いったん八ヶ岳に上がってしまえば、うまいものを食べようなどという気は起きない。何を隠そう、疎開世代である。 雑炊も、焦げた匂いの脱脂粉乳の給食も、 「青い顔してなんば粉食べて・・」と歌われ、水と一緒でないとのどを通らない トウモロコシの粉で焼いたパンのぱさぱさも体験済みだ。
習い性になって、その時あ るものでいいと思っている。 十数年そうしてきたが、慣れてくると近在にそこそこおいしい店があることに気づいた。

まずいことに、この飢餓世代の特徴としてDNAに美味求眞への欲求が擦り込まれている。欠落した時代に食べ損なったうまいものを食べないと死に切れない というところがある。
だが「贅沢は敵だ!」という強迫観念も持ち合わせているため、折り合いとして「B級グルメ」 で満足するところがある。 「B級グルメ」というのは「安くて、そこそこうまい」ということの代名詞である。


B級グルメ  menu
長野県・諏訪市
うなぎ 「古畑」

長野県・飯田市
うなぎ 「丸井亭」

山梨県・北杜市小淵沢町
うなぎ 「井筒屋」

山梨県・北杜市高根町清里
そば 「北甲斐亭」

山梨県・韮崎市
フランス料理 「キュイエット」 そば 「瓢亭」

山梨県・甲府市
支那そば 「お尾」(閉店しました) 支那そば 「蓬莱軒」 支那そば・中国料理 「華宴」
支那そば 支那そばや「和光」 甲府鳥もつ煮 「奥藤」
うなぎ 「ますや」

静岡県・静岡市 三島市
うなぎ  「石橋」 うなぎ 「桜屋」 うなぎ 「水泉園」
うなぎ  「元祖 うなよし」 うなぎ 「本町 うなよし」

ぐるめ 3考

ラーメン考                   「支那そば」へのこだわり

蕎麦(そば)考                信州ではそばを食べるべし

うなぎ(鰻)考                 つかみ所のない話

 




カーナビの入力に必要な郵便番号、住所、電話は
屋号の下にまとめてあります。

諏訪湖
我々がいる八ヶ岳の東麓から諏訪湖は比較的近い。しかし、八ヶ岳周辺のほかのところより足が向かないのは、結構時間がかかるからだ。諏訪湖を囲んで岡谷市、下諏訪町、諏訪市と三つの行政区域が並んでいる。古い町だけにB級グルメの渋い店が多いし、いい温泉が湧き出しているので、いったん足が向くとえらく忙しいことになる。

うなぎ 「古畑」 
〒392-0027 長野県諏訪市湖岸通り5-15-3   
TEL 0266-52-1167  FAX 0266-52-1762
諏訪湖岸まで数十メートルの「古畑」

岡谷、諏訪周辺にはうなぎの名店が多い理由は小淵沢の「井筒屋」のところで書いた。値段といい味といいこの「古畑」がおすすめなのだが、訪れた2005年夏はシラスが高騰していた。値上げするなら高いシラスウナギが成長する半年後だろうが、各地でうなぎの便乗値上げが続いた。訪問した時は土用の丑の日の前だったが、ここも全品200円アップしていた。安い部類だったが、ほかと同じになったのが残念。

創業60年だが、うなぎ専門になったのは現在の店主の代から。先代からの名残りでメニューに「かつ重 1260円」というのが残っていたりする。長野は九州と並んで馬刺し文化圏だがこれもメニューにある。川海老も。

一番安い「松」。この上の
「竹」だとうなぎが2段入っている。
松    1800円 
竹    2300円 
梅    2850円
特梅   3800円
うなぎの蒲焼き、白焼きがともに1650円。肝焼、うざく、う巻きもある。

店主が上質なうなぎだけを選んで焼き上げる。 うなぎの味が引き立つタレかどうかが大事だそうだ。作り方など知る由もないがうまかった。炭にもこだわり、看板に備長炭焼きをわざわざ掲げているほど。米もそうで安曇野産と魚沼産のコシヒカリをブレンドしたものを使っている。隣にもう一軒うなぎ屋が並んでいるが、そこの駐車場に「(間違ったら)5000円」というよくある脅し文句があった。張り合っているのかも。


【 営 業 】
営業時間 11:30〜14:30 17:00〜20:30
定休日 水曜日
【 アクセス 】
・上諏訪駅から徒歩数分の住宅街の中の細い通り。
・10台ほど入る駐車場あり。

▲ページトップへ

飯田市
諏訪湖があるので諏訪、岡谷のうなぎはうまいと書いたが、同じ理屈でそこから流れ出る天竜川流域の伊那谷はうなぎの名店が多いということ になる。この店は2007年4月、飯田へ桜の名木10数本を見に行ったときに知った。

うなぎ 「丸井亭」 
〒395-0045 長野県飯田市知久町4-1226   
TEL 0265-22-0349  
桜を見に行ったらおすすめ「丸井亭」

2007年4月8日、早朝から桜を求めてこの町の市内や近郊を走り回っているうちにお昼時になった (記事はこちらに)。新聞記者生活で身に着けた知恵で、こういう時は 町の観光案内所か、役所の観光課に飛び込むことにしている。さらに高等テクニックとして秘書課に紹介を頼むときもある。

なぜなら、こうした行政の部署は 町の穴場にしろ旨い処にしろ町の隅々まで通じているうえ、VIP接待などで使っているから、味や値段から経営者のことまでよく知っている。こちらの 人品骨柄(たいしたことないが)まで判断したうえで、たちどころに店の名前を教えてもらえるものなのだ。

「うなぎか蕎麦を食べたい」と言うと案の定「飯田ならうなぎがいいでしょう。(こちらがクルマで来ている事を判断した上で)ここは歩いても行けますが駐 車場もあります。遠くから来る人もいるくらいの店です」と駅前の観光案内所から即座に答えが返ってきた。

必要な情報、つまり、飯田では「そばよりうなぎがいい」、「駐車場あり」、「味は第三者も保証」、という知りたいことがみな入っている。値段が 入っていないが、気にするほどではないですよということも言外に含んでいる。手馴れたものだが、全国どこに行ってもだいたいこうして即答が得られ ることは経験ずみだ。「お口に合うかどうかわかりませんが」というセリフがあればもう言うことがない完璧さだ。味と言うのは好みに個人差がある ことだから。

「丸井亭」に着いたのは午後1時過ぎだったがそれでも客席6テーブル、24席ほぼ満員。ということは、かなり地元の名店で客が多いということを意味しているので一安心だ。 店先には行列用にベンチまで用意されていた。うなぎ選別用の大きな使い古したざるやうなぎを入れるらしい甕(かめ)も並べてあって古くからの店な のがわかる。注文する前に味から値段まですっかり信用していた。別な入り口から2階があり座敷があるようだが、こちらのような飛び込み客には関係ないので触れない。

写真のうな重は3200円

「当店は青鰻を使い、備長炭と秘伝のたれに2度漬けして団扇であおぐ昔ながらの方法で焼き上げています」とあった。「うなぎ釜めし」(1750円)、「うなぎ丼」(1700円)などもあるが、私はどこでも「うな重」に している。この店では吸い物つきで、2200円、2500円、3200円の3種類。一番安いものを取ったが、背開きの関東風のさばき方で質量とも十分でおい しかった。うなぎの量が多い分で値段が違うようだ。この店はホームページもあり、 自分でも撮影したが出来が悪いので、掲載した写真はそちらからの拝借。

【 営 業 】
営業時間 11:00〜14:30 16:30〜21:00
定休日 木曜日
【 アクセス 】
・JR飯田駅から徒歩5分の幹線道路沿いにある。
・中央道飯田ICからクルマで10分ほど。
・5台入る駐車場あり。

▲ページトップへ

小淵沢
小淵沢(こぶちざわ)というと我が家の娘たちは、野辺山に行くために中央線から小海線へ乗り換える駅、くらいにしか思っていないが、一帯に人が住み始めるようになったのは約1万年も前からだ。60カ所以上の遺跡が 証明しているように、約4千万年前の縄文時代にはすでに多くの人々が生活していた”先進地帯”だ。加えて、武田信玄が棒の道を通って京に向かった古くからの交通の要所でもあり、交流によって「B級グルメ」が発達しておかしくないところなのだ。

うなぎ 「井筒屋」 
〒408-0044 山梨県北杜市(旧、北巨摩郡)小淵沢町1035  
電話 0551-36-5990
風情がある井筒屋の店舗。
八ヶ岳に山小舎を構えて10数年たち、小淵沢あたりにもしょっちゅう買い物に来るのだがこの店は知らなかった。 ましてうなぎの名店があるなどとは。八ヶ岳の山すそなので山菜ならわかるがうなぎのことなど思い至らなかったが、諏訪湖があるので昔から諏訪、岡谷の名物として、うなぎは有名なのだと知った。だからこの小淵沢にもある のだという。(北杜市への正式合併は平成18年3月15日)

山小舎から4,50分かかるのだが、店先に並んでいたら前の家族も同じ自然郷から食べに来たという。ほとんど お隣さん同士だ。ごらんのような櫺子(れんじ=連子)格子の建物で、これがうなぎ屋にぴったりの雰囲気だが、 この建物は、戦前に建てられ、旅館だったときもあるようだが、戦後、和菓子屋として営業していた。その子孫が 4年ほど前からうなぎと天ぷらの店を始めた。

店の名前も和菓子屋のときの屋号そのまま。
中は、10畳ほどの座敷が二つと、8畳部屋。磨き込まれた太い柱や長押、ガラス障子や電灯の傘まで、昔のまま。

現在、うなぎは諏訪湖周辺では営業用に使うほどは取れないので、静岡・富士吉田から毎日直送されている。その日のうちに地下水で身をしめ、備長炭で焼く。諏訪地方のうなぎは特有の甘さがあるのだが、ここのは関東と同じで、蒸してから焼いたもの。だから、食べたうな重(並)1700円(税別) はごく普通だった。
たれはさらっとしていて別の容器に入って出てくる。

これは「かめ塩の鰻」だが、
ついてくる白焼きをわさびで食べるが美味。
変わっているのが、「かめ塩の鰻」(2000円)。商標登録しているそうだが、塩で食べる。写真で七味入れの竹筒に見えるのがそうで、自然塩が入っている。
おいしかったのが、これに同時についてくる白焼き。わさび醤油で食べるのだがこれが一番だった。

メニューを見ると多彩。地鶏の塩焼き 600円。うな茶 上1300円 並780円。うなぎめし 上2300円 並1550円。
うな重 上2400円 並1700円。うな丼 上1900円 並950円。井筒屋御膳 2500円。井筒屋定食 1800円。
井筒屋弁当 1650円。お刺し身天麩羅膳 1900円 。天丼 1100円。湯どうふ 1300円なんてのもある。

この地方はそば屋の多くに「鶏もつ」があるように鶏をよく食べる。ネギと地鶏に塩と胡椒で味付けしてさっぱりしている。
「うな茶」は、うな丼に出し汁をかけたもの。
「うなぎめし」は一杯目は白いご飯の上にうなぎを乗せて、二杯目は海苔などの薬味をうなぎめしにまぜて、三杯目は薬味とだし汁でうなぎ茶漬にして食べるのだそうだ。


【 営 業 】
営業時間 11:00〜14:00 17:00〜20:30
定休日 火曜日(祝日の場合は翌日休) 。休日は並ぶ。
【 アクセス 】
・中央道小淵沢ICより小淵沢役場方面へ5分 。JR小淵沢駅前で、駅を出て少し先の小路を鋭角に左折してすぐ先。
・9台ほど入る駐車場あり。

▲ページトップへ

高根町・清里
山小舎に入るとき、どうしても清里を通るから仕方がないが、いったん入ったら、なるべくこの町には近寄らないようにしている。 趣味のよろしくない白やピンクのペンキを塗ったペラペラの無国籍の建物が群がり、無作法な若者が跋扈(ばっこ)していて、こちらが情緒不安定になるからだ。しかし、この町を一歩中に入ると、開拓に汗を流した人たちの艱難の跡が見て取れるところで、先住の人やヤマネや牛馬の息吹が感じられる。

そば 「北甲斐亭」 
〒407-0301 山梨県北杜市(旧:北巨摩郡)高根町清里2890-1   
電話 0551-48-5541
ちょっとした峠にある北甲斐亭。
この店を知ったのは開店の年だ。八ヶ岳高原カントリークラブでハーフのあとそばを食べていたら、ゴルフ仲間の一人が「もっと旨い店ができた」と言い出した。八ヶ岳周辺のそば屋を軒並みはしごしている御仁で信頼に足るから、すぐ出かけた。

「北甲斐亭」(きたかいてい)は清里といってもかなりわき道を入った「辺鄙な」ところにあり、よくこんな奥まで探しに来たもんだと感心するほど。ちょうど開店記念の寄り合いをしているような時で、村のおじいさん、おばあさんたちが「これは過疎対策の事業だ」という。なんでもそば屋、農産物直販所などあわせて9億だか10億だかの補助金を得てオープンしたという。それほどの過疎とも思えなかったが、すっかり気に入った。

そば屋がいい気になってどんどん値を高くするのに腹を立てているが、ここは「盛り」600円だ。もともとこのあたりは荒地で、コメをつくるまでさんざ苦労した土地だけに、痩せた土地によく育つそばが旨い土地柄だ。信州で3つの指に入るそばの名産地、川上村はほんのお隣になる。地元のおばちゃんが「種播き、収穫、粉挽き、麺打ち」をすべて行なうのがウリになっている。それ以来、回り道しても立ち寄るようになった。

『樫山のそば』といっている。樫山(かしやま)というのはこの地区の名前で、今では国道141号沿いの清里が表通りでこちらは、谷を一つはさんだ隣の尾根にある裏通りといったとこ ろだが、昔は逆でこちらが「表」だった。なにしろ、甲斐と信州を結ぶ街道「佐久往還」の宿場町だった。 樫山地区は奈良時代から甲斐の三御牧(馬の放牧場)のうち「柏の牧」として有名で、少し時代が下がって平安時代には、「念場」とよばれたこのあたりは「念場千軒」と言われるほど民家が多数あって賑わい、毎年30頭ほどの馬が朝廷に献上されていた ところだ。

東京の水がめ奥多摩湖
東京の水がめ、小河内ダム(ダムの名前はこうだが、できた湖の名前は奥多摩湖)が完成したのは1957年(昭和32年)11月26日だが、建設計画は戦前、大正15年からあった。 多摩川の源流は山梨県の笠取山に始まるが、流域の村は軒並み反対で進まなかった。昭和7年小河内村(おごうちむら)が「帝都の御用水のために栄光ある犠牲となる」と賛成してから計画は前進するが、下流の川崎市の反対などでさらに空転する。


「湖底の故郷」の歌碑
すぐにでも建設工事が始まると信じて作付けもしないで協力した村民は窮地に陥る。高利貸しの餌食になる者も出た。 昭和12年(1937年)、作家、石川達三は村の荒廃の様 子を「日陰の村」という小説に描いた。「 東京という大都会が発展すると、その日陰になる土地は草が枯れるように犠牲になる」という社会派作家の目から描写した作品だ。 また、東海林太郎も同じ年に「湖底の故郷」として「夕日は赤し、身は悲し、涙は 熱くほおぬらす、さらば湖底のわが村よ・・・」と歌い、全国的に愛唱された。この歌の歌碑は奥多摩湖左岸の公園に建てられ(昭和41年)ている。

戦争で中断したが戦後に工事は再開された。戦前戦後を通じて建設のため水没する 三多摩地域の丹波山村(たばやまむら)、小菅村から600世帯、3000人が移住したが、その一部の人は代替地として山を越えたこの山梨県側の地を選んで入植した。 山林業が唯一の仕事で材木 を山から切り出したり、炭焼きなどをしながらの生活でなかなか順応できず戦後も窮乏や流転をくりかえした。

樫山部落の転機は小海線の開通だった。清里駅が完成すると、こちらの方が発展すると見込んだ一部の人が7キロくらい北の駅前に再度移住した。現在駅周辺に住む人の 大半はこのときの移住者だ。それはさておき、樫山部落では長らく開墾をしてはそばを植えるというそば栽培が主流だった。技術が進んでやがてやっと稲作に移るのだが、今度 は減反政策を押し付けられ、米にかわって再びそばの栽培を始めたというのが現在までの経緯だ。日本の農業政策の無策を象徴するような有為転変ぶりで、農水省が9億円の 補助金を出すのは当たり前とも見えてくる。

おかげで、樫山地区の家々にはそばの伝統技術が脈々と伝わり、今では一面そば畑が広がる。農水省の事業は「公設民営」の施設への補助で、地元民だけでそばの栽培、そば粉の製造、そば打ち、そば屋「北甲斐亭」の経営まで行う。 すぐ横の「そば打ち道場」で、体験(要予約)もできる。村の人が2時間ほどでそば打ちを教えてくれ( 2人だと4000円、3人で4200円、4人で5600円、5人で7000円)そのあと試食する。

ざるそば。大盛も始めた
「北甲斐亭」のメニューはシンプル。

盛りそば     600円
ざるそば     650円
北甲斐そば   650円
山菜天ぷら   800円
天ぷらそば  1000円
そばがき     450円

北甲斐そば
『北甲斐そば』は店の名物で、土地で出来た人参や椎茸などの野菜が入った温かい汁に薬味を入れ、麺をつけて食べる。 『天ぷらそば』の天ぷらは、これまた全部が土地の野菜や山菜で 海老は入っていない。 以前は「大盛り」を受け付けていなかったが、要望が多いせいか、最近はOKだ。街のそば屋と違い、そばの量が倍くらいある。 日本では流通量の90%が中国産になったが、「北甲斐亭」はすべて地元の粉。こう繁盛したらそば粉が足らなくならないか心配だ。

【 営 業 】
営業時間 11:00〜19:00(夏:4/25〜9/30)
11:00〜17:00(冬:10/1〜4/24)
定休日 木曜日( 4/25〜9/30は無休 )
【 アクセス 】
・中央道須玉ICから141号経由、清里の高根小学校(角は農協のスタンド)を右に 入る。大滝を過ぎてすぐ。
・駐車場はすぐ横の農産物直売所含めて数十台分ある。

▲ページトップへ

韮崎
森進一が「襟裳岬」で「襟裳の春は 何もない春です」と歌って地元から「何もないとは何事だ」と文句をいわれた。 韮崎も最初は通過地点で「何もない」ところだったが、韮崎高校の横を通って「こんなところからサッカーの中田英寿選手が出てきたのか」と殺風景なグラウンドをしばし眺めたことがある。彼は当初から権利意識をはっきりもっている男で、自分を高く売る技術にも長けている。インターネットの可能性に早くから気づいていて、彼のオフィシャルホー ムページを見てもファンとの双方向性に気を配っているのがわかる。技術的にも大変先進的で時々参考にしている。この街はナカタ以外にも、温泉やそば屋、サクラの名木など「いろいろある」ところだ。

フランス料理 「キュイエット 」 
〒407-0174韮崎市穂坂町三ツ沢1129 
TEL・FAX 0551-23-1650
ブドウ畑の中にある「キュイエット 」

雰囲気がいいのとリーズナブルな料金で洋食ではおすすめナンバーワン。

まずロケーションがいい。山登りのバイブル「百名山」の深田久弥の終焉の地は茅が岳(かやがだけ)だが、その登山口から ふもとにかけてゆったりとリンゴやサクランボ、そしてブドウ畑などの果樹農園が広がっている。

その真ん中にこの店はある。スレートや石積みのヨーロッパ農家風の建物が「キュイエット」(La cueillette)だ。

「cueillette」というのはフランス語で果実・花などの「摘み取り」とか 「収穫」といった意味だ。「la cueillette des pommes」は「リンゴ狩り」。「pommes」を「truffes」にすると「トリフ狩り」。この台地にはトリフ以外は果樹とか野菜とか「cueillette」対象の大地の恵みはどっさりある。

だから、前菜には周りで採れる無農薬野菜をサラダに、ブルーベリーや桃をデザートにあしらう。 個室2室と30席ほどのテーブルがあるが、どこからも窓の外に広がるブドウ畑と、その下の甲府盆地の西の端にあたる町並み、その上に南アルプスの山並みが展開する。 「山々の上に月が上がり、その左手に富士山が見えた時は感動しました」とサービスの若い女性。すぐ隣の須玉町の出身で山には慣れているのだけど新たな感動があるという。

テーブルのすぐ前からブドウ畑が広がっているので、ハウスワインがありそうだと聞いたら、あれは生食用の 「巨峰」で、母親が世話をしているのだそうだ。オーナーシェフの山田真治さんは東京・横浜で修行をし、甲府では有名なフランス料理店「ベルク」で8年間料理長を勤め、さらにフランスに行きシャンパーニュ地方でも勉強した。 その田舎の雰囲気にあこがれ、2003年5月、38歳の時、実家が所有していたこの地で開業した。レストランのすぐ裏が自宅だ。

フランス料理が基本だが、こだわらずに食材とアイデアしだいで日本、アジア、イタリアなどさまざまなエスニックに変貌する創作料理の店といったところ。昼も夜もコース料理だけ。といっても、ランチは「A」(2400円)、「B」(3000円、 「C」(4000円)。 ディナーは「メニューA」(4200円)、「メニューB」(5500円)、「メニューC」(8000円)。安いと思う。

訪れたのは夏だったが、その日の「メニューA」は、
◎アミューズグール(一口前菜)
◎オードブル(・車海老と帆立貝、 生ハムのムース・フォアグラが入った牛テールのテリーヌ・フランスランド産フレッシュフォアグラからセレクト)
◎スープ
◎メインディッシュ(・鮮魚のポアレ・オマール海老のグリエ・ブルターニュ産鴨胸肉ロースト・黒豚ばら肉の柔らか煮・仔羊背肉のソテーからセレクト)
◎デザート(・桃のスープとバニラ風味のアイスクリーム・マスカルポーネのムースとライチのジュレ・季節のフルーツと3種のアイスクリームの取り合わせからセレクト)
◎コーヒー・紅茶(エスプレッソ、紅茶9種からセレクト)
◎プティフール(小菓子)

これで充分という量だった。「メニューC」は「宮城県産はさま牛ヒレ肉(150グラム)のグリエ」となるくらい。 味のほうも、それほどのグルメではないから説明不足だろうが、「素材の味が出ていて、結構」だった。

少し前といっても10年はたつが、ヘルシー志向でフランス料理のくどいソースが敬遠されるようになった。来日した三ツ星シェフのポール・ボギュースなどが日本料理を見て「ヌーベルキュジーヌ」(新しい料理)運動を提唱した。むずかしいようだが、 なに、肉や野菜の味をソースに頼らずそのまま生かそうということで、日本では昔から割烹の基本である。

「キュイエット」では近在の野菜や果物をそのま ま出していて、「ヌーベルキュジーヌ」など、とっくに実践している。たとえば野菜は、すぐ近くの高根町(清里)の無農 薬栽培の農家から仕入れているし、果物も庭先の農家や近在からといった至近距離である。安くておいしい所以(ゆえん)だ。

家族で食事
当日の家族の食事のスナップだが
話題はテーブルのブドウについて
(2010.10.11)
2010年10月11日、下山の途中家族3人で立ち寄った。メインデッシュの肉は普通のフランス料理の味だったが前菜とデザートに感心した。地元産にこだわっていた。マイクロトマトは北杜市のものだそうだが一粒が一段と小さく金平糖ほどの大きさ。超マイクロトマトとでもいうべきものではじめて見る大きさだったが味は格段に濃密だった。写真は 家族の記念写真だがテーブルの上にあるのはこれまた感心した巨峰のデザート。上述のように周りは実家の巨峰畑なのだが、これまたわざわざ近くで一段と味のよいものを求めたという。1つずつ丁寧に皮をむいてあってムースのようなアイスクリームとあいまって美味。普段はデザートは残すのだがみんな食べてしまった。

この時の食事がすばらしかったので次女が「ここでの食事を毎年の恒例にしよう」と言い出し、2011年10月10日、ふたたび訪れた。私と犬とで夏の間八ケ岳で暮らしているが、 寒くなってくるので体育の日のあたりに迎えに来る家族と一緒に下りる。連休なので中央道が渋滞するが食事している間に解消するというメリットもある。

早く着きすぎたので駐車場で時間つぶしをした。折から、暮れなずむ南アルプスのシルエットが夕焼けに浮かび上がって美しい景色を堪能できた。山なみの下に甲府盆地のともしびがまたたいている。そんなロケーションにある。

今回も満足する内容だった。オードブルに近くの北杜市で一軒だけ作っている農家があるという黒いちぢくや南アルプス市の食用ほおずきが出てきた。日本ではまだ珍しい食材である。1000円加算されるが肉料理のフィレ肉やソース、またその量も申し分なかった。デザートのブドウ も昨年と違う切り込みが入っていたし、付け合せの飴細工も凝ったもので毎年研究していることがうかがわれた。

前夜、八ケ岳高原ロッジで食事をした家内と娘が、和食で出てきた栗が缶詰でシロップものまま使っているし、サービスの間の悪いことといったらなかったと慨嘆していた。帝国ホテルの村上信夫シェフに 招かれることが何度かあったが、料理もさることながら、それを出し、引くタイミングがなにより大事だとサービスの者に念を押していたものだ。あまりに感心したので帰りに山田真治シェフを引っ張り出して記念写真を撮った。来年も出かけることになりそうだ。

南アルプス 2011.10.10 山田シェフ
暮れゆく南アルプス 恒例になった食事。2011年10月10日

山田シェフと

【 営 業 】
営業時間 11:30〜14:30 
18:00〜21:00
定休日 火曜日
【 アクセス 】
・クルマだと中央道・韮崎ICを出て右折、最初の信号を右に入る と「茅が岳広域農道」だが、その100メートルほど先。
・中央線韮崎駅よりタクシーで10分。
・別掲のそば屋「瓢亭」のすぐ上になる。
・駐車場は30台分ほど。

そば 「瓢亭」 (ひょうてい)
〒407-0175 山梨県韮崎市穂坂町宮久保934−2  
電話 0551-22-4359
畑の中の民家といった趣の瓢亭
2003年の暮れにこの住所に移転したが、それまでは韮崎市内の目抜き通りにあった。そばの名店を紹介する雑誌、 ムック本は数多いが、たった100店に絞ったのが「そば店100」(柴田書店 1200円)。東京が半分を占めているか ら、地方となるとほんの少数になる。その2002年版に山梨でたった2軒だけ紹介されているというので有名になった。 どうして暮れも押し詰まっての移転だったのか、亭主が新聞に寄稿した文章を読むと分かる。

「『年越しそば』は、私どもの店でも年に1回の人気メニューである。 新粉で打ち始めたころは、ぼつぼつ紅葉の便りを聞くころであった。やがて周囲の山々に白いものが舞い始め、はや1年を締めくくる『年越しそば』の時季に。なんとなく気ぜわしいが、このそばを打ち終わらないことには年を越せない。そば職人の宿命でもある。

年越しそばは金銀箔を作る時に散乱した金銀をうまく集めるのにそば粉を使ったことから、商人が大みそかに売掛 金を回収する際、そばと同じようにうまく集められることを願い、その名が付けられたそうだ。

年越しそばがいつごろから食べられるようになったかは定かではないが、15世紀末、朝鮮半島から奈良の東大寺 に来た元珍という僧が、つなぎに小麦粉を使ってそばを打つことを教えたと聞いている。 こうして打ったものを『そば切り』と呼ぶようになった。たぐって食べるから早い。これが江戸っ子に人気を博したという。」(「瓢亭」主人 吉田朋光)

なにがなんでも年越しそばに間に合わせるための師走移転だったようだ。その引越し先がすごい。韮崎インターチ ェンジの出口、民家もまばらな丘陵地の畑の中に写真のような普通の民家がある。最初は通り過ぎてあきらめかけた。戻り道で屋号の看板を見つけた。親父夫婦と息子と娘4人でやっている。移転と共に全品50円値上げした のが残念だが、客が追いかけてクルマでやってくるという”はやる店”の条件を兼ね備えている。

「盛り650円」「ざる900円」。海苔だけでこの差額はひどかろうといつも思っているから(この店では、海苔が違うといって いる)、私は「盛り」と「鶏もつ煮」(800円)、家内は「にしんそば」(1000円)を頼んだ。「鶏もつ煮」 は甲州ではたいていの店で出てくる。地元の人間は気づいていないが、外部からみると奇異な感じがする。なにか甲州人が特別好きないわれがあるのだろうか。ここの「鶏もつ煮」は他の居酒屋などとすこし異なり、もつを甘辛く、汁けがなくなるまで煮込んである。砂肝やレバーが、それぞれの食感を残している。これで酒を飲んでいる人も多い。

「にしんそば」は京都が有名だが、甲府盆地ではかなり見かける食べ物だ。鰊(にしん)の干物は、外部から新鮮な魚が入らない盆地での保存食として発達した。みちのく米沢盆地で過ごしたことがあるが、ここでも「身欠きにしん」がどこの家でも廊下にぶら下がっていた。 昆布巻きにして食べる。この土地の「にしんそば」はやはり盆地ゆえに発達したものか、それとも武田信玄が棒の道を通って京に登ったのとなにか関係があるのか、京都と同じ味付けだ。

他の客は天丼(2000円)、天盛り(1000円)を食べている人が多かったところを見ると、天ぷらが自慢なのだろう。ごま油のにおいがしておいしそうだった。ほかのメニューには「なっとうそば」「おろしそば」「つつじそば」、「鶏もつ盛り」などがあった。そばつゆに鶏もつが入っているのだろうか。

この店のそばつゆに特徴がある。薄味に見えるがしっかりしていて濃い。通常は一度に作ったものを、 何日間か 寝かせて使用するが、ここでは毎日作る。

【 営 業 】
営業時間 11:30〜20:00  日曜日は午後2時から5時まで休み。
定休日 火曜日(祝日の場合は翌日休) 。
【 アクセス 】
・中央道 韮崎ICのすぐそばになる。インター出口の信号を右折して10数メートル、またすぐ右折すると、中央 道のフェンス沿いの細い道に入る。直進して50メートルほどの左手、引っ込んだ場所。
・14台入る駐車場がある。

▲ページトップへ

甲府
甲府は途中通過の街なので八ヶ岳への行き帰りでは一気に駆け抜けていた。渋滞を避けて裏道の広域農道を通ったり、北側の山の中を通るクリスタルラインが通行止めでやむなく下に降りるなどしているうちに、温泉に入るようになった。富士火山帯沿いで400も温泉があるのだ。ついでに食事をする。県都だけに結構いい店があるのだが、「甲府時間」というのか、ほとんどの地元資本の飲食店は午後2時から夕方まで休む。不思議だ。

支那そば 「お尾」    2005年6月突如閉店
〒409-3867 山梨県中巨摩郡昭和町清水新居258の1
ダイタ昭和モールA館1階  

2005年6月に突然閉店していたのでこの項を削除しました。なかなか捨てがたい店で、なんでも長野県松本市の 「大石屋」に食べに行って、 その中華そばにほれ込んで2000年ここで開 店したということだった。どこかで再開しているとかご存知の方はご一報ください。

支那そば 「蓬莱軒」 
〒400-0032 山梨県甲府市中央4-11-9
TEL 055-233-2458
以前の店舗のすぐ前に
移転して広くなった「蓬莱軒」。
ここは甲府で有名なところ。あとから知ったが、私と同じく「支那そば」の名前にこだわるところがうれしい。 だから店名も「支那そば・餃子工房 蓬来軒」だ。店主 いわく「差別用語ではないのに消し去られた言葉”支那そば”。ルーツをたどり、再現すべく、努力を重ねてきました」とある。 創業30余年、これまで雑誌・専門誌などの《全国100選の店》やテレビ番組に取り上げられ全国4位になったこと もある有名店だ。

さてその味。スープは鶏がらだしを使ってあっさり醤油味、というのだが、鰹だしの味が勝る。もうすこし鶏がらスープ にこだわってもらいたいところだ。麺は縮れの細麺。 チャーシューは今では珍しい食紅のもの、支那竹、ナルト、ノリ、その上にたっぷり刻みネギが入っている。、 しつこいラーメンが多い中、おいしい部類には入るが、私には、支那そばとしては、この近くにある「お尾」の方がうまい、と思った。

以前の店舗には行ったことがないが、最近、道の反対側に移転させたのだそうで、中にはカウンター18席、テ ーブル70席と、市の中心部にある店舗としては「広大」な店舗。それほど流行っている。 支那そば600円、ギョーザ400円、広東めん800円、酢豚1,500円 といったメニューだ。

【 営 業 】
営業時間 11:30〜14:30
17:00〜20:30
定休日 火曜日。
【 アクセス 】
・甲府のほぼ中心部にある。遊亀通り南下し法人会館角左折。

支那そば・中国料理 「華宴」 
〒400-0067  甲府市長松寺町5-24
TEL 055−222−9665
いつも混んでいるがおすすめの「華宴」
いつも満員、待たされるのを覚悟で行く。私は正月、それも悪いことに、まだ松が取れないときに行ってしまい、 食べるまで1時間半以上かかった。こんな店やめた、と思ったが、また立ち寄っている。

本来は私好みの「支那そば店」として紹介するところだが、地元では、安くてうまい中華料理店として利用されている。ここではメニューに「ラーメン」とあるが鶏ガラのスープで縮れ麺のりっぱな「支那そば」、値段も500円 とうれしい。麺類は26品あり、なかでも地元の人に人気があるのが「広東風ラーメン」(750円)。やはり鶏ガラを使ったスープにたっぷりの野菜とコシのある麺のラーメン。

甲府にお店を構えて16年。口コミでお客が増え、遠くから来る人も多い。2003年6月、店を2倍の80席にしたが、 まだ行列が出来る。オーナーの堀ノ内清広さん(50)は、「お客様を飽きさせないように、新しい物を取り入れなが ら研究している。四川風、広東風などにはこだわらずに、日本人の口に合う味を心がけている」そうだ。

多くの人がとっていたので、担々麺(750円)を注文。いずれここで紹介するつもりだが、神田・鎌倉橋近くに、うまいところがあり10数年通っていた。ピリッと辛いスープと摺りゴマ、ひき肉が縮れた細めんによくからむ味といい、その店そっくりなので感心した。 質の良いゴマを自分で摺っているのだという。スープは大量の鶏ガラや豚骨、昆布だしから取り、麺も寝かせて腰を出す。

◎日替わりランチ(Aセット:麺類と炒飯や丼物 850円〜/Bセット:一品料理とご飯 750円〜)
◎小エビの辛子チリソース 1,250円
◎薄切り豚肉のピリ辛ニンニクソースがけ 950円
◎蒸し鶏のネギソースがけ 600円
◎ほうれん草の香り炒め 800円
などメニューは豊富。
見渡すとチャーハン、餃子、麻婆豆腐、焼きそばなどを取っている人が多かった。夏はバンバンジー冷麺が多く出るそうだ。正確な名前は忘れたが「ほうれん草とナントカのピリ辛そば」というのがうまかった。この店はだいたいはうまいが、なにか思い入れがある人以外は「四川風ラーメン」というのはやめといたほうがいい。なんでも例外はある。

【 営 業 】
営業時間 11:30〜14:30
17:00〜21:00
定休日 水曜日。
【 アクセス 】
・飯田通りを甲府駅から敷島方面に向かい池田農協を過ぎて左側。
・駐車場数台分しかないが、向かいがパチンコ屋で広いスペースがある。

支那そばや 「和光」 
〒400-0046 甲府市下石田2-20-21
TEL 055-223-4708
「和光」
「支那そばや」と私の好みの”支那そば”にこだわるところが気に入って出かけた。テレビでラーメン王としてよく出ている佐野実氏の暖簾分けの店だという。こういう店には信を置いていない。要するにフランチャイズ方式で、名前料 を払って出店する。以前、中央道の須玉インターを出たところに落語の木久蔵ラーメンがあったがまずくてつぶれた。 清里にタレントの名前をつけたカレー屋があったがこれもつぶれた。味で売らずに虚名を借りて売るようなところにろくなものはないからだ。

窓も大きく明るい清潔な店でカウンター10席ほど、4人掛けのテーブル席2卓。どこからも厨房の様子が見渡せる。 「醤油ラーメン680円 」を頼んだ。鶏ガラのスープは少し薄いがまあいい。チャーシュー、シナチク、ノリ、刻みネギ、 定番はみなそろっている。

味の表現に凝っても仕方がない。「要するに”中の上”だな。すぐ近くにある『お尾』の方が上」と家内と意見が一致して、店を出た。ところがその『お尾』が突如閉店だという。閉店の事情をくどくど調べても始まらない。まあ事情があったのだろう。しかし、一挙にこの周辺に立ち寄るラーメンの空白区ができた。仕方がないのでここを掲載しておくことにした。そんなに文句はないだろうということで。

【 営 業 】
営業時間 11:00〜14:30
18:00〜20:30
定休日 火曜日。第3水曜(第3週は火、水連休)
【 アクセス 】
・駐車場10台分ほど。通りに面していてわかりやすい。

甲府鳥もつ煮 「奥藤」 
〒400-0043 甲府市国母7−5−12
TEL 055-222-0910
「奥藤」

2010年8月、厚木市で開かれたB級グルメの祭典「第5回B−1グランプリ」で「甲府鳥もつ煮」がゴールドグランプリを獲得したというので突然、甲府に観光客 が押し寄せるようになった。経済効果は年間28億円だと試算するところもある。

八ケ岳に向かう道中のB級グルメ推奨店のピックアップコーナーを設けている当サイトとしても取り上げないわけにはいかない。しかし、山梨あたりを徘徊した人な らわかろうが、そば屋から居酒屋にいたるまで、どこでも普通に出てくる食べ物である。私も隣の人がこれを食べながら飲んでいるのを見て真似して頼んで、結構 いけることは、そば屋「瓢亭」のくだりでも書いた。

水気がなくオレンジ色のキンカンが
いろどりの「甲府鳥もつ煮」
もつ煮とは、牛、豚、鶏、馬などの内臓を煮込んだ料理の総称である。近ごろでは駅前居酒屋などにこれ専門の店もあり「もつ煮込み」とか「もつ煮」とかいう看 板を掲げている。牛や豚の内臓肉を使用したもつ煮込み(関東風煮込みや九州のもつ鍋)は汁気が多い味噌汁に近いイメージだと思うが、「甲府鳥もつ煮」は少し 違っている。

山梨県で食べられている「甲府鳥もつ煮」はニワトリの内臓「もつ」を砂糖と醤油で煮込んだもので、完成品は水分が少なく、照り焼きに似た状態で出てくる。「 もつ」と総称される鶏の内臓部位のうち、主に砂肝、ハツ、レバー、ヒモ、「キンカン」を使用した料理だ。「キンカン」というのは、鶏の体内で成長途中の卵の 名称で、成長過程で白身(卵白)や殻が作られて卵になるのだが数珠のような形で存在する。この腹子(まだ生み出されていない卵)は柑橘類のキンカンに似たオレ ンジ色をしていることからの名前だ。

「甲府鳥もつ煮」の発祥はそば屋「奥藤(おくとう)」である。甲府のそば屋の名店「奥村」から暖簾分けされた職人「塩見藤四郎」が始めた店なのでこの屋号に なった。当時、鶏肉はカシワとして上客の口にしか入らない貴重な肉だったが、一方鳥の内蔵である「もつ」は食べられることなく捨てられていた。1950年(昭和25 年)頃に2代目主人・塩見勇蔵が鳥もつを使って料理を造ることを発案、調理担当の弟・塩見力造がレシピを完成させた。砂糖と醤油だけを使って小鍋で素早く照り 煮する。飴状のタレが絡まっていて汁気はない。このタレ自体は焼き鳥で使用されるタレと同じ味がする。

調理のこつは強火と素早い鍋振りだという。鍋の持ち手が焼けてすぐに使い物にならなくなるため、奥藤本店ではペンチでつかんで鍋を振る独特の方法で仕上げ る。
鳥もつ煮は小500円と大650円。そばとセットになった鳥もつ煮セット1130円がある。

そば屋発祥の料理だけに山梨県のそば屋やほうとう料理店の定番となり、逆に焼き鳥屋ではあまり出てこない。B級グルメ日本一に選ばれてから、「奥藤本店」駐 車場は県外ナンバーの車で埋まるほど。今ではとんかつ店やスーパーでも扱うほどのフィーバーになっている。

本店からのれん分けした10店で「奥藤暖簾会」を作っていて、甲府市一帯でレシピを同じくしたものが食べられるが、多くのそば屋や飲食店でも出している。

【 営 業 】
営業時間 11:30〜14:30
17:00〜20:30
定休日 水曜日(祝日の場合営業)
【 アクセス 】
・駐車場あり(20台)。中央道・甲府昭和ICから5分。国道20号(甲州街道)の国母交差点からすぐでわかりやすい。
・身延線の国母駅から徒歩15分ほど。


ブームで甲府駅前に本店移す

奥藤駅前
奥藤駅前本店
B級グルメ大会で優勝して以来、土日には全国各地から客で長蛇の列が出来るほどの繁盛でとうとう2011年3月、「奥藤本店」甲府駅前店を開業した。JR甲府駅前 のバスターミナルの近く。

もともと大正2年に駅前で開業したそば屋で、甲府鳥もつ煮もこの地で開発されたのだが、人口のドーナツ現象にともない郊外に移転していた。ブームで15年ぶり に駅前に戻ったもので、上で本店として紹介した同市国母の店舗は、「国母店」として営業を続ける。

駅前店は平和通り沿いにあり、広さ約188平方メートル。80席。もう一つの郷土食「ほうとう」の小作本店も近く。手打ちそばと鳥もつ煮を組み合わせた 「鳥もつセット」(1180円)をはじめ、地物を意識したメニュー。午前11時から午後8時半まで営業。

甲府駅前店  山梨県甲府市丸の内1-7-4   電話 055(232)0910

うなぎ 「ますや」 
〒400-0026 甲府市塩部4-16-1
TEL 055-252-2775
この店に限らず山梨県の食べ物屋は午後2時ごろから休みというところが多い。そば屋、ラーメン店・・いたるところでぶつかった。 八ヶ岳を午後下りてくるとだいたい閉店時間に通りかかることになる。この店もそうだった。それをはかって午後5時に着くと、開店は5時半だという。 仕方ないので待っていると奥さんが店を開けてくれた。

こちらは犬連れだったので、還暦ぐらいと見受けたご主人の西川正臣さんと、犬の話や趣味のテニスの話をした。うなぎ屋は97年8月から はじめたものでそれ以前はうなぎの問屋だったという。戦後すぐから今も問屋も続けているからうなぎを見る目はたしか。 「うなぎは本来きれいな青い色をしている」そうだ。甲府盆地のうなぎといっても御多分にもれず静岡のほうからやってくるが、その日に使う分は開店前にさばく。下処理に時間をかけ客を見てから炭焼きにすることで他店と味の差別化をはかっている。

うなぎの開き方や焼き方は関東風。強めの焼き加減で香ばしさが広がり、しつこさは感じない。タレの味はやや甘めだが、 おいしい。うな重2400円(上)、1600円(並)。うな丼1000円(ランチのみ)。

【 営 業 】
営業時間 11:30〜13:30
17:30〜21:00
日曜日は夕方5時半からのみ
定休日 一応、日曜・祭日だが、日曜も夕方から営業していて不定期。
【 アクセス 】
・甲府の山側を走る「山の手通り」。タクシー会社のところを南に折れると「富士見通り」だが20メートルほど 先すぐ左側の和風の建物。
・2、3台分の駐車場がある。

▲ページトップへ

静岡市・三島市
八ヶ岳のB級グルメガイドに静岡県とはなんだ、と思うかもしれないが八ヶ岳からすぐなのだ。中部横断道 がほんの少しの区間しか開通してないが、韮崎から国道52号線を走れば、最近静岡市に合併になったが 清水市に出る。中央道・河口湖線を使えば沼津まですぐだ。要するに静岡市と三島市にうまいうなぎ屋が あるから紹介しようというだけのことだ。何かのついでにどうぞ。

うなぎ 「石橋」 
〒422-8053 静岡県静岡市西中原1−6−13  
TEL 054-281-5432
「石橋」は東名静岡IC近くにある。

静岡に1年間ほど赴任したので知った店。うなぎの「一本焼き」といいうか「姿焼き」というか頭から尻尾までまるごと出てくる。釣り針もついてくるという伝説があったが養殖うなぎの時代にそれはない。ここのうなぎは同じ静岡県吉田町から来る。メニューは「一本焼き定食 2,450円」だけ。蒸すか焼くか、料理法の分水嶺は浜名湖にあるのだが、ここは越境してまるっきりの関西式で、蒸さずに焼く方式。

丸ごと一匹、頭がはみ出ているのが名物
うなぎが入れ物からはみだして出てくる。しっかり皮を焼くのが旨さのコツだそうで、コゲが少し多い。母を連れて行 ったときは、黒い炭のような頭付きに恐れをなして取りよけていた。ご飯はコシヒカリで静岡名産の「輪っぱ」に入って出てくる。おいしいのだが、「輪っぱ」がどうにかしたらいいのにというほどはげちょろの古色蒼然とした年代もの。昼前後は行列が出来る。紙に名前を書いて順番を待つ。

「鰻の稚魚が入荷し難くなったので50円値上げさせて下さい。」と書かれていたりする。2000円以内の時から知っているが、時々小刻みに値上げする。石橋というのは経営者の姓で先代の創業から40年ほど。壁に柳家小さん、永六輔、藤村俊二など古い名前の色紙がある。静岡を訪れる芸人は、ここのうなぎか丸子のとろろ汁を食べて帰るのが定番になっている。

【 営 業 】
営業時間 11:00〜14:30 17:00〜20:30
(土・日・祝日)    11:00〜20:30
定休日 年中無休
【 アクセス 】
・ 東名静岡インターを右に出てすぐ近く。通称「南幹線」という道と交わる「南安倍町」交差点のすぐそば。 通りに面していない。
・駐車場何か所かに分散。

三島のうなぎ
三島市では古くからうなぎは「三嶋大社のお使い」とされて、食べなかった。徳川二代将軍、秀忠は三島に泊まった際、家来が神社の神池のうなぎを食べたのを知り処刑したと伝えられるほどで、市内を流れる桜川などにはたくさんのうなぎがいた。幕末になってやっと食べられるようになった。現在市民11万人だが、うなぎ屋が80軒もある「うなぎの町」だ。三島のうなぎがうまいのは富士山の湧き水を使って餌なしで1週間真水にさらし余分な脂肪や臭みを落とし身を引き締めるからだといわれる。

三島のうなぎ屋の御三家は「桜屋」と「水泉園」と「うなよし」だろう。「うなよし」は 「本町うなよし」と「元祖うなよし」(うなよし本店とも)があり争っている。以前に新聞社の三島通信部にいた老記者と私の私情を交えて独断すれば、上に書いた順番でうまい。 番外に「うな繁」が入ると思うが、まあ似たり寄ったりで、微細に味を表現するほどの違いはない。 値段と量と店構えで独自にランクすればよい話だ。ただ三島という場所は他所よりうなぎが旨いとだけはいえよう。一切の論評なしに紹介する。

うなぎ 「桜屋」
〒411-0856  静岡県三島市広小路13−2
TEL 055-975-4520 
「桜屋」
ここのうな重は何枚うなぎが入っているかで値段が以下のように違ってくる。
重    箱 2,200円(2枚)
2,800円(3枚)
3,500円(4枚)
2,200円
上    丼 2,800円
蒲 焼 定食 3,000円


【 営 業 】
営業時間 11:00〜20:00
定休日 水曜日
【 アクセス 】
・ 伊豆箱根鉄道「三島広小路」駅すぐ。

うなぎ 「水泉園」
〒411-0036 三島市一番町1−28
TEL 055-975-0268
「水泉園」

戦後すぐからの店。うな重(きも吸、香物付)1,900 円。

 

【 営 業 】
営業時間 11:00〜15:00
16:00〜19:00
定休日 水曜日
【 アクセス 】
・JR東海道新幹線三島駅から徒歩5分。市立公園楽寿園の正門前。間口2間ほどの小さな店。

うなぎ 「元祖 うなよし 」
〒411-0848  三島市緑町21−6
TEL 055-975-3340  
並うなぎ丼(うなぎ1匹) 1,800円
上うなぎ丼(うなぎ1.5匹) 2,500円
特上うな丼(うなぎ2匹) 3,150円
この他、うなぎ豆腐(うなぎの身を粉にし豆腐にし、塩で食べる)530円。

【 営 業 】
営業時間 11:00〜19:30
定休日 木曜日
【 アクセス 】
・沼津インターから、国道1号線伊豆方面へ。すぐ。

うなぎ 「本町 うなよし 」
〒411-0855   三島市本町1−37
TEL:055-975-0499   フリーダイアル:0120-30-0499

「うなよし」は2軒争っているので、こちらは住所をとって「本町」(ほんちょう)うなよしという。

うな丼(並)  1,680円
うな丼定食 2,730円
特上うな丼(うなぎ2本) 2,940円
かば焼き定食 1,995円

 

【 営 業 】
営業時間 11:00〜21:00 (オーダーストップ20:15)
定休日 無休
【 アクセス 】
・三島駅から徒歩7分。

▲ページトップへ

このHP「八ヶ岳の東から」のTOPへ