八ヶ岳で食べる キノコ図鑑   


「八ヶ岳の食卓」でキノコを取り上げました。リコボウでの突撃体験ルポを紹介、いずれ多種のキノコを網羅した「突撃!八ヶ岳食用キノコ図鑑」を編纂したい、とブチあげました。ところが、 ササクレヒトヨダケから先が進みません。まわりにキノコは多いのですが、我が身はひとつ、ある日突然「絶筆」ということになりかねません。

躊躇していたら、「惜しまれるうちが華よ。それに全部食えとはいわない。WEBで参考にする程度でいい、八ヶ岳限定でもいいから作成を急げ」と励ましか、脅しか わからぬことを言われ、それもそうだな、命をかけるほどのテーマでもないか、と生来易(やす)きにつく性癖がもたげ、ここは素直に、「突撃!」をはずしての、実用「八ヶ岳食用キノコ図鑑」です。


この項の目次

毒キノコの研究
  (不惜身命とはいいながら、まずここをお読みください


クリフウセンタケ

リコボウ(ハナイグチ、ヌメリイグチ)とササクレヒトヨダケ
 については前のページにあります。

クリタケ 

ハルシメジ 

カラカサタケ 

カブラアセタケ 

・クリックでその項に飛びます。手形マークが出る写真は、クリックで大きなサイズになります



【 毒キノコ の研究】

いささか脅かしすぎたきらいがある。この項は八ヶ岳限定ではあるが、まわりにふんだんにあるキノコを食べようということでスタートしている。 にもかかわらず、「自己責任で」とか「似ていて見分けのつきにくい毒キノコがある」といわれれば、誰もが躊躇するだろう。そこで、まず敵を知る ことからはじめようというのが、この【 毒キノコ の研究】である。

毒キノコにあたるとみな死に至るかのような印象を持っている人が多いと思う。そうではない。ある箴言を紹介しよう。

「食えないキノコは絶対に無い。食えるのが1回だけかどうかの違いだけだ」

前の項で尾崎喜八の日記を紹介したが、そこにあるように 多くの毒キノコは加熱でかなり解毒される。しかも、水溶性のものが多く味噌汁などにして煮汁を飲んだらきついが、焼いたり煮たりして食べたくらいでは 症状が軽いのが普通だ。嘔吐、下痢、腹痛はあるものの回復するのがほとんどだ。しかし、こんなことを述べたからといって安心されても困る。過去20年間 に日本で1000件、人数にして5000人あまりのキノコ中毒事件が発生、30人が死んでいる。やはり用心に越したことはないのだ。

東京都福祉保健局の「食品衛生の窓」というコーナーにキノコ中毒についてまとめた 「キノコの話」という解説があるので一度見ておくことをおすすめする。毒キノコの見分け方についてはいろいろなウエブサイトがあるが「いしかわ きのこ図鑑」というのが見やすい。

毒キノコのなにが毒なのか、知りたいところだが千差万別でとても数え切れない。聞いたこともない化学記号ばかりでこちらの線から判別することは あきらめた方がいいだろう。ただ、草を食む牛や馬、羊を見ていると毒のある草はきれいに食べ残している。何かセンサーを持っているわけで、キノコで こういうのが開発されるのを待ちたいところだが、まだ朗報には接していない。

キノコの相談をうけた事業所の統計がある。素人が判別に悩むキノコの順位でもあるわけで

相談の多いキノコの上位5つは次のようになっている。
    食用: ハタケシメジ
        ナラタケ
        ウラベニホテイシメジ
        ミネシメジ
        シメジモドキ

    有毒:クサウラベニタケ
        カキシメジ
        ハナホウキタケ
        ツチスギタケ
        ニガクリタケ

つまり、これが識別できればひとまず安心ということができる。食用キノコでは、ハタケシメジが1位だが、これはは初夏と秋の年2回、庭や草地に発生する 身近でおいしいキノコ。身近にあるので相談が多いのだろう。シメジモドキは、春にウメなどのバラ科の樹木のあるところに発生するキノコ。この時期に キノコはあまり発生せず、生える場所も限定されるので、すこし勉強すれば判断は容易。むしろ、果樹園などに生えるため、農薬散布の方を心配した方がいいようだ。

毒キノコでは、まずクサウラベニタケやカキシメジを覚える。クサウラベニタケは、俗にいう食べられるキノコ「地味で茎が縦にさける」という 特徴を持っていることや、立派なものは,食用のウラベニホテイシメジと似ていることで間違う。ハナホウキタケとツチスギタケは難しいそうだ。これらのキノコは、地方や人によっては食べて いるものだ。実際、ハナホウキタケは道路わきの野菜直売所などで販売されていることがあるという。軽度とはいえ中毒例の多いキノコなので、素人は食べない 方がよい。

カキシメジは、いかにもおいしそうな外見をしているのでつい手を出しがち。悪いことに、カキシメジの近縁種を食用にしている人もあり、判断が難しい。 カキシメジの毒は水溶性であるため、調理方法によって毒の摂取量が異なり、潜伏時間や症状の現れ方に差がある。カキシメジを何 本食べたかではなく、毒性分の溶出した汁をどのくらい摂取したかによって症状の重さや潜伏時間の長さが左右される。水溶液を飲むみそ汁では 強毒型となるが、水溶液の摂取が少ない煮物では弱毒型となる。

奇っ怪なスギヒラタケ中毒 突然、毒キノコに変身したのか

キノコ好きには衝撃的なニュースだった。2004年秋、スギヒラタケを食べ、急性脳症から意識障害や痙攣(けいれん)を起こし死にいたるケースが相次いだのだ。10月末までに東北地方を中心に8県で59人が発症、うち19人が死亡した。

スギヒラタケ
スギヒラタケは毒キノコに突然変異したのか。

スギヒラタケはこれまで日本中でよく食べられていた「食用キノコ」だった。地域によってはスギカヌカ、スギワカイ、スギモタセ等と呼ばれていて、真っ白で似たキノコがないため、見分けが付きやすく、東北や日本海側ではポピュラーなキノコ。クセがなく味もいい。みそ汁の具やいため物にして食べてきた。それが、なぜ死者まで出る「毒キノコ」になったのかが問題だった。

発症した48人中人中45人が、透析治療などを受けている腎臓病患者だったことから、推論としては、スギヒラタケには健康な人では問題がない毒素のようなものがあり、腎臓の機能が低下した人では、老廃物や毒素を体外に排出できないように働くのではないか、ということだった。しかしそのメカニズムは不明だ。

症状をみると「よくある感染症とは違う」(国立感染症研究所)し、「キノコ中毒とも異なる」という。キノコ中毒の多くは胃や腸などの循環器に異常をおこし、下痢や嘔吐(おうと)の症状を示すが、それはなく、死者の多くは急性脳症を起こしていた。急性脳症はとは、さまざまな原因で起きる脳障害の総称で、細菌やウイルスで脳がむくんで、意識障害、痙攣、発熱を起こす。痙攣や精神運動障害などの後遺症が出ることも多い。

福井大医学部の松木孝澄教授(法医学専攻)によると、スギヒラタケには血液を凝固させるタンパク質やレシチンが際立って多い。試験管内でキノコ抽出液が血液凝固検査に有効かという実験をしたところ、キノコ八百種類の中でもスギヒラタケは最高レベルだった。このことから、「血液を凝固するレシチンなどが体外に排出されず、脳の血液が凝固し、障害が出たとも考えられる」という。

また、スギヒラタケから、シアン化水素(青酸)を検出したとする研究結果を浜松医大や滋賀大などのグループがまとめ日本法中毒学会で発表したが、検出量は人間の致死量は0.06gとされているのに対し、含まれている量は1/1000以下で、食用としては問題ない範囲だった。

わからないのは、従来多くの人が食べていたのに、なぜこの年だけ死者がでたのか、だ。

キノコ研究家は「キノコは育つ木の養分や気候条件によって毎年、成分が変わる。猛暑や長雨で何らかの変化があったかもしれない」と説明する。実際、2004年は夏が猛暑で秋口から雨が多く、キノコの生育には最高の年で収穫も多かった。

「他のキノコとの複合的な要因で毒性が生まれた」とするのはキノコ学を専門にする高崎健康福祉大学の江口文陽教授。2005年各地でスギヒラタケ31株を採取、毒性を確認した18株について調べたところ、他のキノコと同じ木に生えていたか、以前に別のキノコが生えた跡があった。毒の有無は共生によりなんらかの異変が起きたのではないか、という。

スギヒラタケ
スギヒラタケは判別しやすいキノコ
とされていただけに

2005年末までに、推測はいろいろ出ているがメカニックを解明したものはない。このため、厚生労働省は発生直後から「スギヒラタケは従前から食用きのことして摂取されており、これまで健康被害の報告もないところですが、腎機能が低下している方への安全性が確認されるまでの間、これらの方々に対しスギヒラタケの摂取を控えるよう注意喚起をお願いします」と呼びかける文書を出し、翌2005年もまだ原因が究明されていないことから「引き続き摂取をひかえるよう」通達を出している。現在原因について関係機関と研究者で究明中だがまだ解明されておらず、2006年以降もこの状態が継続される見通しだ。

また、キノコ図鑑も大幅な修正を迫られている。山溪カラー名鑑『日本のきのこ』では最新の 第25刷から「新たに国内外で中毒例が確認された4種(スギヒラタケ、キシメジ、シモコシ、カエンタケ)を毒きのこに変更」している。


【 クリフウセンタケ 】
クリフウセンタケ

最初にクリフウセンタケを取り上げるのは、キノコ判別の難しさを如実に示しているからです。 秋にコナラやクヌギ、ミズナラなどのナラ類の林内地上に群生するフウセンタケ科フウセンタケ属のとても美味 な食用キノコです。ニセアブラシメジともいいます。これならいいのだが、茨城県など地方によっては「カキシメジ」と呼ぶところがあります。 カキシメジは有名な毒キノコ。つまり毒も食用も同じ名前がついているところがあるのです。カキシメジについては後述します。

クリフウセンタケの特徴は、傘が初めはまんじゅう形、後に平らに開き、色は淡橙褐色から黄褐色で表面が湿っている時にはぬめりがあります。 ひだは 初め白色で後には淡褐色。並び方は密で柄に直生から上生します。柄は初め白色、後に淡褐色となり、しばしば大きく曲がり、根もとはやや ふくらみ淡紫色をおびます。柄の上部にはクモの巣状から綿毛状のつばをもち、その色は胞子の付着により褐色です。

10月の初旬、ミズナラ林によく見られます。落ち葉の下に隠れているため見逃すことも多いのですが、1本見つければ大量に採取できることもしばしば で、人を狂喜させます。うまみ成分が非常に強く、よい出汁がでます。塩焼きにするとまたおいしいキノコです。 爽やかな香りと多少のぬめりもあり、歯切れも舌触りもよい。味には全く癖がなくどんな料理にも利用できます。貝類とのぬた、三杯酢、雑炊などに使えます。

【 カキシメジ 】
カキシメジ
さて、毒キノコのカキシメジの特徴です。 いかにも食べられそうな、色と形をしています。塩蔵すると毒が抜けるとも言われているが試さない方が無難でしょう。 クリフウセンタケ、マツタケモドキ、チャナツムタケと似ています。傘の表面にぬめりがあって、ハナイグチと間違えることもあるややこしさ。 コナラ・ブナなどの広葉樹やマツとの混生林に秋の同じころ発生する地味な色のキノコでひだは密で、古くなると赤褐色のしみがでてきます。

柄は傘の色より淡い赤褐色で上部は白色 。傘の裏にヒダがあり、しかもヒダに赤いシミがあるとカキシメジ。ひだのシミで判別するが、若いうちはシミがないのでむずかしい。 チャナメツムタケにも似ているが、カキシメジは傘のまわりに鱗片がない。 独特の臭いもある。カサウラベニタケと共に誤食されるキノコの典型的な種類で、食べると嘔吐、下痢の症状を示します。
 


【 クリタケ 】
クリタケ

クリタケ(栗茸)はハラタケ類ハラタケ目モエギタケ科クリタケ属で 切り株や倒木、木道の木の階段などにも多数発生します。 八ヶ岳では9〜10月の季節になると国道沿いの野菜の即売店にも並ぶ ごく身近なキノコです。腐朽菌なのでクリやクヌギなど広葉樹や針葉樹の切り株や倒木上に群生します。 名前どおり栗色をしていますが、時にはきれいな赤色のものもありアカンポウと呼ばれるときもあります。 何本かまとまって株立ち人っていることが多いキノコです。

その他、地方によって、 やまどりもたし、やまどりもさせ、くりもたし、あがぼう、あがもだし、あかきのこ、あがたげ くりのきもたし、くりのきぼんず、ざざんぽ、さざんぽ、しもかずき、しもたけ、やまどりたけ  などの呼び方もあります。

クリタケ2
傘は径が3〜10センチ、表面は「ぬめり」がなく、明るい茶褐色〜暗レンガ色、周辺部は淡色。若いときはクモの巣状の不完全なつばがあります。 形は 半球形からまんじゅう形で、さらに時間がたつと平らに開いています。ひだの並び方は緻密で、色ははじめ白 から黄白色、のち暗紫色で、柄に直生か湾生します。白色の薄い繊維状の膜に覆われています。時間がたつと=写真右=のように表面がひび割れして、 別なキノコのようですがこれもクリタケです。


茎は長さが5〜12センチ、径が0.8〜1.5センチ、上部は白色〜黄白色、下部はさび褐色です。 成長するとほぼ中空となり折れやすくなります。

乾燥保存が出来ますが、シイタケのようにはなりません。柄の肉はかたく締まっていて歯切れがよ く癖のない風味で極めてよいだしが出る。 食べ方は、キノコ汁に、キノコ御飯に、テンプラにされることが多いです。パエリヤやリゾ ットといった米を使った料理などうまみを生かす使い方がおすすめ。

【 ニガクリタケ 】

ニガクリタケ
キノコの常として、外観が似ている有毒のニガクリタケがあるので要注意。 ごく普通に見られるキノコで、針葉樹にも広葉樹にも1年を通じて発生する明るい黄色の小型のキノコ。いかにも食べられそうな色や形をし ていますが、クリタケより早く生えるのと傘が黄色なので、ここがクリタケと見分けるポイント。クリタケは朱褐色か茶褐色でおいしいキノコ。 ニガクリタケは淡黄、硫黄色で有毒、とおぼえます。

傘は丸形で表面は茶褐色。径は3〜10センチ。肉はやや黄色を帯びています。 ニガクリタケは柄に黒いツバの痕跡があること、生を少しかじってみると大変苦い(ファシキロールFという成分)ことなどで、クリタケと区別します。

このキノコの和名は、最初ヤナギタケと呼ばれていたが、上記のように苦味があるので「ニガクリタケ」の方が用いられるようにな った。ドクアジロガサがコレラタケに、ヒョウタケがテングタケにと、呼び方が変わった例は多い。もともと和名には規則が無いので、 どう呼んでも構わないのだが、混乱するのを防ぐため、日本では標準和名の扱いをして統一し、安易な変更も 避けている。食べると下痢、腹痛、嘔吐など胃腸障害や腎障害をおこします。


【 ハルシメジ 】(シメジモドキ)
ハルシメジ

4月から5月ごろ、林檎、梅、桃、梨、花梨,などのバラ科の樹の下に顔を出すキノコとはロマンティックです。 正式な和名はシメジモドキですが、春に発生するのでハルシメジと呼ばれます。林檎の樹の下に出ればリンゴモタシ、梅の樹 の下に出ればウメノキシメジ、傘の裏がやや紅色なのでウラベニシメジなど、多くの別名を持っています。しかし、発生する 季節がキノコの発生する季節としては余り馴染みがない春と言うことで、一般的にはハルシメジと呼ぶのがふさわしいようです。

八ヶ岳への途中山梨県、長野県を通りますが、たくさんのリンゴ畑 があります。その下のハルシメジとは聞くだけでおいし そうです。この名前は 知っていたのですが見たことも食べたこともありませんでした。

キノコの発生が少ない時期に出るので貴重な食用キノコです。もうひとつ、春は見分けやすいという特徴があります。 毒キノコの多いイッポンシメジ科のキノコですが、 秋だとよく似たクサウラベニタケの可能性がありますが、春ならこのキノコだ けです。ハルシメジは時に秋にも発生するそうで、このときばかりは キノコ博士の登場を願わねばなりません。

ハルシメジ2
これもハルシメジ。
成長過程でいろいろな形がある。
ひだがピンク色なのが特徴です。傘の径3〜10センチ、初め鐘状に生え、丸い山形から、のちに中高の扁平となります。笠の周辺は不規則に波打つものが多く、表面はネズミ色で暗色の繊維状の模様があります。 ひだは柄に上生又は湾性し、やや疎。色は、はじめ 白色でピンク色を経て肉色になります。肉は白色で紛臭があります。柄は長さ4〜8センチ、白色から帯灰色、繊維状で根もとに向って太くなっています。

シコシコした歯ざわりが心地よく、弱い粉臭があるものの、それ程気にならず、味も良く、いろいろの料理で楽しめます。 ただし、生で食べると消化器系の中毒を起こすので、生煮え、生焼けでは食べないこと。炒め物に使う場合は(加熱が不十分になりがちなので)、あらかじめゆがいておくと安心です。

「日本のきのこ:山と渓谷社発行」によると、適する料理法は以下の通りです。

  酢の物、煮込み、鍋物、佃煮、茶碗蒸し、グラタン、ピザ、オムレツ、油炒め、餡かけ 餃子、焼売、ホイル焼き、味噌焼き、たれ焼きなど。

[ 料理例 ]

高 菜 あ え ハルシメジをさっと洗い、食べやすい大きさに薄切りし、沸騰水中で1分ほど湯がいておきます。高菜漬けを絞って細かく切り、ハルシメジと和え、好みによりごま油やラー油で香りをつけます。

高菜の炒め物 小鍋にごま油少量と刻んだ高菜を入れて炒め、湯がいたハルシメジ を加えてかきまぜ、味をよくなじませます。必要なら酒、しょうゆ で味をととのえます。高菜の酸味とハルシメジ の歯ごたえが楽しめます。


【 カラカサタケ 】
カラカサタケ

カラカサタケ(唐傘茸)は八ヶ岳ではけっこうよく見かけるのですが、食用キノコだと知る人は少ないでしょう。夏のわりあい早い時期から、9月はじめに道ばたや草むら、芝生の上にぴょこんと顔を出します。 左の写真は八ヶ岳高原ロッジのホームページ「今日の八ヶ岳」が2005年9月7日にロッジの入り口付近で撮影したものですが、1枚で傘が開く前と後の対比ができる珍しいものです。ずんぐりとマツタケのようなのが、開くと、その名前のように直径20センチほどの大きな唐傘のようになります。同じキノコだとは思えないかもしれません。

長野では「にぎりたけ」と呼ばれていますが、それは傘の部分を握って、再び手を離すと元の形に戻ることからで、他に「からかさ」、「からかさもたし」、「からかさだけ」、「きじたけ」「きんたまきのご」、「つばたけ」、「つるたけ」、「のっぽ」、「つるもだし」、「つるだけ」など別名が多いのは昔から親しまれてきたせいでしょう。

煮たり炒めたりすると、ぺしゃっとしてしまって、ふわふわした感じがなくなってしまうので、フライにすればいいといわれます。一方、柄はけっこうかたく、歯ごたえがありすぎるので、じっくり炒めるのに適しているなど一工夫が必要です。おいしい部類にはいります。 傘は細かく切ってから、茎は長いので適当に切って裂いた後にバター炒めや天ぷらにするとおいしく、柄のほうは野菜炒めやゴボウとニンジンのきんぴらにすることもあります。

ハラタケ科カラカサタケ属 に属し、傘は始めは球形で色はこげ茶色ですが、傘がパラソル形に開くにつれて表皮は縦横に裂けてウロコ状になります。柄の基部はふくらみ、段だら模様があります。傘にリング状のツバがついていますが、触ると上下に動きます。

カラカサタケの名前がついたキノコは多く、ワタカラカサタケ、クリイロカラカサタケ、キツネノカラカサタケ、マントカラカサタケ、シワカラカサタケ、コガネキヌカラカサタケ、シロカラカサタケ、キヌカラカサタケ、ドクカラカサタケ(コカラカサタケ)、ツブカラカサタケなどわんさとあります。中には有毒のものもあるので、素人判断は禁物です。

【 オオシロカラカサタケ 】

オオシロカラカサタケ
1989年に大阪、1992年に京都でいずれもカラカサタケが原因と見られる食中毒事件が発生しましたが、調べると、カラカサタケではなく、熱帯性の「オオシロカラカサタケ」(オオシロカラカサタケ属)と呼ばれる毒キノコでした。オオシロカラカサタケは、ハラタケ科オオシロカラカサタケ属の毒キノコで、食べると嘔吐、下痢、腹痛、悪寒、発熱などの中毒症状を引き起こします。傘は径7〜30cm、表面は白色で、帯褐色の鱗片をつけます。見た目がカラカサタケとはっきり違います。フィリピンをはじめとする熱帯地域に広く分布するもので、熱帯の海上で発生した台風でその胞子がフィリピンから関西圏まで運ばれたようで、近年の地球温暖化につながるものでしょう。八ヶ岳では気温が低いので、まず発生することはありません。


【 カブラアセタケ 】

自宅で採取のキノコで食中毒、カブラアセタケか

鳥取県米子保健所は6月30日、西伯郡内の70歳代男性が自宅敷地内で採取したキノコを食べて食中毒を起こしたと発表した。 毒キノコの一種「カブラアセタケ」とみられる。このキノコによる食中毒が確認されたのは県内で初めて。

男性は27日午後6時頃、キノコをゆでて食べ、約2時間後から下痢やふるえ、発汗などの症状が出たという。自ら119番して入院。29日に退院した。

カブラアセタケは傘が「くり褐色」で直径2.5〜3センチ、柄の長さは2.5〜4センチ。同保健所は「加熱しても毒は消えない。見慣れないキノコは食べないで」と注意を呼びかけている。(2015年7月1日、読売新聞)

カブラアセタケ
カブラアセタケ。海外では死亡例がある。
カブラアセタケはフウセンタケ科アセタケ属に属するキノコ。多くは毒キノコとして知られるアセタケ属で海外では死亡例もある。アセタケ属では比較的小型の部類に入り、傘は始め円錐形のち中高の平らに開く。表面は繊維状で、くり褐色でのち放射状に裂ける。ひだは汚白色、のち帯褐色で柄に上生し、やや密。 柄は上下同大だが、基部がカブラ状に膨らみ、中実。表面は傘と同色で、下方に向かって白くなる。

含まれる毒素はアルカロイドの一種であるムスカリンを含む。猛毒で知られるベニテングタケによって初めて単離された毒成分だが、含有量はカブラアセタケの方が遥かに高い。 食べると早いときは15分、遅くても数時間ほどで症状が現れる。 発汗・流涙・流涎・そして嘔吐・下痢などいわゆるムスカリン中毒を起こし、その他にも痙攣・瞳孔の縮小・ 徐脈・視覚障害・血圧低下。最悪の場合は心臓発作・呼吸困難などによって死に至る。発汗症状からアセタケ(汗茸)の名が付いていて、北海道から九州の平地に広く分布する。





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