2023年1月 課題:優勝 ワールドカップ2022 目が覚めたのは夜中の2時半ごろ。零時から始まったサッカーワールドカップの決勝はもう終わっているはずだ。フランスかアルゼンチンか、どちらが勝ったのだろう。枕元のスマホのスイッチを入れた。驚いたことにまだ決着がつかず、延長戦の後半に入ったところだった。すぐにアルゼンチンが1点を取り3対2となった。このまま終わるかとみていると、終了間際にフランスがPKで1点を返し、勝敗はPK戦で決まることになり、4ー2でアルゼンチンが優勝した。 最後の15分とPK戦を見ただけだったが、面白く見応えのある試合だった。正規の90分は見ていなかったが、前半2点取ったアルゼンチンに後半追いついたフランスという展開も決勝にふさわし見応えのあるものだったろう。 20年前、日本で行われたWC大会で高い料金を払って観戦したエクアドル対クロアチア戦は1ー0で終わり、物足りなさを感じた。「野球は8対7で勝敗が決まるのが面白い」と言ったのはフランクリン・ルーズベルトだが、サッカーもせめて2ー2で競って、3点目をどちらが取るかで勝敗が決まるゲームが見たいと思った。その時調べたのだが、WCの1試合あたりの得点平均は、1954年のスイス大会の5・38を最後に年々減少する一方で、2002年の日韓大会では2・52まで落ちている。背景は攻撃主体の戦術から守備主体の戦術の変わったことである。 大学の学科対抗試合などでサッカーを楽しんでいた頃、フォワード5,ハーフバック3,バック2というのが典型的な布陣で、攻撃主体であった。5人のフォワードはW型をとり敵陣に向かう。当時の選手でいえば、ウイングの杉山がタッチライン沿いに疾走し、相手ゴール正面にいるセンターフォワードの釜本向けてセンタリングする。大会それが今は、呼び名もトップ、ミッドフィルダー、バックとかわり、人数も2・4・4の守備主体の布陣になる。極端な場合はトップは1人だ。これでは点が入りにくくなる。 30年以上前に『ネイチャー』誌がこの問題を論じた。今のゴールの広さだと両チームの力が正しく評価されるためには、試合時間を大幅に延ばさねばならぬ。それは無理だから、ゴールを広げてシュートが決まりやすくしたらどうかという主張だった。この主張は実現することなく今日に至っている。今大会の1試合あたりの得点平均を算出してみた。2・66で、相変わらず低い。 そんな中で、決勝戦は90分で4点、延長を含めて6点という高得点ゲームであった。それが決勝戦を面白くした要因だ。その上、延長後半、1点を取った後も、ゴール前を全員で固めるといった守備体制を敷かず、攻めて終了間際にフランスに1点を許したアルゼンチンの戦い振りも、観ていて気持ちがよかった。 |
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