2021年12月  課題:七五三


素数


 
素数:1より大きい自然数で、その数自身と1以外の自然数では割りきれない数。

 素数の存在は紀元前から知られていて、しかもその数は無限であることもわかっていた。小さい順から挙げると2、3、5、7、11、13、17、19、と続く。偶数は2以外は素数ではなく、また、最後が5の数も、5以外は素数ではないことはすぐ理解できるが、それ以外の数が素数か否かを見分けるのは簡単ではない。例えば23は素数だが、21は3で割り切れるので素数ではない。桁数が増すとその認定は極めて難しい。1から100までに現れる素数の数は25個だが、素数の現れ方に何かの法則やパターンがあるのかは不明で、数学の研究の一大分野になっている。

 コンピュータを駆使して素数探しが行われているが、現在までにわかった最大素数は2を82、589,932回かけた数から1を引いた数で、10進法で表すと2486万桁以上というちょっと想像もつかない大きさである。

 素数ですぐ思い浮かべるのは七五三である。見事に素数が並ぶ。平安時代から3才、あるいは5才、7才になった子供を祝う行事があって、それが、江戸時代に今の七五三として確立されたようだ。七五三というのは奇数は陽、偶数は陰という中国の考えから7と5と3が選ばれ、特に素数を意識したものではないようだ。

 七五三素数並びてめでたけれ   肇

 戦争中に幼年時代を過ごした私には七五三の記憶はない。幼児だから覚えていないのかと思ったが、写真も残っていない。戦後の数年も豊橋市の南部の母の実家に疎開していたが、周囲で七五三の祝いがあったという記憶はない。

 私の子供たちがその年齢を迎えた、昭和40年代には、今のように広く行わるようになっていた。子供たちの七五三祝いの記憶も薄れてきたが、半世紀近く前のアルバムを見て、自分の子供には人並みに七五三を祝っていて一安心。

 戦時とて我に縁なき七五三    肇

 もう一つ、日本文化に深く馴染んだ素数がある。俳句と短歌の音数だ。
5、7、17、31、いずれも素数だ。俳句や短歌だけではない。いわゆる七五調は日常に深く浸透している。「蛍の光」の歌詞、「飛び出すな車は急に止まれない」といった標語。いずれも口に出した時リズムがよく、覚えやすい。

 詩の神は素数を愛でて翁の忌    

              
翁の忌は芭蕉忌(陰暦10月12日)の傍題季語

 五七五がなぜ快いかには本居宣長以来諸説ある。最近では4拍子説がある。日本語は4拍子、およびその倍の8拍子が基本のリズム。五七五を口に出すとき、8拍子に足らない部を「切れ」あるいは「間」として読んでいるから快いのだという。「切れ」とか「間」は日本文化を考察する際のキーワードであると言われており、興味ある説だ。

 2021-12-22 up


   

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