2007年2月 課題:「年男・年女」

変わらない
  
@昨年はどんな年でしたか――
   後半の麻雀の負け込みがなければもっと良い年だったでしょう。

A昨年1年間で一番の思い出は――
   夏休みにグランドキャニオンをヘリコプターで遊覧したこと。

B今、一番大切にしている物(事)は何ですか――
   人脈のネットワークと頭髪。

C今年の抱負は――
   香春岳から福智山への山並みを歩いてみたい。

 これは社内報『たがわ』の1998年新春号のアンケートに対する私の回答である。当時、私は第2の職場として、福岡県田川市にあるたばこのフィルターメーカーに勤務していた。会社には社内報があって、新春号には毎年その年の年男・年女全員に上記のような質問をし、顔写真入りで紹介していた。年男・年女は12人に1人の割合でいるから、社員200人ほどでは毎年15,6人が相当し、ちょうどいい人数になる。それに、24歳の若者から、私のように還暦の年男まで、各世代に分布するのも社員紹介としては都合が良い。

 同じ質問に対し、9年後の今ならどう答えるだろうか。

@――後半の麻雀の負け込みがなければもっと良い年だったでしょう。
 これはまったく同じである。昨年の秋から暮れにかけては負けがこんだ。

A――春にカンボジア・ベトナム観光で、アンコール遺跡を訪れたこと。
 グランドキャニオンとアンコール遺跡との違いはあっても、海外旅行は同じ。

B――人との出会いとパソコンのデータ。
 前回、「人脈のネットワーク」としたのは、まだ現役サラリーマンで、人と人とのつながりが仕事の上で重要だったからだ。定年後の今は、出会いの機会は減ったが、それだけにエッセイ教室、麻雀、将棋など趣味の仲間や、学生時代の友人、かつての職場で培った交友関係は何物にも代え難い宝である。

 九年前は朝晩養毛剤を振りかけていたが、今ではたまに思い出したようにしか使っていない。薄くなるのが止まったようでもあるし、あるいは、もうこれ以上抜ける毛がなくなったのかも知れない。いずれにしろ頭髪には余り執着しなくなった。代わりに失われて困るものはパソコンにため込んだエッセイ初め、読書録、日記、ランダムメモ、写真などのデジタルデータである。

C――旧東海道歩きの達成
 前回回答の香春岳から福智山は田川ではどこからでも目に入る山並みで、山好きの私は常々気になっていた。同じ年のゴールデンウイークに歩いた。今年は目下静岡市の手前で中断したままの旧東海道歩きを完成し三条大橋の上に立ちたい。

 こうしてみると、9年前と余り変わらない。3年後には6回目の年男である。

 @――株で億万長者になり、A――豪華船で世界一周をし、C――エッセイ集を出版し文学賞をねらうなどというのは妄想のまた妄想。

 元気でいられたら、3年後も今回と同じ様な回答になるのではないか。

                                 2007-03-02 up

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