2005年7月 課題 「子供」 ある挨拶 ただいまより金子達郎・絵美の結婚披露宴を開始させていただきます。本日の宴の進行は私、新郎の父、金子肇が前半を、後半を新婦の父、酒井脩司が勤めさせていただきます。内輪な集いですのでなごやかに進めたいと思います。 さて、皆様のご列席のもとに新郎新婦は先ほど、当ホテルのチャペルにおいて結婚のセレモニーを済ませましたところです。本席には媒酌人がおりませんので、私が代わりまして新郎新婦の簡単な紹介をさせていただきます。 新郎の金子達郎は、私ども夫婦の長男として、昭和四三年に横浜に生まれ…中略…平成四年M生命保険に入社しました。中学、高校、大学とバレー部で活躍しておりました。 M生命では国際部、柏支社などを経て、現在千葉西研修センターに勤務しております。 新婦の絵美さんは酒井さん御夫妻の長女として、昭和四八年に東京都板橋区に生まれ…中略…同じく平成四年からM生命の柏支社に勤務され、昨年一二月に退職されました。中学時代は剣道部に属し、二段の腕前です。他にもエレクトーンの演奏がお上手とうかがっております。 このような両人の経歴から皆様方御推察されますように、二人は同じ職場で知り合い、お互いが同期入社ということもあり、グループでつき合う中で愛が芽生えたというわけであります。 昨年夏に新郎が絵美さんを初めて私どもの家に連れてきたときには、本日の披露宴の会場も日時もすでに決まっており、それどころか、二人はもう生活を共にしておりました。さらに昨年一二月七日の新婦の二三歳の誕生日には、正式の結婚届をも出した次第であります。 私は当然ながら新郎を小さいときから知っているわけですが、活動的な子で、私に似ず行動力があると思っていました。一方、絵美さんの第一印象は年の割にしっかりした人だなというものでした。その二人が出会うと、まず先に共同生活があって、ついで入籍、最後に結婚式と披露宴、それも媒酌人も司会も特になく新婦のお色直しもなしという、世間一般とは違ってはいるが、考えようによってはもっとも確かな、手堅い結婚の形になるのかなと、何となく納得できるような気がいたします。式と披露宴の手配も二人がすべて進めましたので、私たちは何もせず、当日は当ホテルの料理をゆっくり楽しませてもらえばいいと思っていたのですが、土壇場になって、披露宴の進行と、新郎新婦の紹介という大役を押しつけられまして、ここにこのようにマイクの前に立つ羽目になったわけであります。 いずれにせよ私たちの世代には考えつかないような結婚あるいは結婚式の形態で、ご列席の中には戸惑いを感じている方もおられるかと思いますが、若い二人に免じて大目に見てやっていただきたいと思います。 最後に、ご列席の皆様におかれましては、暖かく、時には厳しく二人を見守っていただけますようお願いいたしまして、媒酌人代理としての私の挨拶を終わらせていただきます。 |
エッセイ目次へ |