俺が日本を救う!慎太郎、政界をバッサリ
次期首相へ臨戦態勢?

石原慎太郎都知事  俺が日本を救う! かねてから政変のたびに「石原新党」構想で永田町を震撼させ、次期首相の有力候補として名前の挙がる石原慎太郎都知事(69)。羽田空港の国際化や外形標準課税の導入、カジノ構想など次々に独自の政策で国に挑み続けるが、ついに「決起の時来る」なのか、歯に衣きせぬ慎太郎節で小泉政権を、田中真紀子前外相を、そして永田町をバッサバッサ切り捨て、国政への思いを激白する。もはや臨戦態勢に入った?

 33年前の若き日、夕刊フジ創刊号(昭和44年)のトップ記事に、「慎太郎新党躍り出る−300万票 衆院へ挑戦」の見出しで颯爽(さっそう)と登場した石原氏だった=写真

 直撃インタビューに応じたのは奇しくも創刊と同じ2月26日で、「石原も30年以上たつと、老獪(ろうかい)になって威勢のいい話は聞かれないと言うのでもいいんじゃないの」と煙(けむ)に巻きながらも、深刻な不況とデフレなどに対する危機感の薄い永田町に対する批判が出るわ出るわ。

 「国は遅い、本当にものすごく遅い。純ちゃん(遠縁の小泉純一郎首相)の周りがみんな、大蔵省(財務省)だから。駄目よ、そんな人間に頼んだって。何も出てこないよ。時代が変わっているってことがわかんないんだから。大蔵省の役人の発想ではこの時代、絶対に乗り切れない。ブレーンを変えなきゃ駄目だ」

 石原氏は就任後ほぼ半年で、都の外郭団体や人事改革はもちろん、医療や福祉の改革を矢継ぎ早に断行している。

 小泉政権がこの1年進めてきた「構造改革」の東京版をすでに実行してきた立場と自負心からすれば、国政の動きはイラ立ち以外の何ものでもない。

 中曽根康弘元首相らとともに数度、会食・会談の席で、小泉首相に直接指摘したこともあるというのだが、不満を爆発させる。

 「(首相は)『そうだね。やる。やるよ。やります。いや、うん、わかった』というけど、わかんないんだ(笑)。ちゃんと通訳と家庭教師を置かないとダメだと言っているんだけど」

 「亀井(静香前自民党政調会長)氏もそうだけど、(景気対策に)公共事業でテコ入れみたいなことばかり言っている。俺は代案を出した。反発でも何でもいいのに議論が起きない。それでいて、何かのきっかけに『内閣倒せ』とかさ、そういうことばっかりだ」

 小泉政権を攻めあぐね続ける野党にも鋭い刃が向かって、バッサリ。

 「国民が閉塞(へいそく)感にあえぐのは具体案がないからだよ。野党なんか『けしからん』とか何とかワーワー言うけど、小沢(一郎・自由党党首)だって、鳩山(由紀夫・民主党代表)だって、どこだってないじゃない」

 小泉政権の「産みの母」から、「首相こそ抵抗勢力」と批判の急先鋒に変身した真紀子前外相に対しても、「政治家としては能力的に完全に失格したわけでしょ。それで、ちょっとあの人気は…」と、根強い真紀子人気を大批判する。

 真紀子人気にあやかって倒閣を目指すという一部の動きについても、一刀両断で切り捨てる。

 「自分の選挙にタレントを呼んできて、選挙に通りたいというのと同じような心理だ。田中とは関係ないが、それで叶える選挙っていうのもかなりいい加減だけど、それを良しとする政治家には問題あるわな」

 では、人気が失速傾向にあって、改革スピードがいまだ上がらない小泉政権に代わる新しいリーダーはいないのか。

 「麻生太郎(自民党政調会長)だって、平沼赳夫(経済産業相)だって、なかなかの才能も気骨もあるけど、派閥が弱いとか足を引っ張られるとか。僕は自民党に育てられたことは一度もない。よく『石原さんは小説家だからなあ』と言われたが、小説家の発想で知事をやってるんだよ。永田町じゃ今、役人と違う人間を異端だと思っているが、こんな有り様じゃ、時代の変質に対応できないよ」

 それでは誰に日本を任せればいいのか。石原氏自身が『慎太郎新党』で国政に返り咲く選択肢しかないよう聞こえるが…。

 「将来って、わたしの将来はケ・セラ・セラだ。わからないよ。知事選に出たのだって、5日前に決めたんだから」

 確か知事選の出馬直前2、3日前も「ケ・セラ・セラ」の連発だったはず。

 「人間なんてケ・セラ・セラでいいじゃないの(笑)。ただし、政治家になった限りは国のことはいつも考えている。自分が何か役に立つときは役に立ちたいと思うし。仲間はいるけど、1人でバタバタしてどうなるもんでもないしね。周囲から言われて舞い上がった加藤紘一君(自民党元幹事長で62歳)ほど若くもございませんし…」

 「しかし、人間はいつか死ぬけど、我々が生きている間に、日本が国家として老い朽ちていくのは何としても忍び難いよな。三島(由起夫)さんは終戦後の日本を、美しい戦争未亡人がだんだん老いて落剥(らくはく)=没落の意味=していくといったけど、自分のあこがれた女が外国人に食い荒らされたり、妾(めかけ)みたいになって崩壊していくのを見るのはヤだねえ。食い止めるために都知事からやってるんだけど。国がぜんぜんダメだよ、やってること全部が逆でさ」

 やはり、危機感の薄い永田町への強い焦燥感とともに、慎太郎政権への強い意欲が自然とにじみ出る。決断はいつか。いよいよ政界の風雲児、石原氏から目が離せなくなっている。

ZAKZAK 2002/03/04