色のものから紫褐色を帯びるものまであり、
緑色のものはカントウマムシグサ(関東蝮草)、紫褐色のものはムラサキマムシグサ(紫蝮草)です。果実は秋に橙色に熟し、トウモロコシの形となります。
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| 大きくなると1bを超す株も |
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| この形がマムシ の名の由来 |
マムシグサの花の構造が特筆に価します。5月から6月にかけて咲く花は仏炎苞を開いた中にあり、
雄しべだけ付けた株と雌しべしか付けない株があります。つまりマムシグサには雄・雌の別があります。
マムシグサは実がなりますから、種子を付ける雄株から雌株へ花粉を運ぶ必
要があります。この仲立ちをするのが昆虫ですが、残酷な仕組みになっています。
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| 雄花の内部 |
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| 雌花の内部 |
地下に球茎(担根体)があり、そこから茎(偽茎・本来は葉柄)が出てその先に花を付けます。担根体は根でも茎でもなく茎の
基部が球茎になったものです。葉は球茎から直接出て、
花を付けない個体では1枚、花を付ける個体では2枚出てきます。多数あるようにみえるのは小葉に分かれているためです。
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| この毒々しさ。 赤い種子には毒性がある |
しかし、強い毒性は一方では薬にもなります。
長野県の伊那地方では古くから飲んで効く腰痛の薬として知られ、熟した実を1日5、6粒飲むか、乾燥した実なら1日4〜
5粒飲むと、全身が温まり、腰痛に効くとされます。薬効がかなり強いので、常用せずに、痛みが和らげば服用をやめることといわれます。また球茎をおろし器ですりおろし、リウマチや神経痛の患部に湿布するという使い方もされるとのこと。
マムシグサは性転換をします。個体の大きさにより、小さな個体は花を付けず、雄花を付ける個体はそれより大きく、
もっと大きい個体は雌花を付けます。一つの個体が無性−雄性−雌性と変化する植物だそうです。担根体の大きさで決まるようです。
見分け方は筒のようになった苞の合わせ目です。雄花序では水筒状の隙間がありますが、雌花序では合わせ目はほぼぴったりとくっついています。
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| ウラシマソウ(浦島草)の長いヒゲ は何のためにある? |
我が敷地に咲く小さく白いこの花を見たときは、例によって「スズランかな?」と思いました。これまでの人生で名前
が分かる花がスズランくらいしかなかったお粗末からです。よく似ているギンランというのがあるのですが、八ヶ岳に
多いのはササバギンラン(笹葉銀蘭)なのでこちらから説明しますが、林の中で見かけると、優雅な姿にほれぼれします。
ササバギンランは北海道、本州、四国、九州の山地に分布する多年生地生ランです。ギンランに似て
葉が長く笹の葉を思わせるところが名前の由来です。我が敷地ではやや日陰で湿り気のある腐葉土の多い場所に
咲きます。この付近では美鈴池近くに多いところをみると湿地を好むようです。茎は細長く直立して淡緑色、高さ30
〜50センチから70センチになります。この草丈の長さもギンランとの識別点です。高山植物というほどではなく、もっ
と下の低い山でも見られます。
細長い葉を6〜8枚つけ先端は尖っています。葉は互生、縦に脈が10本ほどあります。基部は茎を抱いて、葉脈が
硬く浮き出ています。5〜6月ごろ(八ヶ岳では6月下旬)白色の花を茎頂に5〜10個つけますが、いずれも開ききら
ず、半開きのまま終わります。それがこの花の特徴です。
葉の裏面、ふち、茎の稜上、花序に白い短毛状突起があるので、これでギンランと区別しますが、難しいので、そ
れより、下から2〜3花に緑色で葉のように見える苞葉と呼ばれるものがあるので、これが花と同じかもっと長いか
で見分けます。花もギンランに比べて少し大きく長さ1.3センチぐらいあります。花茎の直下の托葉が長いのもササ
バギンランの特徴です。
ギンラン(銀蘭)も北海道から九州までの山地の少し湿り気を帯びた林内に生えるラン科の多年草です。こちらも高
山植物というほどではなくかなり低いところにもあります。茎の高さは10〜25センチ、ササバギンランより
かなり背丈が低く円柱形に直立します。
葉は長楕円形で2〜6枚互生し、はっきりとした葉脈があります。花期は5〜6月ころで茎の上部に約1センチの白
い花を5〜10個つけますがあまり開かず、こちらも半開きのままで終わる花です。唇弁の基部は短い距となり、上
部で3裂します。全体が小形で、無毛。花序の基部にある苞は花序より低いのが特徴です。
【キンラン(金蘭)】

同じような花で黄色のものにキンラン(金蘭)=写真右=があります。花が白い方を銀
色とみなしてギンラン、黄色を金色にま立ててキンランというのが違いです。
キンランは温帯域に主産する種で、北海道には分布しません。葉はやや鎌形に反りかえります。個体数もギンラ
ンより少ないようです。

【ユウシュンラン(祐舜蘭)】
さらによく似たのにユウシュンラン(祐舜蘭)=写真右=があります。名は植物学者の
工藤祐舜氏にちなんだもの。ギンランの変種で、やや
湿った腐葉土に生え、高さは10〜15センチとずっと小さいもの。葉は上部の1個だけが大きく、その他は退化して
鱗片状になっています。
花は2〜4個付き、花被片相互に少し隙間があり、距が顕著に前に突き出ています。こちらの個体数も少なくなっ
ているようです。

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