2018年8月 課題:「冷房・エアコン」 夏期鍛錬会 鍛錬会と名のつくものに初めて参加した。私が属する俳句結社天為の夏季鍛錬会だ。毎年各地持ち回りで開かれるが、今年は東京だったので、オリーブ句会のYさんを誘って、思い切って参加した。 7月19日に届いた会のスケジュール表を見て驚いた。まず、事前投句20句。これがすべて季題詠もしくは詠み込み兼題句。課題季語には「竜淵に潜む」「月下美人」といった、今まで考えもしなかった季語があり、詠み込み兼題も、漢字一字だけでなく、漢字二字を詠み込むものもあった。ラムネという季題もあった。実際に手にとって飲んでみなければ句が作れないと思い、近所のスーパーやコンビニを回ったがなかった。急ぎアマゾンで注文して取り寄せた。毎日苦吟しながらどうやら8月初めまでには20句を作り、事務局に送付した。 もう一つの脅威は吟行句。鍛錬会では初日新宿御苑、二日目湯島聖堂・ニコライ堂との2回の吟行が計画されている。各吟行ごとに10句出句。私たちがやっている吟行は普通は3句出句。10句とは脅威、まさに「鍛錬」だ。当日の吟行時間は1時間半だ。とても10句は出来そうにない。 8月4日、Yさんと吟行の下見に行った。続いていた猛暑日もこの日は途切れたが、それでも都心の最高気温は34.1度であった。午前中新宿御苑、午後湯島聖堂とニコライ堂。炎天下を歩きまわり、最後に入ったニコライ堂は適度な冷房が効いていて、その上、高いドームの天井がいかにも涼しく、しばらく出られなかった。帰宅した私に「無事に帰れてよかった」と妻は言った。 8月14日、34.1度。鍛錬会初日。9時半に新宿御苑集合。参加人員は師範の有馬朗人主宰、師範代の日原傳さん、運営スタッフ4名を加えた計26名。北は札幌、南は沖縄からの参加者もいる。各人それぞれに句帖を手に広い新宿御苑に散っていく。ちらほら見える入園者には外国人が多い。今年米寿を迎えられる朗人主宰は、この炎天で、さすがに休憩所で過ごされたようだ。 吟行後、淡路町の会場に移動し、昼食後、吟行句の出句。10句といっていたが、暑さのせいで8句に減らされた。それでも全部で208句。その中から各人が8句選句し、披講。自分の句が読まれたら直ぐに名乗る。最後に朗人主宰の選、並選と特選が発表される。吟行句が終わると、事前に配布された、課題句の選の発表。各課題について3句選。いったん、近くのホテルでバイキングの夕食をすませて、また、句会。課題句をこなしていく。8時半終了。 8月15日、33.1度。昨日よりは風が少し涼しい。課題句の残りをやった後、吟行。湯島聖堂は盆休みだったので、神田明神と昼食をはさんで、ニコライ堂に行く。午後は吟行句の句会。5時終了。 私もYさんも主宰の特選に1句、吟行句も数句選ばれ、まずは上出来だった。 かくして、私の80回目の夏が終わろうとしている。課題句の作句、吟行下見、鍛錬会と、連日テレビが熱中症注意を呼びかける、記録的な猛暑の中の俳句三昧の夏だった。 朗人主宰の家にはクーラーも冷蔵庫もないと聞いていた。鍛錬会の時、今年の暑さが話題になり、朗人主宰は、ついにクーラーだけは入れたと言われた。 私は、いつものようにエアコンも扇風機もない書斎と寝室で、毎日を過ごした。 おまけ 神田明神での一句 将門を祀る社の一夜酒 肇 神田明神には平将門も祀られている。門前には江戸時代から続く甘酒屋がある。甘酒は餅米の粥に麹を加えて一晩おくと出来るので一夜酒とも言われる。夏に飲むと暑さを忘れるというので、夏の季語になっている。 2018-08-22 up |
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