週末八ヶ岳で過ごすことが多くなっても、カラマツとシラカバ林の間を飛ぶ野鳥の名前など一つも知りませんでした. それどころか本州固有のホンドリスがいることも、ましてや国指定の天然記念物で環境省から準絶滅危惧種に指定されているヤマネが林のどこかで眠っていることにも気づきませんでした。 それだけに、出会った喜びは大きく、たちまちその虜(とりこ)になりました。



野鳥を呼ぶ  つぎつぎ現われた未知の客たち

【八ヶ岳の野鳥】  
文中にあるもの以外はここにまとめました。(制作途上)

   リスを呼ぶ   白樺の渡り廊下伝いにやってきた


窓からの眺め
我が山墅の窓からの眺め。野鳥もリスもここに集まってくる。
吊り下げてあるのはバードフィーダー 。横木はリスの 回廊。

区別がつくのはカラスとスズメとハトくらい。リスは近くで見たこともなし。数十年来の貧しい生き物との付き合いぶりを白状するのは気が引けるのですが、 突如この世界にのめりこみました。八ヶ岳の窓外にやってくる鳥をすべて「野鳥」でかたづけていて、それで別段不自由も感じませんでした。しかしウイスキーをなめなめ 2,3メートル先にいる「野鳥」を眺めているうち、彼らの名前を知りたくなったのです。

まず、おもしろいGIF画像を紹介します。GIFというのは動画とまではいかない、子供のころ遊んだパラパラ絵のようなものです。

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2016年6月9日、検索エンジン「Google」のタイトルが、このような野鳥のGIF画像になっていました。なかなかよくできていて、落ちてきた虫をパクっとたべる小鳥など秀逸で、 この野鳥のコーナーにうってつけ、と早速パクることにしました。

グーグルのタイトル画像はときどき何かの記念日に、特別制作されたものが登場します。これが面白いとせっせと「蒐集」している人も多いのです。なんの記念日だろうとみると 「フィービ・スネツィンジャー(Phoebe Snetsinger)生誕85周年」とあります。

フィービ・スネツィンジャーとは聞いたことがない名前です。調べると1931年6月9日生まれの女性バードウォッチャーでした。彼女が見た鳥の種類はなんと当時で史上最も多いとされ る「8,398種!」です。野鳥を見るため世界中を駆け回った人でした。

最強のバードウオッチャー
フィービ・スネツィンジャー
主婦として生きていたフィービ・スネツィンジャーは30代半ばでバードウォッチングに目覚めます。1981年に末期の悪性黒色腫が見つかり余命1年と宣告されま す。悪性黒色腫 とは、皮膚、眼窩内組織、口腔粘膜上皮などに発生するメラノサイト由来の悪性腫瘍で治療法もありませんでした。この診断をきっかけに彼女は残りの人生を太く生きようと決心し精 力的にバードウォッチングに励みます。その熱意は病魔もねじ伏せるもので、1999年11月23日、余命宣告から20年経って、バードウォッチングのため訪れていたマダガスカルで癌では なく事故によって亡くなりました。

GIF画像もいいけど、彼女の人生もまた素敵です。

【アメリカでバードフィーダーと出合う】

 あるとき、アメリカを旅していて気づいたのですが、スーパーとか小さな雑貨店の前にいろいろな巣箱やバードフィーダー (野鳥の給餌用の箱 )が置いてあります。 規模は違ってもどんな田舎町でも見かけました。どこもかなり広い売り場面積で、需要が多いことがわかります。

外付けのバードフィーダー
吸盤でガラス窓にくっつバードフィーダー。
部屋から見る方に温度計が付いている。
しかも実に種類が多いのです。土の上に丸太を立てて円形の台に餌台、水飲みなどがが配置された大型のもの。荒い布にエサを入れて吊り下げ、鳥がエサをつまみ出せる仕組みのものもあります。
プラスチック容器が吸盤でガラスにくっつくようになっていて、エサをついばむ野鳥が部屋の中から見えるものなどもあります。これは八ヶ岳で今も使っているのですが(左の写真)ついばむ音がガラス窓に反響して 何が起きたかと思うほどです。店によっては、 鳥の水呑み台ばかり集めたコーナーもありました。噴水型や吊り下げ式がずらり並んでいます。 

リスが多くて邪魔にされているとかで、リスが入れなくて野鳥だけ入れるように工夫したものも見かけました。逆にリスだけ入れるエサ箱もあります。 野鳥ばかりでなく、蝶が蜜を吸えるようになった「蝶寄せ器」とでもいうものも見かけました。とにかくアイデアがいっぱいで楽しいものが多いのです。

外国のものは何でも入ってくる日本ですが、なぜかこれだけはあまり見かけません。聞くと、呼び寄せたい鳥ごとに、その鳥が好む虫が用意されていて、 頼むと冷蔵庫から出してきてくれるそうです。ブルージェイという鳥が人気があり夢中になっている人も多いと聞きます。

このときは荷物が多くて(迷ったあげくゴルフセットを買ってしまった)やめたのですが、まもなく家内がテネシー州に行くことがあり、これ幸いといくつか 買ってきてくれるよう頼みました。どんなものか説明するのも大変でした。手荷物なので3つ4つしか持てません。それでも3種類ほどぶらさげて帰国し ました。それを持って八ヶ岳に胸躍らせて出かけました。

このとき持ち帰ったものなどを集めて【バードフィーダーのいろいろ】で紹介しています。 もっともほとんど品切れ状態ですが、種類を知る参考になるかと思います。


野鳥を呼ぶ


【八ヶ岳の野鳥】  
文中にあるもの以外はここにまとめました。(制作途上)

新品は嫌うと聞いていたので、一度泥でもこすりつけようとも考えたのですが、ままよ、とひまわりの種を入れてシラカバに吊り下げたとたんです。 やってきました。シジュウカラゴジュウカラコガラヒガラヤマガラコゲラ、 ウソ・・・いまでもあまり区別はつかないのですが、いままでどこにいたのかと思うほどです。バードフィーダー が新品だろうが中古だろうが彼らには どうでもいいのです。考えてみれば当たり前の話です。

これをきっかけにいろいろな野鳥がやってくるようになりました。ところで「野鳥」というのもずいぶん勝手な呼び方です。昭和天皇は御所に生えている植物について侍従が「雑草」という言葉をつかったところ、「雑草という名の草はないのだよ」と言われたそうですが、「野鳥」というのも、同じくまるっきり人間サイドの物の見方です。

昭和天皇はやさしいお人柄でしたが野鳥に関しても、エピソードを残しています。ある宴会で、マレーシア大使夫人と通訳をはさんで会話されたときのことです。

大使夫人「宮中にはどんな鳥がいますか?」
陛下が通訳に小声で、
「(鳥の名前を)言ってもいいが、英語で言えるか?」
通訳「字引持っておりませんし、とてもアレでございます」
陛下は夫人に対し、
「ふつうの鳥です」
昭和天皇と違い、この山小舎に来た時はスズメとカラスしか識別できないわが身は「野鳥」という言葉を使うほかありませんでした。しかし、すこしずつ名前を覚え始めると、それぞれの鳥の個性も分かってきて引き込まれる世界なのが 理解できます。バードウォッチングを趣味にする人が多いのも分かります。私など単なる傍観者ですが、やってくる鳥の名前を知ろうとするようになりました。すると習性を知ります。 知ると興味がわきます。かなり識別できるようになりました。

(写真にマウスを当てて手形マークが出るものは大きなサイズになります)

コゲラ ウソ
冬にやってきた珍客コゲラ(2009.12.23) 胸にオレンジの前掛けがあるウソは年中滞在型

「徒党を組んで」といった表現がぴったりするほどで、胸にオレンジの前掛けがあるので(オスだけ)誰にでも区別がつくウソなどファミリーで半日居座る始末です。 下の写真のように大きなカケス、アカゲラもやってきました。(カケスアカゲラの文章と写真、スライドショーは「八ヶ岳の野鳥」にあります)

カケス アカゲラ
美しい色彩のカケス これも珍客のアカゲラ
(2005年3月20日撮影)

バードフィーダーとエサ台にやってくる鳥は、はじめこそおっかなびっくりですが、やがて慣れて望遠レンズを持って、ガラス窓のこちら側にいる人間のことなど気にする様子もなく、夢中でエサをついばむようになります。腹一杯になるとエサをくちばしにはさんでその辺にまき散らすだけの遊びに取りかかるものも出てきます。 さすがにこういうときはガラス窓をコツコツたたいて、「もったいないことするな」と注意します。

ルリビタキルリビタキという鳥がいます。写真=右=(提供「野鳥紀行」) のように美しく、体長14センチほど。北海道と本州の高地で繁殖し、冬は主として関東地方よりも南の山地に移動します。 名前通り、オスは背中のルリ色が見事で、このあたりで一番美しい鳥だと思います。 2002年5月、はじめて我が山小舎で見かけました。

ここに来て十数年たつのに、見たのは これが始めてでした。探鳥会にでも参加すれば別でしょうが、出会いはめったにあるものではないだけに、 見たときは本当にうれしい気持でした。

【ルリビタキ】
ルリビタキのメス
ルリビタキ(メス)
右の写真はオスで、頭から背にかけての瑠璃色と脇腹のオレンジが美しいのに対し、メスは左の写真のように全体に地味な褐色で、脇腹はやはりオレンジ色、腰から尾にのみ瑠璃色があります。オスでも写真のように美しい色彩になるまでに3年以上かかり、最初の2年まではメスとよく似た地味な色彩をしています。


ルリビタキのポートレート あまりに美しいので、左にアップのポートレートを掲出しました。ルリビタキは普段、下生えのある林にすみ、地表近くで昆虫などを取っていて、さえずるときは木の梢にとまり、高く澄んだ声で「チッチーチチロチィー」とか「 キョロキョロキョロリ」、地鳴きでは枝や石に体を立ててとまり,尾を細かくふって、「ギッギ」「ヒッヒッ」「グッグッ」と聞こえるのがこの鳥です。

ルリビタキは高山にいる鳥と思われがちですが、そうではなく、冬は都会の雑木林などで越冬し、夏ni標高2000m付近の針葉樹林帯で繁殖(子育て)をします。海の口自然郷では、繁殖地に移動する4月から5月の間だけ見ることができます。ちょうど雪解け直後の季節です。

ルリビタキ
ルリビタキは美しい


ルリビタキ3 ルリビタキ4
ルリビタキ(ネットから) 羽の青、胸のおれんじが美しいルリビタキ(同)

剥製になったルリビタキ
左記の事件で剥製になったルリビタキ
2004年5月3日、大事件が起こりました。ガラス窓の下でルリビタキが死んでいたのです。以前やはりシジュウガラが落ちていて、調べたのですが一日の うちで何時間か光線の関係で、大窓一面が鏡のようになり背景が写る時間帯があるようなのです。このとき通過しようとして鳥が激突するのではないかと考え、できるだけ カーテンをするようにしていたのですが、朝だったのでカーテンを引いて日光を入れているときでした。家族はショックを受けました。その日の午後、すこし 下に山荘をお持ちの野鳥愛好家の水野さん夫妻が見えて、「エサ場 に来る鳥ではないのでやはり通過しようとしたのではないか」、ということでした。 知り合いに剥製にしてくれる人がいるので頼んでみるといっていただきました。

7月になって完成したという知らせをもらい水野さん のところで撮影してきました。右上の写真がそれですが、目と羽が少し痛んでいたので剥製としては今ひとつだそうですが、少しは貴重なルリビタキ の死が生かされたような気がしました。それにしても、こんな大事な野鳥を死なすとは・・・なにか抜本策が必要になってきました。

【オオルリ】
オオルリ
オオルリは渡り鳥
このルリビタキと似た鳥にオオルリ写真左)がいます。16センチくらいの大きさで、オスは瑠璃色の背をしたきれいな小鳥です。 姿も声も美しい日本三名鳥のひとつですが、これが八ヶ岳にいるのです。いるというと語弊があります。渡ってくるのです。

スズメよりやや大きいヒタキ類に属し、ロシアのウスリー地方、中国東北部、日本、千島列島で繁殖。冬には台湾、マレー半島、 インドネシア諸島へ渡るといいます。 日本には4月にまずオスがやってきます。オスが確立した縄張りにメスが遅れてやってきて番(つがい)となるのです。 森林内の崖地にコケ類で椀型の巣をメスだけで作り合計3〜5個の褐色斑のある卵を産みます。

オオルリは鳴き声が美しく「日本三鳴鳥 」(ウグイス・オオルリ・コマドリ) に数えられています。その鳴き声を聴き分ける動画があるので紹介します。


【ジュウイチ】
ジュウイチの画像
こんなきれいな姿で
托卵行為を働くジュウイチ
オオルリ、コルリ、コマドリ、ルリビタキなどは産卵するとよくカッコウの仲間のジュウイチの托卵をうけます。。 この托卵というのはまったくもってひどい仕業で、造化の神もどうした気まぐれであんな習性を与えたのか首を かしげざるを得ません。一足先に孵化した(托卵側が必ず先に孵化する)、毛も生えそろわないヒナが本来の鳥の卵を背中に乗せて、巣の外に放り出す 映像を見ると、憎たらしくなるのは私だけではないでしょう。

ジュウイチというのは、「慈悲心鳥」といい名前をもらっているうえ、姿も 美しいのに、行為は逆です。名前は鳴き声が「ジュウイチー、ジュウイチー」と聞こえるところからきているそうですが、私は姿にも声にも接したことがありません。 カッコウはこのあたりに多いので、きっといるのでしょうが。

梢のオオルリ
梢で待ち構え
昆虫をフライイングキャッチする
オオルリは北海道から九州までの山地の渓谷沿いの森林にいます。渡りの時期(4月下旬から5月上旬、 9月後半から10月いっぱい)には市街地でも見られるので、写真愛好家がねらうところです。

特技はフライイングキャッチです。主に飛んでいる昆虫を食べるので、梢で待ち構え、見つけると、枝から飛び出して捕まえては 戻るという行動を繰り返すのが特徴です。

オオルリのメス
オオルリのメス。とても同じ鳥とは思えない
オスは胸から顔が黒く、腹部は白く、背中側はあざやかなブルー。尾のつけねの両側は白というコントラストの強い鳥です。 幼鳥の時はみなメスと同じ色彩をしてますが、オスはやがて翼と尾が青くなり始めます。 一方メスは瑠璃色の部分がなく、腹部が白っぽいだけで全身褐色で目立ちません。

渓流沿いの林を好み、高い木のてっぺんで、少し立ち加減の姿勢で美しい声で複雑にさえずります。渡って来たばかりの4月には 茂みで暮らし、「カッカッ」と地鳴きする程度で、あまり鳴かないが、 5月頃から1日中さえずり始め、 7月頃までよく透る美しい声を聞かせてくれます。 カタカナで書くと「ヒーリーロー・ジッジッ」と鳴き、最後に「ジッジッ」と小さな濁った声が入るのが特徴だといいます。テンポ・音色とも 個体により比較的変化が多く、メスもさえずることがあるようです。

【コルリ】
コルリ” コルリもきれいな鳥です。漢字では「小瑠璃 」と書き「スズメ目 ツグミ科 」に属し14センチほどの大きさ です。囀(さえずり)は「チッチッチッチッ カララララ」あるいは「チッチッチッ・・・・ピンツルルルルル」、 または「チッチッチッ・・・・ピッチョチョチョチョ」と聞こえ、地鳴きは「チッチッ 」だそうです。 それらしきさえずりを聞いたような気もしますが、確認できるほどの知識はありません。

オスの上面は鮮やかな瑠璃(るり)色。顔側面から側頚部は黒く、喉から下は白。メスは頭部から上面と 胸はオリーブ色、喉から腹にかけては白です。オスの若鳥はメスに似るが頭部、背、尾が青です。 幼鳥は頭部がオリーブ褐色。

コルリ
コルリ(八ヶ岳で知り合いの愛鳥家、
水野さん070604撮影)
木々の芽吹く5月頃夏鳥として渡ってきて、本州中部以北の低山から亜高山帯の落葉広葉樹林や混合林に生息、 クマザサなどの下草の生える深い森を好み、崖の斜面でコケが密集しているあたりなどに巣をつくる、と いいますから、八ヶ岳の周りにはそれらしき環境はたくさんあります。ここでは5〜8月頃に見ることがで きます。子育てが終わる7月中旬には鳴かなくなります。

八ヶ岳のシンボルマーク”青い鳥” ロシアのエニセイ川より東のシベリア南部、中国東北部、樺太、日本で繁殖し、中国南部、インドシナ 半島からボルネオ島に渡って越冬するとありますから、ものすごい渡りです。

コルリは八ヶ岳では特に有名です。私たちがいる海の口自然郷のシンボルになっていて(=左上画像。クリックで拡大)、ここに至るまでの国道などの道案内の看板から 、パンフレット、ホームページにいたるまで登場しておなじみです。

ところで、この項のはじめに「アメリカではブルージェイという鳥が人気があり夢中になっている人も多いと聞きます」と書きましたが、2002年7月、 この「八ヶ岳の東から」の掲示板にアメリカ在住の露木さんとおっしゃる方から投稿をいただきました。在米13年、同僚の方 とテキサス州で野鳥の勉強をされているそうです。

ブルージェイ
これがブルージェイ。嫌われ者とは驚いた
(球団のホームページから)
その方のサイトでブルージェイの写真を初めて見たのですが、説明文を見て驚きました。

《身近な野鳥のBlue Jay(アオカケス)はその名のとおり青いカケスで、アメリカ東部から中部にごく一般的に生息し、 都市公園や庭にも頻繁に現れる。米大リーグ「トロント・ブルージェイズ」のマスコットになっている。 しかし、野鳥好き、特にバックヤード・バーダー(自分の家の庭に餌台を設置して野鳥観察を楽しむ人々)には 最も嫌われている野鳥の一種なのだ。
というのも、Red-shouldered Hawk(カタアカノスリ)の泣き真似をするという秘密兵器を持っており、その声 で周りの鳥を脅えさせ、飛び去ったあと餌台の餌を食べまくる。時には、自分より大きいカラスさえも 追いかける。 鳴き声もジェイ、ジェイとやかましい》
とあるのです。そういえば顔つきもなんだか意地悪そうに見えます。

「Jay」が鳴き声からきていること、大リーグのマスコットになっていることなども耳新しいものでしたが、嫌われものとは、世の中 さまざまです。最初は可愛かったのですが、毎回我が山小舎にやってきて大食漢ぶりを発揮し、いまでは少々もてあまし気味になってきた八ヶ岳のウソのファミリーのようで笑ってしまいました。

この項を書いた時には日本人大リーガーが誰もいなかったのですが、その後、野茂英雄投手に始まって(ロサンゼルス・ドジャースで大活躍、その後もいくつも球団を渡り歩いた)、 松井秀喜選手(ニューヨーク・ヤンキース)、松坂大輔投手(ボストン・レッドソックス)と日本勢が大活躍します。「トロント・ブルージェイズ」にも大家友和投手が入団(2007)、日本人2人目のメジャー50勝を挙げ 松井との日本人対決が実現して大いにファンを沸かせました。シーズン途中で戦力外通告を受けましたが、野鳥の名前から覚えた米球団に日本人が入ってくるなど予想もしませんでした。


八ヶ岳で出会うこのほかの野鳥を以下にまとめてあります。(制作途上)
 

【八ヶ岳の野鳥】  


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リスを呼ぶ



【リスがやってきた!】(上のアニメは本土リスではありません)

穴が開いたバードフィーダー
大きな穴をあけられたバードフィーダー
プラスチックの円筒形のバードフィーダーにヒマワリの種をたくさん入れて、帰京するのですが、次回行くと、横腹に大きな穴があいていて、エサがざざもれになって使いものにならなくなっていました。

こんなにするどい歯を持った動物は何だろうと家族で話題になりました。テンだろうか、イタチだろうか。以前ポーチに置いてあった肉を一晩のうちに持ち逃げされた経験から出た発想ですが、彼らは肉食だからヒマワリの種に手を出さないはずです。

じゃあリスかな。でもつるつるしたプラスチックの容器にどうしてとりつくのだろう、など謎のままです。今度はリスを呼び寄せたくなりました。

あるとき、強風が吹き、敷地のカラマツが真ん中からポッキリ2つに折れてしまいました。上の半分を見ているうちに、これでリスを呼べないか実験してみることにしました。枝を落として丸太にしたものを窓ガラスの前の木の枝に差し渡し、リスの渡り廊下のようにしつらえたのです。端っこに、つまりよく見えるガラス窓のすぐ前に板を置いて、この上にそうめんの空き箱にヒマワリ、から付きピーナッツを入れ、ガラス器の水飲みとスープ皿の水浴び台を用意しました。

そのうち来るかもしれないと、額の汗を拭きふきビールを飲んだとたんです。そうめんの空き箱にリスが座っているではありませんか! どこか遠くでエサ台が完成するのを待っていたかのようなタイミングです。 こんな近くにリスがいた!。窓ガラス越しとはいえ1メートルと離れていない距離でリスを見るのは初めてです。 大感激でフィルム1本撮りきってしまったほどでした。

リスとの出会い
最初にやってきたリス。
本州固有のホンドリス( ニホンリス)だった。

リスのスナップ1(下の4枚はクリックで大きな写真になります)
食べるのはヒマワリ、ピーナッツ、くるみ、リンゴ、トウキビ・・・けっこう強情で、エサ台に鳥がいると追い払う。
右はバードフィーダーに穴をあける犯人が誰かわかった決定的瞬間!

家内がまたアメリカに行くことになり、今度はリスのエサ台を買ってきました。妙な形で飛び出ている釘にトウモロコシやリンゴなどを刺せばよいと教えられて来ました。

リスが食べるときちょうどイスに座った形になるような写真がついてます。でもそんなに都合よく人間の思惑通りにいくものか、これも疑問です。 ところがリスときたら、まさに箱にある写真のようにちょこんと座って食べ始めたのです。うなってしまいました。よく観察し、かつアイデア豊富なアメリカ人よ。拍手しました。

ちょこんとイスに座ってトウモロコシを食べる。
それもバラバラではなく、トウモロコシの
列ごときれいに片付ける几帳面さ。

でもこちらも負けてはいません。リスは草食ですが冬場脂肪が少なくなるときはスーパーなどで牛脂を手に入れて、近くに置いてやるとなんと食べるのです。これは「発見」です。ついでに野鳥も食べに来るのです。

野鳥ばかりでなくいろんな動物もやってきます。夜、女性の毛皮の襟巻きのような動物がかじりついていました。オコジョだ、ハクビシンだと家族の間では今も結論は出ていません。冬の脂肪難のときは、つらかろうと、 肉屋さんに頼んで、、切り落とした大量の牛脂をテレホンカードと引き換えで頂戴し、山小舎まで持ちあがります。凍ってしまって大きなかたまりになったのをポーチに置いといたら、キツネかタヌキでしょうが、夜中懸命に 運び出した跡がありました。雪の跡をたどると縁の下にごろんところがってます。家人が起きてきて断念せざるをえなかった朝方の彼らのうらめしそうな顔が見えるようです。ウサギの足跡はいたるところにありますが、何を食べて いるのか不思議です。ニホンカモシカとイノシシは敷地の笹を押し分けて飛び出してきました。写真を撮る間もありませんでした。

2001年初夏、山小舎近くの道路で犬を散歩をさせていたらニホンカモシカと出会いました。先日も見かけたのでなんだか親しい気持になって「やあ」と近寄ったら、いきなりバタンと倒れました。起きあがろうとするのですが、力がないようです。家内が水だリンゴだと 運ぶのですが受け付けません。事務所の人に頼んで獣医を呼んだのですが、駆けつけてくれた時は死んでいました。血を採ったら貧血ということはわかったものの、何でそうなったのか、病気か寄生虫かなど原因はわからないままです。 自然界で生きるということはほんとに厳しいことなのだと、彼らに学びました。この騒ぎの間中あっけにとられたのかおとなしくしていた我が家の犬に、お前はいかに幸せか、いって聞かせたのですがキョトンとしていました。

ニホンカモシカにはその後も何度も出会いました。八千草薫さんの敷地の中を母親とはぐれたらしい子どもがヨチヨチ歩いてるときには心配しました、2007年のG・Wには我が敷地の中を悠々と横切って行きました。この時は後姿しか撮影できませんでしたが、 ブログ「Mt.8」(マウント・エイト)にアップしました。右上の写真は2008年3月16日「今日の八ヶ岳」に掲載されたものです。

山小舎からガラス窓の外を眺めているだけでも多くの野生の生命に接します。懸命に生きているのがわかって感動的でさえあります。つられてこちらも、人生とは・・・など哲学的に考えたりします。

さて、リスの話に戻りますが、彼らのおもしろい習性も見ました。貯食といって、秋口になると、ヒマワリやクルミを林 の間を走り回って穴を掘って埋めるのです。 冬の食料難に掘り出して食べるのですが、見ていると、ほとんどは忘れているようです。冬も間近な小春日和に、林の中のとんでもないところにヒマワリが芽を出したりします。春にミズナラやクリなど、いろんなものが芽を出すのは リスのおかげです。 こうして林は広がっていくのだという、自然界の輪廻(りんね)というかサイクルを目の当たりにすると、自然はすばら しいと実感します。

貯食行動の話のつづきですが、リスは、上述のようにミズナラやオニグルミの実を地面に埋めますが。 オニグルミの実は重さもあり、大型で分散しにくいので、はじめからリスによって運ばれ、埋められること を前提にしています。リスがいなければオニグルミは広がらないのです。一方、北海道に生息するシマリスは、地下深 く1メートルほどのところにクルミを貯蔵する習性で、このような種子は発芽できません。エゾリスやニホンリスなどによって地面浅く埋められた クルミだけ、発芽できるのです。シマリスの深い貯食がなぜなのかは分かりませんが、不思議です。

2008年8月末、帯広の「エゾリスの会」という市民団体で、リスに関わる活動をしている「noken」さんから 掲示板に投稿をいただきました。

「シマリスの貯食についてクルミと書かれておりますが、シマリスはクルミの殻を割ることができません。シマリスが貯食するのはドングリです。北海道ではカシワやミズナラの果実で、クルミは食べません。 また、ほとんど忘れてしまう、と書かれていますが実際はその逆で、多くを見つけ出し、食べます。 ニホンリスの場合についてはサイト「二ホンリス小事典 」に数値が出ております。 エゾリスのほか、クルミを食べる動物にアカネズミがいます。エゾリスは割って食べ ますが、アカネズミは片方ずつ丸い穴をあけて中身を食べます。しかしほかにはでき るものがいません」

ということです。聞きかじったことを書いたのですが、的確なご教示をいただいたので訂正します。 また「積雪地で観察していると、まるで潜航艇のように積雪のなかを潜っていって出てくるとクルミ(やマツの実)をくわえています。全く不思議です。(掘り当てるのは)エゾリスは地理がきちんと頭に入っていることと木の実に含まれる脂肪酸に敏感なのではないかと仮説されております」とあります。 雪の下をリスが縦横に走り回り、秋口に埋めたドングリをきちんと見つけ出しているというのですから、たいした能力です。


左右とも、2003年夏のリスの近影です。最初の出会いから数年たち、人間にも犬にもだいぶ慣れてきました。少しの物音でもすっ飛んで逃げていたのが、 ぎりぎりまでエサ台の上にいるようになりました。エサを置くとすぐ現われるので、どこかでこちらを観察しているようです。


上でも紹介しましたが、アメリカのショップでは「リスのフィーダー(エサ台)」というのをよく見かけます。釘にトウモロコシを差し込んだだけのもので、買い込んではみたもののリスがエサを食べる姿がそんなに面白いのか?程度の思いしかありませんでした。しかし、見ているとこれがめちゃ面白いのです。リスの習性をよく観察したのでしょう、リスが食卓に座ってティータイムを楽しんでいるかのような光景が見られるのです。アメリカのリスは日本より一回り大きいのですが、ホンドリス(ニホンリス)でも同じようにちょこんと座ってトウモロコシを食べていきます。

2020年々10月1日、動画にその姿を撮影することができました。右の動画です。春からエサ台は出していたのですが、この季節まで寄り付かなかったのは、どうもリスにも好みがあって、ピーナッツやヒマワリの種があるときはそちらを食べ、なくなってようやくトウキビに手を出すということのようです。

【リスについて】

日本には北海道に「エゾリス」と「エゾシマリス」、本州と四国に「ニホンリス」がいます。 学術的にはニホンリスという呼び方をするようですが、一般には、日本の本土にいる からでしょうが「ホンドリス」と呼ぶことが多いです。日本固有のリスはニホンリスだけです。
しかし、伊豆大島や鎌倉あたりでは大きくて凶暴な台湾リスが跋扈しています。これはペットが野生化したもので、在来種を追い出したりしていて自然態系を守る上で問題になっています。

ニホンリスは体長、15〜22センチ、体長と同じくらいの長さの尾があり、体重は240〜310グラム。 本州、四国、淡路島にいます。エゾシマリスだけ冬眠します。ニホンリスは八ヶ岳が冬の間も活 発に動き回っています。
まだ林の間に雪がある4月はじめ、雪の上を時々チョッ、チョッとするどい鳴き声を上げながら大変なスピードで追い かけっこしています。ちょうどこのころ発情期のようで、1か月ちょっとで出産します。

エゾリスとニホンリスは素人目にはほとんど同じです。両方見たことがありますが私には区別がつきませんでした。 ものの本によるとエゾリスは「耳の長い毛、背中の濃いこげ茶色と腹部が白いことが特徴。白い腹 にオレンジ色のラインが入る(入らない種もある)」とあります。

エゾリスは「ユーラシア大陸の北方森林地帯に生息するキタリスの一亜種」という位置づけです。 ニホンリスよりエゾリスの方が大きく、こういうのを『ベルクマンの法則』というそうです。「同じ種類の動物は寒い地方の個体の 方が大きい」というもの。どこかに書きましたが、北海道のカラスは内地のものより大きくて怖いぐらいです。 なるほどなあと思います。

リスの学名は「Sciurus」。「Skiouros」というギリシャ語に由来します。これは、自分の尻尾の上に座るもの、 という意味で、英語の「Squirrel」も同じ語源です。和名の「リス」は漢字で「栗鼠」と書きます。「くりねずみ」。その音読み 「りっそ」が「リス」に転じたものです。英語の「スキレル」を中年になるまで知りませんでした。シカゴの近くで開かれた ゴルフの全米オープンの会場に行く途中、立ち寄ったバードフィーダー店でリスのエサ台を見かけ、そこの絵で覚えた ので、リスを見かけるたびにそのことを思い出します。

バードフィーダーに魅せられて、いろんなものをぶら下げて日がな一日野鳥とリスの観察をしますが、今のところ動物学者がこれまでに報告した内容から一歩も出ていないのは残念です。

でも、この悦楽を人にも分けてあげたくなりました。で、アメリカに注文したのです。向こうは安いのですが、まとまると結構な値段になりました。待つこと3ヶ月。手違いで横浜の倉庫に長く放置されて、保管料がかさんだのと、カートンとダースの単位を間違ったのか、 あるものだけたくさん抱え込んだりして、思ったほど安くはできませんでしたが、それでも八ヶ岳の近辺の方で、 すっかりとりこになった人たちが「ウチにもリスが来ました」とか報告してくださるようになりました。
次はもっとおもしろいものをアメリカで手に入れたいと思います。

鳥にも好みのバードフィーダーがある
バードフィーダーがいろいろ並んだ林。右側の家型のものは大型で水抜きまで付いている。
真ん中はリスのエサ台。左端はプラスチック製。

なによりこれぐらいのもの器用な方なら作るのも簡単だと思うので、そういう同好の方もふやしたいものです。と、書いたせいか、最近、展開図とか簡単な図面がほしいというメールを いただいたりするようになりました。なんとかしたいのですが、わたしがもっとも苦手の分野ですので、お許しください。

まどろむリス
雪の日、木の上でまどろむリス。学術的に珍しい写真、と思うのは私だけのようで・・・

【リスの巣作りを見た!】

(写真にマウスを当てて手形マークが出るものは大きなサイズになります)
ナナカマドの皮を巣材にするとは初めて知った。皮を剥いでは口の中で丸めて巣まで運んでいく。

2009年10月8日、珍しいリスの巣作りの模様を観察しました。我が山墅(さんしょ)のガラス窓から見えるところに、バードフィーダー を吊り下げるため、ナナカマ ドの切り枝を立ち木の間に差し渡してあります。この日は朝早くからいつものリスが現われ、いきなりバリバリとナナカマドの皮を剥ぎ取り始めました。 皮の一方をくわえて首を思い切り伸ばして引っ剥がし、自分の背丈より長くなると今度は皮の中ほどに移動してまた背伸びしながら引き剥がします。

自分が落っこちそうなナナカマドの木の下側の皮はどうするんだろうと思ったら、写真のように、ぶら下がるようにして剥ぎ取りました。見事なものです。 こうして全体の長さが1メートル半ほどになると、今度は手を使いながら口のなかでくるくると回してロール状に丸めます。

口いっぱいに頬張ると今度はいったん木の上にのぼり、枝から枝へとジャンプしながら巣に戻っていきます。この動作を何度も繰り返すので巣の在処(ありか)も判明しました。 窓から見える30メートルほど離れた場所にあるトウヒ(モミの木)の地上から10数メートル上の枝です。かなり大きそうで巣とおぼしき場所は常緑の葉が直径1メートルば かり黒々としていました。

縦に裂ける皮であればほかの木でもいいのでしょうが、ナナカマドとは・・・と意外な利用方法にも感心しました。巣材づくりの方法は分かりましたので今度は巣 作りの方を見てみたいのですが、巣の在処は梯子くらいでは追いつかない相当高い場所なので断念しました。たくさん運びましたから、床に敷いたり屋根の覆い にしたりしているのでしょうか。春先には子リスがみられるかもしれません。

【 雪下ろしをするリスがいる !】

2018年3月ネットで見つけたので紹介するのですが、雪国では電線に積もった雪は断線などで停電の原因になるので嫌われていますが、なんと!雪下ろしを してくれるリスがいるのです。

この動画にはいつ、どこで、何のためになど何一つ記述がないので詳細は分かりません。しかし、上の章で、木の皮を剥ぐ作業に熱中する我が 山墅のリスを紹介したので、私は何となく、皮剥ぎと同じ要領で、自分の走路に邪魔ものがあるとじっとしていられないのがリスの習性ではないか、と思っています。

我が山墅の窓ガラスの前にバードフィーダーがあります。そこに雪が積もるとこんもり山ができます。埋まったなかに餌があるので、ヒメネズミがトンネルを掘りました。すると リスがその穴の中に潜り込んでいくのを目撃しました。電線の除雪のリスもそうですが、彼らは雪など冷たくないらしく厳冬期も活発に動き回っています。たくましさに感心するばかりです。


電線の雪下ろしをしてくれるリスがいるとは!!


【 リスはどんなところに棲んでいるのか 】
リスの巣はこんなところにある。
木の途中に見える黒いかたまりがそれ。

いつも向こうさんの方からお出ましになるので、こんな大事なことを考えたことがありませんでした。山小舎よりずっと奥深く 、木の下の洞あたりにいるくらいに考えていたのですが、2003年秋、ロッジのホームページに「これがリスの巣です」というのが紹介されました (写真左)。
なんと木の上でした。それまでにもこれは見かけたこともあるのですが、てっきり鳥、それも猛禽類の巣だと思っていました。 枯葉の上を走り回り、木の実を埋める貯食行動に励む姿を見ていたので、地面にいるものとばかり考えていたこちらがうかつでした。そうだったんだ!と改めて 感心している始末です。

こんな低いところにも巣を作る(2010.10.8撮影)
上述したように巣材としてナナカマドの皮を剥いで巣に運ぶ姿を撮影しました。その姿を追うと高いトウヒ(唐桧)の木の上に持って帰っていました。高くて人間の手が届 かない場所に作るんだと思っていたら、なんと2010年、今度はその巣がほとんど人間の目の高さに作られているのを発見しました。写真がそうですが、あま り使っていない人の山荘の中で、すぐ横をクルマも通るようなところです。驚いたことにこの巣の上にさらに2つも同じ大きさの巣がありました。

写真の一番下の巣は今では使ってないようなので、察するところクルマと人を避けてだんだん上に移動したようにも思います。木の枝をたくさん集めて枝を 差し込むように編んであって直径は1メートル半ほどもあります。巣材はナナカマドの皮のように、なんでも手近にあるものを利用するようです。ここのは ほとんどカラマツの枯れ枝でできていました。覆いは無いので雨のときは風雨にさらされるわけで子供の体温維持はどうするのだろうと不思議です。

なんと!リスが猛毒のベニテングタケを食べる

キノコの項で我が山墅に生える猛毒のベニテングタケについて書いた。毎年、敷地のあちこちに毒々しい傘を広げている姿を見る。近づかないようにしているのだが、この有毒キノコをリスが食べているというびっくりの報告が2021年学術誌に掲載された。観察したのは我が山墅と赤岳・横岳を挟んで反対側にある茅野市のアマチュアだ。ということは、ウチのニホンリスも食べているのではないか。

長野県茅野市在住のアマチュア写真家、五味孝一さんが撮影に成功した毒キノコを食べるリスの写真をもとに、神戸大学大学院理学研究科の末次健司准教授(進化生態学)が考察した論文「有毒なキノコを消費するリス」が、学術誌「Frontiers in Ecology and the Environment」に掲載された。

ベニテングタケ コガネテングタケ テングタケ
ベニテングタケを食べるニホンリス
2020年10月15日撮影
コガネテングタケも食べる
2020年10月12日撮影
テングタケも食べる
2016年10月7日撮影

ベニテングタケなど「テングタケ属」の毒性について、厚生労働省のサイトでは、「食後30分程で嘔吐、下痢、腹痛など胃腸消化器の中毒症状が現れる。そのほかに神経系の中毒症状、縮瞳、発汗、めまい、痙攣などで呼吸困難になる場合もあり、1日程度で回復するが古くは死亡例もある」と危険性を呼び掛けているほど。

しかし、この有毒キノコを好んでリスが食べていることを五味さんがカメラに収めた。定年退職後、故郷の長野県茅野市に戻り、野生のニホンリスの撮影を始めて7年。「ニホンリスを撮り始めた年にドクベニタケ(毒キノコ)を食べるリスを見かけました。2年目に毒性が強いといわれるテングタケを食べるのを見た時には、死んでしまうのではと心配しましたが、翌日もまた次の日も元気に食べに来たので安心するとともに驚きました。かじられた毒キノコを目にすることはありましたが、まさかリスだったとは!という思いです」

一般にキノコの毒は、食べられるのを防ぐためと考えられている。一方で、キノコを食べる動物は、糞として無傷の胞子を散布することがある。末次准教授によると、今回の観察は、テングタケ属が散布に適した相手(リス)に食べ物(今回の場合はキノコ本体)を提供し、その代わりにリスに胞子を散布してもらっている可能性を示唆するもので、もしそうだとすると植物がおいしい果実をエサに動物に種子を運んでもらう関係と似ているといえる。

五味さん「ニホンリスは、木の実以外にも毒キノコに限らずキノコが好きのようで、樹上や地上でキノコを見つけると足を止めて食べています。小さなキノコは、その場で食べますが、大きなキノコは同じ場所で数日(長いと1週間くらい)かけて食べたり、ちぎって樹上に運んで食べたりしています。最初からほかのリスに食べられないように、大きなまま樹上に隠すリスもいます。食べきれない分は樹上に貯食するようで、乾燥状態になったテングタケを冬に食べている姿も見たことがあります」

末次准教授は「春生まれの子リスは、連日のように4回もテングタケを食べに来ていたそうです。人間換算にすると相当なダメージ、死んでもおかしくないような量を食べても無事ということですので、それなりの毒への耐性があると考えられます。人間が持たない解毒能力がリスにあることも面白いです」という。

【アメリカのリス事情】

アメリカのバードフィーダーの店を覗くと本来の野鳥のためのグッズのほかリスの遊び道具などおもしろいものがあります。笑ってしまうようなものもあります。 くわしくは「バードフィーダーのいろいろ」でいくつか紹介しました。

さっそく札幌郊外に住む方から「エゾリスが来るので」とお求めいただきましたが、リスの習性は洋の東西を問わず変わらないようです。 エサの好み、愛らしいしぐさ、すごいジャンプ力、人間の近くに 寄ってくる人なつこさ(用心はおこたりませんが)などどこも一緒です。

テネシー州の親戚の家では、野鳥のためのバードフィーダーに片足、もう一方の足は窓ガラスにかけて、えらそうな表情で 剥き身のヒマワリをむさぼっていました。このあたり、夕方になると民家の芝生の上にたくさんの蛍 が舞うのですが、その中でちょこんと立ち上がってこちらを眺めている姿などかわいいものでした。

人間の近くにくるための悲劇もたくさん目の当たりにしました。すばしこいようにみえてもクルマ にはねられるのです。チェロキーのインディアン部落でも郊外のハイウエイでも一日に10件ほど 事故を目撃しました。私一人で見かけただけでそれだけですから相当な被害だと思います。 リス以外にもタヌキ、キツネ、名も知らぬ動物、スカンクも被害にあっていました。これは窓から入ってくる 匂いで分かるのですが。

アメリカではリスが多くて邪魔にされていると書きました。確かに「あれはネズミと同じよ」とまゆを寄せる方 方もいます。近頃では深刻な被害も出ています。こんな新聞記事もあります。

木枯らしの季節、ホワイトハウスや連邦議事堂の周りを歩くと冬支度に追われるリスの姿が目につく。 しかし、米電力各社は、電線をかじって停電を引き起こすリス対策に頭が痛いとか。南部のジョージ ア州では、リスによる停電が昨年1万7000件近く発生し、前年の3倍に増えジョージア電力のリス対策 費は年間200万ドルに上る。

サバイバルの専門家は「あれは食べられます」。ワイヤで作った小さな輪を棒にたくさん仕掛ければ「 割と簡単に捕れる」そうだ。
レシピも豊富。調べてみるとフライやシチューなどがキャンプ料理として推奨されている。連邦環境保護局も「鉛汚染の心配はないし」 とリス肉にはお墨付きを与えている。《産経新聞2007年11月9日「ポトマック通信」(山本秀也記者)》

バードフィーダーの店を覗くとリスと一緒に遊ぼうという人のために工夫された道具もまたたくさん あるのです。食べ散らかしたヒマワリの種の殻は我が家でも悩みの種ですが、上述のように剥き身のヒマワリ が用意されているのには感心しました。輪禍以外は総じてリスとうまく共存している、と思いました。 小さな命をいとおしむ気持ちに東西で違いなどあるわけないのです。それにしても近ごろ八ヶ岳のリス、 飽食が過ぎるのではないかと思ったりします。

顕彰碑を建てられたリス

大学には記念碑や銅像がよく建立されるが、だいたいは偉業を成した人への敬意であることが多い。 しかし、アメリカ・ペンシルバニア州の デラウェアバレー大学で建立されたのはリスの銅像だった。

その理由というのが……。

記念碑になったリスの「スパーキー」
このリスは大学内の電線をかみ切って、大学全体の停電を招き、そのせいで授業が丸2日間、休講となった。

丸二日の休暇をプレゼントしてくれたリスは「スパーキー」と名付けられ、その偉業を称えて2018年の卒業生 から贈呈されたもの。Sparkyには「電気椅子」という意味もあることから、「スパーキー」はその場で感電死したものと 思われる。

碑文には、

In Fond Memory of "Sparky"
The squirrel that searched for light even during the darkest of times.
Class of 2018

スパーキーを偲んで建立する
彼はこの世の暗闇の中に一筋の光を灯してくれた
2018年卒業生

アメリカには南部、中西部を中心にリスが多く、電線が噛られての停電(大きなものだけで)数年間で24の州で50の停電 被害が起きているが、顕彰碑が建ったのは「スパーキー」だけのようである。

(写真にマウスを当てて手形マークが出るものは大きなサイズになります)
リスのスナップ2(八ヶ岳高原ロッジのHPなどから)
これはロッジあたりを縄張りにするリス。我が家に来る連中は 食材が豊富なせいか
ピーナッツ、ヒマワリ、クルミ、リンゴの順で選り好みする。

リスのスナップ3(2005年3月撮影)
だんだん慣れてきて簡単には餌台から逃げなくなってきた。
写真のようにトウモロコシは列ごときれいに食べる。 ピーナッツは運ぶこともあるが、
だいたい餌台に座って器用に割って食べていく。クルミは貯食のためかどこかに運ぶ。

リスのスナップ4(2006-2008年3月撮影)
リスの好みの食べ物はピーナッツ、クルミ、ヒマワリの順。
ドングリの季節だとやはりこれが一番に来る。
逆立ちし ても平気なのはゴジュウカラと同じ三半規管なのか。


【ロシアのリスもかわいい】

2009年11月18日、外電を見ていたら「モスクワに今年初めての雪、公園も雪化粧」という見出しで初雪の便りがありました(AFP)。この記事には雑感の写真が2,3枚添えられていて、「モスクワ市内の公園で雪が積もる木に登ったリス」という説明がついています。そのリスの表情があまりにかわいいので掲載します。みたところ日本のリスとあまり変わりありません。日本では「ニホンリス」というのですが、ロシアでも「ロシアリス」と言うのでしょうか。
(写真にマウスを当てて手形マークが出るものは大きなサイズになります)
こちらを見つめるリスの眼がたまらなくかわいい。ニュース写真だがカメラマンのセンスが抜群。
【それー!空飛ぶリスだー】

空飛ぶリス
空飛ぶリス

「面白野生動物写真展2022」(The Comedy Wildlife  Photography  Award 2022 オランダ・マースホルスト)で優秀作品に選ばれたリスのジャンプ姿。風雨の中を跳躍する赤いリスの体から水滴が飛び散っている。

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